【小1の壁⑤】ひらがな・カタカナ「書き」学習のポイント【小学校入学準備にも】
前回は文字の読みについて述べてきました。今回はいよいよ文字の「書き」について考察します。
【未就学~小1の国語の学習ピラミッド】
【ピラミッドの構成】
①読み聞かせ(音→文字)
②音読(文字→音)
③ひらがな(の書き)←今回はココと
④カタカナ(の書き)←ココと
⑤小1の言葉の意味(語彙)
⑥ひらがな・カタカナ混じりの文の読み ←ココ
⑦小1の漢字
⑧小1の漢字・ひらがな・カタカナ混じりの文の読み
【文字がうまく書けない原因】
昨今の保育園、幼稚園では小学校入学前に「ひらがな・カタカナ」を書けるよう指導するところが増えてきました。
そのため、すでにきちんと書けるよ、というお子さまは大丈夫なのですが、時々書けない子もいます。
その原因は大きく2つです。
①書き方がわからない
②思い通りの線が書けない
この点の対応策についてまとめます。
■①書き方がわからない
「書き順」ではないです。「書き方」です。まずここがポイントです。
ひらがなが書けない、もしくは違う形を書いてしまう子に対してよく使用される学習教材が、下にあるように書き順を数字で表したものです↓
こういった教材は、書けない、間違った文字を書いてしまう子には実は合っていません。この学習法は、その文字は書けるけど書き順が異なっている子には有効なものです。
というのも、書けない、間違った文字を書いてしまう子は、一画目の入る場所がわかっても、その線がどこまで続くのか、途中で曲がるのか、終わりがどこなのか、線の形が理解できないのです。
なので、ひらがなを書くことが苦手な子に対しては、書き順だけではなく、どういった線を書くのかを色分けしている「ひらがなカード」があるので、その上をなぞることで覚えます。
こんなやつ↓
私はネット上にあるフリー素材を加工してカードにしています↓
手作りが面倒な方は、大きい本屋さんでも販売されています。
こういったカードの上を指でなぞったり、上からペンでなぞったりして「書きかた」を覚えます。
ただ、注意点があり、このカードの文字がカラフルなので、このカードでひらがなは覚えにくいです。なので、覚える用のカードは別で用意します。
私はイラストなどがない、シンプルなものが欲しかったので手作りしています↓
これを2セット作成して、片方を読み札、片方を取り札にしてカルタ方式で遊びながら文字学習をしています。
手作りしなくても、ネットで無料公開されているものもあります↓
■②思い通りの線が書けない
やたら字が汚い子はいませんか。そういった子は手や腕の力加減が不得意なタイプと、見え方が異なっているタイプがいます。
まずは下のような、線を引く練習から行います。
↓こんな風にガタガタした線を引く子がいます
慣れや腕や手の筋力の問題であれば、何度か練習していくうちにある程度上手になってきます。
ですが、目の問題や手先の協調運動に問題がある場合は、あまり改善が見られません。
まずは↓のような書籍にあるチェックリストで「見る力」に問題がないか確認をすることができます。
問題があった場合は、ビジョントレーニングが必要になるので専門医につなげます。
目に問題がない場合は、道具の使い方や運動能力などを観察し、全体的に体を動かすことが苦手なようであれば発達性協調運動障害(DCD)の可能性があります。
その場合も、まずは専門医に診てもらい、作業療法士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。
どちらにも問題がなく、ある程度、線がきれいに書けるようになったら、楽しく読み書きトレーニングが出来るワークに取り組ませています。
このシリーズはおすすめです。著作権の関係で内容を掲載できないのが残念ですが、以前記事にした「モーラ」(“しゃ”“っ”が苦手など)や「音韻」(“みかん”が“みたん”になる)学習にも使えるので、未就学児から学べます。
【カタカナ学習の重要性】
小学校に入学し、夏休み前後まで「ひらがな」はゆっくりじっくり勉強します。が、「カタカナ」はあっという間、気づけば小1の漢字学習に突入していたりします。
そのため、学年が上がっても書き間違いをする子や、「ツ」と「シ」、「ソ」と「ン」の書き分けが出来ない子がいます。
ひらがなが書けるからいいじゃーーん。と思われがちなのですが、実はカタカナは漢字学習に必要なんです。
そのため、国語ピラミッドでもカタカナと漢字は接しています。
なぜカタカナが漢字学習に必要なのか。
そもそもカタカナは漢字の一部からできた文字なので、漢字の構成要素になりやすいんです。
例えば、「イ」の字母(元の漢字)は「伊」です。「伊」の“にんべん”から「イ」は生まれました。つまり、イは“にんべん”に似ているのではなく、“にんべん”がイなんです。
他にも、「仏」はカタカナの「イ」と「ム」、「外」は「タ」と「ト」のような形で構成されています。
継次処理能力が高い子は、全体的な形ではなく書き順や構成要素を分解(“仏”は“イ”と“ム”)して覚える方が記憶しやすいため、漢字学習にはカタカナの知識が必須です。
なので、カタカナ学習が遅れるとその分漢字学習にも遅れが生じるのです。
↓継次処理能力については別記事にしてます。
【さいごに】
今回は「ひらがな」と「カタカナ」の学習方法とその重要性について記事にしました。
ここまで学習が進むと、「ひらがな・カタカナ混じり文の読み」ができますので、これまで「り・ん・ご」というような逐語読みだった読み方が「りんご」になってきます。
ですが、時々「りんご」は知っているし、会話で「りんご」と言うこともできるのに、「りんご」という文字を見ても「りんご」と読めない子がいます。
もしくは「りんご」という文字と「りんごのイメージ」が結び付かない子もいます。
そういった際は、もしかすると読字障害(ディスレクシア)の可能性があります。
また、「りんご」と読めるのに書けない子もいます。その場合は書字障害(ディスグラフィア)の可能性があります。
こういった場合は支援が必要になるので、まずは専門医に診てもらいましょう。
こういった支援を必要とする子を早期発見するためにも、できればこのあたりまでは小学校入学前に終わらせておくのが理想です。
が、すでに遅れてしまった子も大丈夫! 今回の内容で家庭学習してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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