【小1の壁⑥:算数のラスボス】繰り上がり繰り下がりの計算
小1の壁:算数編も最後になりました。
【小1~小3で学ぶ計算の単元】
①数処理(数の三項関係)
②数概念(序数性と基数性)
③1桁の足し算
④1桁の引き算
⑤2桁+1桁の足し算
⑥2桁ー1桁の引き算
⑦繰り上がりの足し算 ←今回はココと
⑧繰り下がりの引き算 ←ココ
⑨足し算の筆算(ここから小2)
⑩引き算の筆算
⑪九九
⑫掛け算の筆算
⑬割り算の筆算
【小1算数のラスボス:繰り上がり繰り下がり】
小1算数のラストで勉強するのは「繰り上がりのある足し算」「繰り下がりのある引き算」です。
■繰り上がりの足し算の方法
繰り上がりの足し算の基本的な計算手順は↓です。
“13”を“10”と“3”に分けて、一旦“10”は置いておいて“3”と“8”を足して“11”を導き出し、そこに置いておいた“10”を足して“21”と解答するのが、オーソドックスな計算手順です。
たまに「“13”にはあと“7”を足せば“20”になるから、そこに残りの“1”を足したら“21”」と計算できる子がいますが、それが出来る子はこの単元ではつまずかないです。
■繰り下がりの引き算の方法
“13”を“10”と“3”に分けて、一旦“3”は置いておいて“10”から“8”を引いて“2”を導き出し、そこに置いておいた“3”を足して“5”と解答するのが、オーソドックスな計算手順です。
■なぜ繰り上がり、繰り下がりの計算が難しいのか
繰り上がり、繰り下がりの計算で行われる“一旦、横に置いておく”という作業は、ワーキングメモリーを使います。
ワーキングメモリーとは、ざっくり簡単にいうと、いくつかの物事を超短期記憶し、その記憶した物事を使って同時に作業する力のことです。
繰り上がり繰り下がりが苦手な子はこのワーキングメモリーが弱いため、一旦横に置くと忘れてしまって計算ミスしたり、繰り上がり繰り下がりの概念が入りづらかったりします。
【繰り上がり繰り下がりの勉強法】
私が普段行っている方法は、
①10進法を理解させる
②10を分解した一桁の組み合わせを覚える
③繰り返し計算させて慣れさせる
→出来たら超絶褒めちぎる(ここ重要)
です。
以前紹介した「百玉そろばん」などを使って10進法の概念を理解させ、その後、「いくつといくつ」の問題を繰り返すことで、足して10になる一桁の組み合わせ(3と7、4と6など)を記憶させます。
そのあとは繰り返しプリント学習させます。
私が使用しているのは、「すみっコぐらし 学習ドリル シリーズ」の「小学1年のたしざんひきざん」です(左上)↓
計算系ドリルでは、個人的にこの「すみっコぐらしシリーズ」がおすすめです。
各単元の最初に解説ページがついているので、それを見ながらひとりで勉強できる形になっているのと、文字フォントがLD傾向のある子でも読みやすい「UBデザインフォント」になっているので、どんな子でも取り組みやすいです。
■それでも、どうしても出来ない場合は・・・
どうしても繰り上がり繰り下がりの計算が苦手な子はいます。
その場合は、筆算の方法を先取りで教えるのも一つの方法です。
筆算は手順になるのでワーキングメモリーの力も必要ないし、継次処理能力が高い子は、こちらの方が正確に計算できるようになります。
それでも出来ない場合は、学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)の可能性があるため、関係機関とつなげましょう。
【小1の壁の問題点:算数編】
繰り上がり繰り下がりの計算力があいまいまま小2になると、実はそのままごまかせた状態で小3に突入できてしまう=小1の時に気づきにくいというところに本当の問題があります。
逆説的にいうと、「算数の小1の壁」は小3になってから気づくパターンが多いんです。
理由は、小2では九九がメインになり、九九さえ覚えておけば何とか乗り切れてしまうという点と、小2では長さや図形などが入ってくるため、一旦計算力がなくても何とかなってしまう時期があるという点です。
流れで説明すると、小2になってすぐ、筆算を学びます。ここで出来るようになればよいのですが、それが出来なくても、実は筆算の単元はすぐ終わり「長さ」や「かけ算」の単元が始まるんです。
そして、みなさまおなじみの「九九」の登場です。小2の算数後半はほぼこの「九九」のマスターに費やされます。
つまり、繰り上がり繰り下がりの計算が出来ないまま「九九」に突入し、それを一生懸命勉強していたら、周りの大人は「同学年の算数についていけている」と勘違いをし、見逃してしまうのです。
「九九」は確かに大事な単元ですが、繰り上がり繰り下がりはできないままでは小3に入って学ぶ「かけ算、割り算の筆算」が出来ないんです。
筆算すると最後は足し算をするので、そこで繰り上がりの計算が出来ないため、正答することが出来なくなるのです。
そのため、小2はごまかせて過ごせたとしても、小3の算数で必ずつまずきます。
小3の算数は、2回繰り上がり繰り下がりがある計算はもとより、小数や分数なども入ってきますし、図形の単元も本格的になります。
下記の学習進度表でもわかるように、学習進度が急激に上がるため「小3の壁」と言われるほど難しくなる学年です。そのため、小3に上がって遅れに気づいても取り返せない子が出てきます。
なので、小1の繰り上がり繰り下がりの足し算引き算はしつこいくらい学習させるようにしましょう。
【まとめ】
小3で算数が苦手だと感じてしまう子どもは多いです。
後日記事にしますが、実際に小3の途中で算数の学習が止まっている子も多く、今心当たりのあるお子さんは「小3の壁」にぶつかっている可能性もあります。
ですが、つまずいているところをきちんと追ってみると、実は「小1の壁」にぶつかっていたことがわかるケースも多く、その場合、いくら小3の学習を支援しても身につかないのです。
そのお子さんが苦手な部分、できない部分はどこなのか、きちんと見極めて改善策を提案し、よりよい支援につなげていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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