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すすきののサンタさん

数年前の12月、ネオンびかびかの夜のすすきので、サンタさんに出会ったことがある。

何故だか突然、今日そんなことを思い出してしまった。
その冬私は大学生で、カーキ色の肉厚で重たいコートを着て、夜のすすきのにいた。

ともだちとの忘年会兼クリスマス会の帰りだっただろうか、お店を出てキャーキャー騒ぎながら交差点を出たところに、その人はいた。

赤と白のサンタ服はずいぶん薄くペラペラで、見るからに寒そうだった。
ヒョロっと細くて背が高く、真っ白のツヤツヤの白髭で半分以上隠れている顔を見る限り、ぜんぜん若いお兄さんサンタが、一人信号待ちでにょきっと立っている。

子どもの頃絵本で見たサンタさんとはだいぶ違って若干安っぽい感じがしたけど、アルコールも手伝ってかテンションは爆上がり、「サンタさんサンタさん!」と駆け寄る。

声は出さずに片手をひらひらさせてくれた細長いサンタさんに、調子に乗ってしまって無茶振りをした。
「プレゼントちょうだい!」と右手を突き出したのだ。

なんとなくその場のノリで言ってみただけで、そんなのないない、みたいな反応をされると思った。
でも、サンタさんはシワシワの大きめな白い袋を肩からおろして何やらごそごそしだした。

えっえっ、ほんとに何かくれるの?!
驚いているうちにそっと私の右の手のひらにのせられたのは、なんとも小さな小さな星だった。

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群がる私たち全員の手のひらにそっとほしを載せて、それじゃ、と手のひらだけで語り、サンタさんは人混みの中に紛れて消えていった。

手のひらをゆらすと、ふっくらとした黄金色の星が、ネオンの光を受けて柔らかくひかるのが楽しい。綺麗だった。ていうかサンタさんいた。すすきののサンタさん。知らない人からクリスマスプレゼントをもらうなんて、初めてだった。

寒空の下、繁華街のど真ん中で、小さな星をみんなして手のひらにのせて大笑いした夜は、楽しくて、とても幸せな夜だった。

星を貰ったあとの大笑いも含めて、なんてセンスのよいプレゼントなんだ、と思った。

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