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【SKCファン小説】一人酒しながら読む話

※見開き1ページ相当の小説です

「今日も今日とて嫌なことばっかりだ! シラフでやってられるか! 飲むぞ!」

 飲み過ぎないように気をつけるのは大前提で。ビールを開けて、キンキンなシュワシュワをグビグビっと流し込む。
「ああ、ウマい!」
 たまんねぇな! 疲れた身体が生き返るような感覚がする。
「枝豆、唐揚げ、餃子! そしてビール! やっぱ最高だな!」

 誰もいない部屋に独り言が響く――それがなんぼのもんじゃい。

 一人酒最高!

 スマホを取り出してSNSを見ながら。
「聞いてくれよ、皆さんよー。今日も泣きたいぐらいに嫌なことがあってさぁ。だからもう乾杯するしかないって言うかぁ。つーことで、かんぱーい!」

 書かれてる愚痴愚痴愚痴。
 いいねえ。最高。やっぱ書いちゃうよな、こういうのって。

「さあ全世界のカスども! 今日も盛大に飲もうじゃないか! へへ、かんぱーい!」

 こんなことやりながらこんなこと言ってる自分がちょっと寂しくなったけど。
 それもまた一興いっきょうってやつだ。
 ビールを照明にかざす。
「寂しさも、全ては旨味ってやつさ」
 ビールを飲む。ぐいぐいっと飲む。

「社会ってのはなんともまあ疲れるもんだ。嫌なことばっかだし。だからこそ飲むしかねえ。飲めばいいのさ。あっはっは!」

 またぐいっと飲む。

「っとっとっと。ありゃ、切れたな」
 でもまだ飲める。次のビールだ。

 酒が身体に悪いって? 知ってるわ、そんなこと!

 でもなあ、肝臓を生贄に捧げてでも見たい夢ってのがあんのよ!

 最高の夢を見るんだよ!

 へへ、今日もビールがウマい!

「って、もう無くなったか」
 そうだなぁ。うーん。これ以上はあれだけど……。
「濃い酒飲みてぇな。ウイスキー飲むか」

 グラスに注いで、ソーダをぶち込む。よし、完成。
 さてさて。

「改めまして、全世界の俺みたいなカスどもに――乾杯!」


※この作品は『全世界のカスどもへ乾杯』をモチーフとしたものです。
※作中には個人の感覚や解釈、意図が含まれていますので、あくまでファンアートとして理解していただけると助かります。

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