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【奥会津・南会津の旅2019③】山への畏れをかきたてる神の座(おわ)す地〜鎮守神・疱瘡神・愛宕神(福島県檜枝岐村)

“行き当たりばったり”な奥会津・南会津の旅2019の3回目。今回は檜枝岐歌舞伎が奉納される村の鎮守神、同じ場所に鎮座する疱瘡神、愛宕神を紹介します。

前回の記事はコチラ↓

色鮮やかな幟が並ぶ参道を通り、鎮守神と疱瘡神を参拝します。2座が鎮座されるのは、檜枝岐の舞台の向かい側の丘陵地にあるこんもりとした社叢の中。なんとも「山の神の座す場所」にふさわしい、畏れを感じさせる場所なのでした。

鎮守神には、疱瘡神と……真ん中は山土神でいいのかな?……も祀られています。
鎮守神のご祭神は残念ながら不明(検索してみましたが、分かりませんでした)

「山土神」も不明。検索で「山の神講」という若者中心とした講があったことまではわかりましたが、関係するかどうかも不明でした。

疱瘡神は「ほうそうがみ」か「いものがみ」と読むらしい。その名の通り、疱瘡(天然痘)をまぬがれる、あるいは軽傷を祈って祀られた神様です。

石段に掲げられた「疱瘡神(ほうそうがみ)由来」には

元禄9年(1696)秋、全国に疱瘡はやりし折、当村重郎兵衛(じゅうろうべえ)の子次郎助(じろうすけ)疱瘡にかかり発熱悶絶すれば、神この子に乗り移り給い次のようにお告げになったことに始まる。

 神曰く『吾は疱瘡観音にして疱瘡神なり、吾は信濃国善光寺の境内に住みおりしが、盗人に火を付けられ、そこを飛び出し、常陸出羽国をはじめ立岩村光照寺(こうしょうじ)に7年、利根小中村に7年と諸国を廻りこの地に至る。当地は山川の眺め清く、民の心も誠実で住みよき所なれば、吾この地に永住し民の心の守り神となる。故社を建つべし……云々』
※本当に「云々」と記されています!

 氏子一同にお告げの通り社を建て神を安置し日夜崇らば、その後疱瘡はやりても軽くすみ村中益々栄えたり。(疱瘡由来記より)」

とあり、疱瘡神は、江戸時代初期から鎮座されているようです。

手前にピンを合わせてみた

参道奥の鳥居。左側が「奥会津・南会津の旅2019②」でご紹介した「檜枝岐の舞台」です。

檜枝岐歌舞伎は、神に奉納されるもの。神様の向かい側に舞台があり、参道の両脇の石段が観客席を兼ねています。

石段を登ると、ずらりと並ぶ苔むした祠。木漏れ日が神秘的(だけど、ちょっと怖いかも…)

鬱蒼とした社叢(社叢の表現がいつもワンパターン(;^_^)

ちょっと雰囲気が怖いなーと思いつつも、撮らずにはいられない。
祠は檜枝岐の舞台の向かい側の丘陵地に並んでいます。こういう雰囲気を見ると、「山は神の座す場所」と実感してしまう。なんというか、心の奥深くにある根源的な畏れを刺激されるというか。それは、日本人のDNAに刻まれた自然への畏れなのかもしれません。

わたし、自然は好きですが、神が鎮座される山はちょっと怖かったりします。前回紹介した山形県の羽黒神社など、大きな神社はそこまで怖くないのですが、今回の鎮守神や疱瘡神、半夏生の祭りで有名な大内宿(下郷町)の高倉神社、それからいずれ紹介する南会津町の廣瀬神社などは、うなじの毛が逆立つような畏怖を感じてしまいます。

それだけ、その地域の人びとが、その地に鎮座される神を信じて、一心に祈りを捧げたからかもしれません。というか、科学も医療も発達していない時代の人びとは、災害や病気に対して「神」に祈りを捧げるしかなかった。
それだけ、真剣だったというか、現代のわたしたちが「好きな人と結ばれますように」とか「お金持ちになりたい」とか個人的な願望で祈りを捧げるのとは、本気度が違うといいますか。そういう本気の思いが、なんとなく伝わってくるような気がするのでした。

覆屋付きの社殿。こちらが鎮守神かな?

奉納されたご神馬さま。

狛犬さん吽形

狛犬さん阿形

参拝して、石段を降ります。昼間なのに薄暗く、森の湿った匂いが漂います。
どこか畏怖を感じさせる光景が広がっていました。

ここからは、少し離れた場所に鎮座される愛宕神の写真です。5月の檜枝岐歌舞伎は、こちらに奉納されます。

愛宕神へ至る石段

木漏れ日が神々しい。

御愛宕様(おあたごさま)の案内板より。

「村内を一望できる高台にあり、火難、水難、風難とあらゆる際の悪を鎮め、守り給う神として村人の尊崇が高い。享保20年(1735)3月の建立で、苔むした石段の数は108を数える。

例祭は5月12日で、当日は古典芸能檜枝岐歌舞伎を奉納する」

とのこと。愛宕神社は火伏せの神ですが、こちらの「御愛宕様」は、水や風の被害も鎮めてくださるとのこと。やはり、当時の村人(享保年間)の切なる願いを感じます。

この石段、登ったかな? 登ってないのかな? 記憶が曖昧です…(;^_^

108段の石段(煩悩の数か!)

ユリが盛りでした。

だけど、奥会津は秋も早くて…

「日本秘湯を守る会」の旅館が…! こういうところに宿泊したいな。

……と思いながら、檜枝岐を後にしました。

あ、道の駅に立ち寄りました! そうだ、尾瀬にも行きたい!

道の駅。やはり山が深いです。

ジュースで喉をうるおして。

このあと、わたしは一路南会津へ。
次回は南会津の「前沢曲家集落」ご紹介する予定です。


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