Make SMILE😊
「俺、この世界を笑顔で溢れさせる」
男は夢を語る。郊外の丘で、眼前の広大な星空に負けるまいと。草花
に腰かけて。拳を高々と掲げてそう豪語した。
「大きく出たな。とんでもなく大きな夢だ。そんなことできるのか?」
それを聞いた男は、そのスケールを咎めはしなかった。むしろ、面白そうに煽るような言葉を投げかけた。
「難しい事じゃないさ。そう、難しくない。俺は一言言えばいいだけなんだから」
「一言だって? 誰に?」
「お前に」
「俺に?」
突然の指名。男は彼に顔を向けて、二の句を待つ。
「そう……」
星を浴びた男は満足したのか大の字に寝そべって、男と向
かい合い、告げた。
「……ありがとうな、いつも。こんな事を話せるのもお前だけだよ」
「なんだよ急に……まあいいけどさ」
突然の言葉に、目頭が熱くなる。思わず笑みが溢れた。なんだか気恥ずかしいと、男は弁慶の泣き所をつついてやった。
「俺も結婚式で、祝辞しても良いくらいには親友だと思ってるよ」
「おい、既婚者」
「おうよ……で、あんな豪語しといてなんだよ」
「実はもう、一人目は達成していて、だな」
「ああ、そうかい」
「次のターゲットは、コンビニの店員だろ? その次は……」
男は暮らしでお世話になっている一人一人に、
「ありがとう」を言うらしい。何気ない労りの一言。だがこの一言
は、やがて次の人間へ伝えられ、また別の場所へと波及する。
「ありがとう」を言った。言われた。
それだけで、何故かその日、頑張れる。不思議と笑顔でいたくなる。
――心から。
なんでしょう。
改めて、中身のない事でも文章に起こすと気持ちの整理がつきますよね。
そんなわけで、物書きリハビリ第一弾は、「笑顔」でした。何だかよく分からないメロドラマみたいになりましたが。
「笑顔」って、簡単に作れちゃうんです。
そう。例えば店員に「ありがとうございました」と言う / 言われるだけでも、なんだか嬉しくなりません?
手に下げたビニール / 紙袋に入った晩御飯や洋服を堪能するのが一層楽しみに。
店員さんも、あなたの次に並んでいたお客様に快活な笑顔を見せている事でしょう。
余談ですが、今回の男2人。私と高校からの友達T君をモデルにしてます。
お互いのパーソナリティに深く踏み入れる事もなく、週末にamazon prime videoを通話しながらウォッチパーティー。不定期でご飯に行くお友達。
ラクな関係ながら、卒業後の関係の中では一番長く続いております。
予定の合わせ方もお互いどんな人間か分かってるので、ササっと譲歩できる。
(この記事を読まれて「お前そんなこと思ってたのか」と言われるキーワードはないはずだ)
それではまた。きぬたにすけでした。
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