きぬたごう

鎌倉在住の編集ライター。道具や建物の古いもの、自然と自然科学(地質も!)、歴史の話、お…

きぬたごう

鎌倉在住の編集ライター。道具や建物の古いもの、自然と自然科学(地質も!)、歴史の話、お酒とお風呂、ものごとの由来を知ること、そしていい文章と、普通に立派に生きている普通の生活者が好きです。

マガジン

  • 鎌倉暮らし

    長谷在住の編集ライター・私の記事をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

うぐいす

3月にはつたなかったうぐいすたちの鳴き声にも日に日に磨きがかかり、今日の一声は、なんとも見事なもの。ホーホホ、と長く前置きをしてからホケキョ、と軽やかに、たまに転調なんかも入れつつ朗らかに囀っている。食材を買いに通りへ出ると、ついこないだまで鋭意営巣中、と忙しげに軒下に草を運んでいたつばめのマイホームもようよう完成しており、矢のように巣から飛び出て、車も人も少なくなった通りをのびのびと飛び回っている。散歩がてら海辺に出ると、浜に干されているワカメがさわさわと鳴り、道端には気づ

    • やりとり

      こんばんは。 鎌倉ではここのところ、ツワブキの花があちこちで咲いています。冬の陽だまりに咲く黄金色の花は、目立つし、とても明るい。綺麗なものは、人に知らせたいと思うものです。なんででしょうか。 小さい頃、かあさんに、公園で咲いていた花を手折って、持って帰ったことがあったのです。かあさんは、ありがとうと言った次に、こう言いました。 「お花は、その場所に咲いている方が幸せなのよ。だから、折ったりしてはいけないの」 私は、頷いて、先ほど折った花を、少し悲しい気持ちで見たかも

      • あわい

        以前、喜界島に取材に向かった時のことだ。鹿児島をたつ予定の飛行機は機体整備のためにかなり遅延し、数時間後にやっと離陸した。プロペラ機は、真っ青な空と雲の間を、バラバラと音を立てつつ南へ飛んでいる。 その数年前に鹿児島の知覧を訪れていたことを、機上で思い出していた。知覧は特攻隊の基地があった地で、記念館には零戦の機体や特攻兵の手紙が展示されてい、その中の慶應大学生だった兵士の方の手紙が、印象に残っていた。明日には出撃、という日にしたためられたその一葉には、内外の諸状況を鑑みて

        • 〝禍福〟

           コロナ禍、という言葉が定着して久しい。災い、不幸せを、禍という。ウィルスにとっては繁栄なう、といったところだろうが、ヒトにとっては確かに災いである。さてそんな折、動物学者・日高敏隆氏の著書を読んでいて、蝶からチンパンジーに到るまで、地球上に生きる動物の行動とヒトのそれを比較考察する氏の一言に目が止まる。「繁栄めいた危機」。  氏は、針葉樹の純林や畑地など「自然の極相あるいはヒトの手により単純化された環境下」で大発生する害虫被害を述べるなかで、単純化された環境とは、ヒトにと

        • 固定された記事

        マガジン

        • 鎌倉暮らし
          3本

        記事

          かなのちから

           初めてnoteという場所に参加しようとしたとき、何を書いて良いやら分からなかったので「名前の由来」というホーム上のテーマを見つけ、それで思うことを、書いた。が、今日、友達とLINEをしていてその友達の名前の読み方(羽鳥)が、「はどり」ではなく「はとり」だと初めて知って、なんだか知ってるようで案外知らないもんだよなぁ人って。と、改めて思った。  名前は確かに記号ではあるが、名付けられたものはその印象を負い続ける、という話が初投稿だった(ヘクソカズラの件)けれど、逆に、知って

          かなのちから

          本。

          首が回らない。経済的に、という側面ではなく(時節柄フリーランスとしてはそれこそ、たいそう怖いのだが)どうも寝違えたようで、昨日から左を向けない。回らなくなって初めて、今まで傍若無人に首を回せていたのだなぁと、改めて気づく。仕方ないので、ギクシャクしながらできることをする。前さえ向ければ特に不自由はない。そう、前さえ向ければ。 ここ一週間、ブックカバーチャレンジという、好きな本の表紙画像を投稿するSNS企画に誘われFBで投稿をしていた。そのため、奥行き3重に詰まっていた本棚を