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内部通報制度が機能しない理由

「内部通報制度が機能しない理由」および「内部通報制度を機能させる方法」について、スルガ銀行第三者委員会「調査報告書(公表版)」(2018年9月7日)から考察していきます。

■内部通報制度が機能しない理由【その1】

「社内に内部通報制度が存在することをそもそも知らない。」

スルガ銀行においては、行内に内部通報制度が存在することを知っていた行員は90.5%
つまり、知らない行員が10%弱もいる。

〇内部通報制度を機能させる方法

「知っているはず」「周知できているはず」はキケン
従業員に対しアンケート調査を実施する、ポスター掲示、社内報で発信、携帯カードの配布など、周知策をしっかり行うことが最初の一歩

■内部通報制度が機能しない理由【その2】

「内部通報制度が信頼されていない。」

第三者委員会が実施したアンケート結果では、内部通報制度を利用しようかと思ったけれども止めた行員が198名もいる(アンケートに回答した行員:3,595名)。

内部通報制度の利用を止めた理由は、
・通報したことが社内で判明してしまうことをと恐れた
・どうせ無駄だから
・取り合ってもらえないから
・何らかの制裁を受けると思ったから
・報復を受けると思ったから
・通報すると上席者に分かってしまう

つまり、上司の横暴やパワハラが是正されないと内部通報制度の利用を諦めてしまい、また、過去に通報者が特定された事件が一件でもあると(噂でも)、極端に委縮してしまうことに留意しなければなりません。
これら誤った対応の積み重ねが負の企業風土を形成し、結果、内部通報制度は機能しなくなってしまいます。

〇内部通報制度を機能させる方法
・真剣かつ公正に処理し、その実績を積み上げる
適切に対応した事例が出ると、従業員の見る目も変わる。通報があった案件についてきちんと調査し、厳しく処分する(上司であろうと経営幹部であろうと)と、そのような情報は社内に拡散し、明るい希望になる。したがって、まずは、通報があった案件について、真剣かつ公正に処理をし、その実績を積み上げることである。

・通報窓口を設けて待っているだけではダメ
こちらからお伺いに行くことも考えるべきである。半期に一度くらい、窓口の側から「何か気になっていることはありませんか?」「これは問題ではないかと思っていることはありませんか?」などと尋ねていくのである。そういうメールが来れば、日頃どうかと思っていることを気楽に伝えてくれることがある。メールだけでなく、例えば監査役とか、社外役員など、少人数で話を聞く機会を設けることも有効である。

会社が誠実で公正な経営をすることが信頼の基本であり、従業員に配慮したきめ細やかな対応を行うことが必要となります。

さらに、貴社の内部通報制度について、
・「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」に適合しているか否か点検する。
・「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」を活用する。

※「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」の概要

内部通報に対するハードルを下げる工夫を積み重ね、内部通報制度に対する従業員の信頼性を向上させていきましょう。

福田秀喜(行政書士福田法務事務所)
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【追伸】

「改正公益通報者保護法」に対応した
「内部通報制度規程(雛形)」をご提供します。


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