虫を食べた話


大体いつもヘラヘラと口元緩ませてわらっているのだけど、憎悪とか嫌悪とかたまに自分が人間らしいことを思ったり感じたりしてることに生き甲斐を感じたりしている。
適当に暮らして、幸せじゃーん、そんなことを事を思って生きていたらいつのまにか26レベルになっていたけど、知っての通り某アニメのようには進化も成長もしない会社員(デザイン補助・DTP 26歳 女性)の小林です。

最近は、知り合いの既婚者の携帯にTinderが入っててショックを受けいたり、頭をシャンプーで洗ったか忘れて2回洗ったり、周りの人が結婚したと思えば別れていたり、飼い犬に鳥もも肉を2切れ奪われるなどしている。なんて犬だ。

 (小林家在住 2歳 りんご)

 この間、noteの奥底にあったこの文章を発見してしまった。25歳にして、はじめて虫を食べた衝撃にここに書き綴っていた。

出だしが
「いやほんとはじめて、虫を口にした。」だった。いやほんとはじめて、なんて言葉をつけなくても誰も疑わないのに、余分にこの言葉がついてる時点で、動揺が見受けられた。

今度から、あれー…これあれだわ、コオロギと味が似てるわという食レポができるようになる。このスープ、なんかセミ身体の部分にも似ているとか言えるようになるんだよ。
とバカ丸出しだった。

 虫を食べると言ういつどのタイミングでそんな次元にいつルートインした?
(なんかジョブインみたいな言い方すると意識高いみたいに聞こえるじゃん!!やめて!)
 挙句、人を巻き込んでしまったので、申し訳なかったのだけど「この機会がなかったら、虫を口にすることはなかったからよかった」というので、だいぶ安心したし、凄い背が高かった。自動販売機だったなあ。
財布を無くしたと思ったら、財布が鞄の奥底にあった時くらい安心した。

 昆虫食は前々から興味があった、なぜ興味があったかは単純に「昆虫食」っていうカテゴリーがあったのに、そのビジュアルをみて、口にいれようと思ったことがないから。食べたことがないからだ。いや、まあ普通はそうだよな、食べないよ。
でもそんなジャンルがあるのに、食べたことがないなんてもったいない、単純に考えて食べてみたい!
とかいう好奇心の大勝利だった。
よく、ついてきてくれる人がいたね、と会社の人も苦笑いしていた。私もそう思うし、昆虫食食べてみたいんですよね、と言ってドン引きしないのも凄いありがたい。

はじめの一歩。


某漫画のタイトルとおなじだね、書いてて思わず、あ、と思った。悪気はないから著作権がとかいうのはやめてほしいの。
 ドアを開けたら異世界感があった。虫を食べると言う行為が自分にとって「異世界」だったのだから、普通の場所でも異世界だと思うだろうな。コンビニでも昆虫食が売ってたら異世界だと思うもん。
 パッと見無機質に見える場所もなんだか、異質感が拭えない。壁の棚に並ぶ蛇や虫たちの瓶詰め。コの字になったテーブルとテーブルを照らす光と、座りにくい椅子。なんだかどきり、と。した。特別感。アァッ今から虫を食べるからだね?!

 フレンドリーに声をかけてきてくれる店員さんたち、魔術師感(昆虫食の料理してるくらいだからもっとダークな感じかと思ったら、そうじゃなかった)はなかったし、明るい。とても素敵。お姉さんのピアスは虫モチーフだった。虫。

 メニューリストを渡されて、チラッと覗くとあまり聞き慣れない料理名が視界に映る。なんだろう、セミの、セミの気持ちってなんだろう。セミまるごとでてくるのかな…とか不安がる。

一つ一つ出されるたびに、説明が加えられ、カトラリーからお皿がすべて独特なお洒落なものに変わっていく。怯えていた感覚を覚えた虫でさえ、すんなり口に入っていくものだから、これが当たり前の世界だと思える。異世界が身体に馴染んでいく感じ。

 周りをみると親子もいたし、女の子同士できてるし、男性組もいた。みんな興味津々に、恐る恐るお箸を握るが、思ったよりもすぐに口に運んでいた。
 手慣れてるな?!手慣れすぎだな?!朝も虫食べてきたんだろ?!と疑いそうになった。
しかし、きっと雰囲気がそうさせるのもあるし、元々虫を食べようとして此処に来たから当たり前かとも思う。ただ、お願いだ、もう少し躊躇してほしい。すげえよ、ほんと、わぁー凄いとかいいながらスナック気分でコオロギ口にいれるんだよ、私もそのノリにのった。ノリにのれる私を人生ではじてめて褒めたかった。だって!!セミ!!
 しかし、しかしだ。
 ビジュアルだけで、食べられないのはもったいない味で、面白い。某アニメのように服は破れなかったよ、近所の公園でとった蝉。

なにより、料理の盛り付け方から味の付け方がきっとよかった。いや間違いなくよかった。ここのお店を選んでいただいて、優勝です。料理の写真は是非行って欲しいから載っけるのはやめとこうかなと思う。セミの気持ちをみんなにも共感してほしい。たのむ、セミの気持ちを!いや、セミを!!

あ、でもお兄さんにも説明を受けたけど、コオロギは、コオロギが食べるものによって、変化するようで、すごい味わいが深い、深い深い未知の味。

 少しの苦味と甘みに舌が馴染む。人生初めて食べた「昆虫」は、不思議なものだった。
食べろ。




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