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[複素数を操る] 複素数の計算を楽にする1つの提案


読む、その前に。

夏休みに入り少し時間に余裕もできたため, 今回はいつもと違ったものを書いてみました.  この記事では僕が1年生のときに受講した「基礎数学II」という講義の一部を(勝手ながら)講義させてもらいます.  内容はタイトルにもある通り複素数をうまく計算するための考察です.  具体的には, 複素数の表し方から始め, 最終的には複素数$${w}$$の$${N}$$乗根方程式$${z^N = w}$$の解き方について考察・講義します.

この講義のゴールはタイトルにもある通り, 複素数をうまく計算するための考察を理解していただくことです.  先にお伝えしておきますが, 本記事を読んだからといって計算方法が身に付くわけではありません.  この記事はあくまでも複素数の計算を楽にするにはどうすればよいのかを考察し, それを理解することに重点を置いております.  具体的な計算方法を身につけるには, 本記事を読んだだけでは不十分で, ご本人が演習を積む時間が必要です.  しかし考察の内容は楽しんでいただけると思いますので, ぜひ最後までお読みください.

また, この記事を書くにあたって板書ノートを参考にしましたが, 「基礎数学II」の講義はあまり深い内容には踏み込んでいませんでした.  そのため, 少し厳密性に欠ける部分があるかもしれませんが, そういった点は大目に見ていただければと思います.  どうしてもここはおかしいと感じる部分がございましたら, 本記事のコメント欄にご指摘いただければ, 修正させていただきます.


必要となる前提知識

  1. ある程度の高校数学

  2. 直交座標系と極座標系

  3. 実数と複素数

  4. 逆三角関数(ただし, $${\arctan}$$のみ)

  5. オイラーの公式

上記の5つが今回の考察に必要な前提知識となります.  5つのうちどれか1つでも不安がある場合は, 以下の補足記事をご覧になってから本記事をご覧になってくださると, すんなり内容が理解できるかなと思います.


実形式と極形式

実形式とは

実形式とは, 複素数を直交座標系で表現する方法です.  複素数$${z}$$は以下のように表されます.  但し$${i}$$を虚数単位$${(i^2=-1)}$$とします.

$$
z = x + iy \quad (x, y \in \Reals)
$$

つまり実形式は高校で複素数を習うとき一番最初に現れる形です.  皆さんご存知の通り, しばしば$${x}$$を実部, $${y}$$を虚部と呼ぶことがあります.
この実形式の特徴は, 複素数を座標平面上のとして簡単に視覚化できるため, (代数的な)加法減法に便利ということです.  しかし実形式は残りの四則演算である乗法除法には向いていません.  そこで登場するのが極形式です.

極形式とは

極形式とは, 複素数を極座標系で表現する方法です.  $${i}$$を虚数単位, $${r}$$を複素数$${z}$$の絶対値, $${\theta}$$を偏角とすると, 複素数$${z}$$は以下のように表されます.

$$
z = r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})
$$

オイラーの公式を用いると

$$
z = r\, e^{i\theta}
$$

となります.  高校ではオイラーの公式を無視して表した方を極形式と呼んだと思いますが, 一般にはオイラーの公式を用いた方を極形式と呼びます.
しかしなぜわざわざオイラーの公式を用いて極形式を表したのでしょうか.  それは, オイラーの公式を用いないと`乗法除法の計算に便利'という極形式の特徴が目立たなくなるためです.  これは後ほど例題で行う具体的な計算を通して納得してもらえればいいと思います.

まとめ

実形式と極形式はそれぞれ複素数$${z}$$を表すための異なる方法だったわけです.  そしてそれぞれには計算を簡単にしてくれる大きな利点(特徴)がありました.  複素数の加法と減法を計算する場合には実形式が便利であり, その逆で複素数の乗法と除法を計算する場合には極形式が便利ということです.

しかし, まだこの段階では実形式・極形式それぞれを相互変換する武器(公式)を持ち合わせていません.  これではある複素数が実形式と極形式の両方で表されていなければ, さきほどいったように計算が複雑になってしまう場面が出てきてしまいます.  そこで次に実形式と極形式を相互変換する具体的な方法について考察してみます.  この公式を持ち合わせていることで, 実形式か極形式のどちらかさえわかっていれば, どちらの特徴も利用できるようになるわけです.


実形式と極形式の理論

偏角の関数表示

先程登場した極形式で, その偏角は$${\theta}$$を用いて表されました.  この$${\theta}$$は独立した変数であり, 一見実形式で表現された複素数とは無関係に見えます.  しかしガウス平面を眺めることで, 偏角$${\theta}$$は複素数の実部と虚部それぞれを変数とする関数として表示されることが明らかになります.  そこでここでは偏角$${\theta}$$がどのように関数として表示されるのかを考察します.

まず最初に以下のようなガウス平面(複素(数)平面)を考えます.

ガウス平面

このガウス平面から以下のことが得られます.

$$
\begin{cases}
\cos{\theta} = \dfrac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}
\\
\sin{\theta} = \dfrac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}
\\
\tan{\theta} = \dfrac{y}{x}
\end{cases}
$$

ここから得られた$${\tan{\theta}}$$の逆関数を考えると

$$
\theta = \arctan\left(\dfrac{y}{x}\right) \quad (0 < x < \infty, -\infty < y < \infty)
$$

というように偏角$${\theta}$$を$${x}$$と$${y}$$, つまり実部と虚部の関数として表示することができました.

実形式から極形式へ

先ほどの考察により, 偏角$${\theta}$$は$${\arctan}$$によって表示できることが明らかになりました.  実はこれで準備は終わりです.  それでは早速実形式から極形式へと変換してみます.

まずは先ほどと同じガウス平面を考えます.

さっきと同じガウス平面

ここで複素数の極形式は

$$
z = r\, e^{i\theta}
$$

と表されました.  $${r}$$は$${z}$$の絶対値であったので, 図より

$$
r = \sqrt{x^2 + y^2}
$$

となります.  先ほど$${\theta}$$も

$$
\theta = \arctan\left(\dfrac{y}{x}\right)
$$

と表されたので, 結局複素数$${z}$$の極形式は

$$
z = \sqrt{x^2 + y^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{y}{x}\right)}
$$

と表されます.  上記のように表された極形式はすべて(定数以外は)$${x}$$と$${y}$$だけで書けているため, 実形式から極形式へ直接変換ができるわけです.
実際には以下のように実形式から出発し, 式変形を繰り返すことで極形式の形に表すことができました.

$$
\begin{align}
z &= x + iy \notag \\
&= \sqrt{x^2 + y^2}\, \left( \dfrac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}} + i\dfrac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}\right) \notag \\
&= \sqrt{x^2 + y^2}\, \left( \cos{\theta} + i\sin{\theta} \right) \notag \\
&= \sqrt{x^2 + y^2}\, e^{i\theta} \notag \\
&= \sqrt{x^2 + y^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{y}{x}\right)} \notag \\
\end{align}
$$

まとめ

以上のようにして, 実形式と極形式を相互変換する公式を見つけることができました.

$$
x + iy = \sqrt{x^2 + y^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{y}{x}\right)}
\quad
(0 < x < \infty, -\infty < y < \infty)
$$

ただし, ここで注意しなくてはならない欠点が1つだけ存在します.  それは複素数の実部$${x}$$が正, つまり$${x > 0}$$でなくては上の公式は使用できないということです.  これは$${\arctan}$$の定義域  $${0< x < \infty}$$が原因になっています.
しかし実は実部$${x}$$が負, つまり$${x < 0}$$の場合でも上記の公式は適用できるんです!  武器の欠点は自分で補えばいいってことです.  どのように適用するのかは例題の解答を見て考えてみてください.  すぐわかると思います.


N乗根方程式

$${1}$$の$${N}$$乗根方程式$${z^N = 1}$$を解く際に$${1}$$を極形式で表示したもの($${1}$$の極形式表示)がとても活躍します.  ここでは$${1}$$の$${N}$$乗根方程式の一般解を求めたいと思います.  この一般解を求める際のプロセスは, 複素数$${w}$$の$${N}$$乗根方程式$${z^N = w}$$を解くことに繋がります.

単位円

単位円とはガウス平面において半径$${1}$$で, 原点$${O}$$を中心とする円のことを指します.  この単位円上に位置する複素数$${z}$$は次の条件を満たします.

$$
|z| = 1
$$

つまり絶対値が$${1}$$の複素数がこの単位円上に(無限個)存在します.

単位円の根(1のN乗根)

単位円の根とは次の方程式を満たす複素数$${z}$$のことです.

$$
z^N = 1
$$

これを解くと(代数学の基本定理より)複素数の形で$${N}$$個の根が得られます.  これは, 上記の$${N}$$次方程式$${z^N = 1}$$が以下のように因数分解できることからでもわかります.

$$
\begin{align}
z^N &= 1 \notag \\
0\, &= z^N - 1 \notag \\
&= (z - 1)(z^{N-1} + z^{N-2} + \dots + z + 1) \notag
\end{align}
$$

この因数分解された形は, $${z^N = 1}$$の解は$${1}$$を含み$${z^{N-1} + z^{N-2} + \dots + z + 1= 0}$$が成り立つことを意味します.
さらに$${N}$$個の$${1}$$の$${N}$$乗根$${z_n}$$は以下の形で表されます.

$$
z_n = e^{i\frac{2n}{N}\pi} \quad (n = 0, 1, 2, \dots, N-1)
$$

ここで添字の$${n}$$は各根の番号を表します.  導出方法は以下のとおりです.

$$
\begin{align}
z^N &= 1 \notag \notag \\
&= 1 + i\, 0 \notag \\
&= \cos{0} + i\sin{0} \notag \\
&= \cos(2n\pi) + i\sin(2n\pi) \notag \\
&= e^{i2n\pi} \notag \\
両辺を&(1/N)乗して \notag \\
z_n &= e^{i\frac{2n}{N}\pi} \quad (n = 0, 1, 2, \dots, N-1) \notag \\
\end{align}
$$

また上の導出から以下のような$${1}$$の極形式表示を得られます.

$$
1 = e^{i2n\pi}\quad (n = 0, \pm1, \pm2, \dots)
$$

幾何学的な解釈

先ほど添字の$${n}$$は根の番号を表すといいましたが, これは`各根$${z_n}$$がそれぞれ単位円上の異なる位置に対応する'ことを表します.  つまり$${1}$$の$${N}$$乗根$${z_n}$$は`単位円上に等間隔で配置された$${N}$$個の点' として解釈できます.
図にすれば, 各根$${z_n}$$はそれぞれ角度$${\dfrac{2\pi}{N}\, [\mathrm{rad}]}$$ずつ回転した位置にあります.

単位円周をN等分

例えば$${N = 4}$$の場合, つまり$${1}$$の$${4}$$乗根は, 次の$${4}$$つの位置です.

  • $${z_0 = 1 \quad}$$(実軸の1の位置)

  • $${z_1 = i \quad}$$(虚軸のiの位置)

  • $${z_2 = -1 \quad}$$(実軸の-1の位置)

  • $${z_3 = -i \quad}$$(虚軸の-iの位置)

実際これらはガウス平面上を$${\dfrac{\pi}{2}\, \mathrm{rad}}$$ずつ回転した位置に配置されています.

N = 4 の場合

まとめ

これまでの考察により$${z^N = 1}$$の一般解は

$$
{z_n = e^{i\frac{2n}{N}\pi}\quad (n = 0, 1, 2, \dots, N -1)}
$$

であることがわかりました.  この一般解を求めるプロセスは複素数$${w}$$の$${N}$$乗根方程式$${z^N = w}$$を解くプロセスと深く関係しています.
具体的には以下の手順で$${z^N = w}$$を解きます.

1.与えられた$${N}$$乗根方程式$${z^N = w}$$の右辺に$${e^{i2n\pi}(=1)}$$を掛ける

$$
\begin{align}
z^N &=w \notag \\
&= w\cdot 1 \notag \\
&= w\cdot e^{i2n\pi} \notag
\end{align}
$$

2.複素数$${w}$$を極形式に書き換える(既に極形式の場合はそのまま)

$$
\begin{align}
z^N &= w\cdot e^{i2n\pi} \notag \\
&= \left(x + iy\right)e^{i2n\pi} \notag \\
&= \sqrt{x^2 + y^2}\, \left(\cos{\theta} + i\sin{\theta}\right) e^{i2n\pi} \notag \\
&= r\, e^{i\theta}\cdot e^{i2n\pi} \notag
\end{align}
$$

3.$${e}$$の指数を計算する

$$
\begin{align}
z^N &= r\, e^{i\theta}\cdot e^{i2n\pi} \notag \\
&= r\, e^{i(2n\pi + \theta)} \notag
\end{align}
$$

4.両辺を$${\frac{1}{N}}$$乗する

$$
\begin{align}
z^N &= r\, e^{i(2n\pi + \theta)} \notag \\
&\Updownarrow \notag \\
z_n &= r^{\frac{1}{N}}e^{i\frac{2n\pi + \theta}{N}} \notag
\end{align}
$$

ここで, 添字$${n  (= 0, 1, 2, \dots, N-1)}$$を付けておくことで計算忘れがなくなる.

5.$${z_n = r^{\frac{1}{N}}e^{i\frac{2n\pi + \theta}{N}}}$$を$${n = 1, 2, \dots, N-1}$$にわたって計算する

例題では以上の5つの手順を追って解いています.  というか僕自身がこの解き方でしか解けません.  具体例はぜひ例題を見ていただけたらと思います.


例題

それでは先ほど求めた変換公式$${x + iy = \sqrt{x^2 + y^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{y}{x}\right)}}$$を用いて基本的な例題を解いてみましょう.  求めても使わなければ意味がないですからね.
例題3$${(4)}$$ではあの有名な2005年名古屋大学で出題された6次方程式を面倒くさい計算や式変形なしで解いてみます.

例題1

次の複素数を極形式$${re^{i\theta}}$$で表せ.  ただし$${r > 0, -\pi\le \theta \le \pi}$$である.

$$
\begin{align*}
(1)  &  1 + i  &  (2)  &  -1 + i\sqrt{3}  &  (3)  &  \frac{1 + i\sqrt{3}}{1 + i}
\end{align*}
$$


$${(1)}$$

$$
\begin{align}
1 + i &= \sqrt{1^2 + 1^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{1}{1}\right)} \notag \\
&= \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}} \notag \\
\end{align}
\\
\therefore 1 +i = \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}}
$$

$${(2)}$$

$$
\begin{align}
-1 + i\sqrt{3} &= -(1 - i\sqrt{3}) \notag \\
&= (\cos{\pi} + i\sin{\pi})\left(\sqrt{1^2 + \sqrt{3}^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{-\sqrt{3}}{1}\right)}\right) \notag \\
&= e^{i\pi}\cdot \sqrt{4}e^{i(-\frac{\pi}{3})} \notag \\
&= 2\, e^{i\frac{2}{3}\pi} \notag \\
\end{align}
\\
\therefore -1 + i\sqrt{3} = 2\, e^{i\frac{2}{3}\pi}
$$

$${(3)}$$

$$
\begin{align}
\frac{1 + i\sqrt{3}}{1 + i} &= \dfrac{\sqrt{1^2 + \sqrt{3}^2}\left(e^{i\arctan\left(\frac{\sqrt{3}}{1}\right)}\right)}{\sqrt{1^2 + 1^2}\left(e^{i\arctan\left(\frac{1}{1}\right)}\right)} \notag \\
&= \dfrac{\sqrt{4}\, e^{i\frac{\pi}{3}}}{\sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}}} \notag \\
&= \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{3}}\cdot e^{i(-\frac{\pi}{4})} \notag \\
&= \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{12}} \notag
\end{align}
\\
\therefore \frac{1 + i\sqrt{3}}{1 + i} = \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{12}}
$$

例題2

次の複素数を計算せよ.

$$
\begin{align*}
(1)  &  (1 + i)^7  &  (2)  &  \left(\dfrac{\sqrt{2} + i\sqrt{2}}{\sqrt{3} + i}\right)^{12}  &  (3)  &  \dfrac{(1 - i)^6}{(1 + i)^8}  &  (4)  &  \sqrt{i}
\end{align*}
$$


$${(1)}$$

$$
\begin{align}
(1 + i)^7 &= \left(\sqrt{1^2 + 1^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{1}{1}\right)}\right)^7 \notag \\
&= \left(\sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}}\right)^7 \notag \\
&= 2^{\frac{7}{2}}\, e^{i\frac{7}{4}\pi} \notag \\
&= 2^3\cdot 2^{\frac{1}{2}}\left(\cos{\frac{7}{4}\pi} + i\sin{\frac{7}{4}\pi}\right) \notag \\
&= 8\sqrt{2}\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}} + i\left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)\right) \notag \\
&= 8(1 -i) \notag \\
\end{align}
\\
\therefore (1 + i)^7 = 8(1 - i)
$$

$${(2)}$$

$$
\begin{align}
\left(\dfrac{\sqrt{2} + i\sqrt{2}}{\sqrt{3} + i}\right)^{12} &= \left(\dfrac{\sqrt{\sqrt{2}^2 + \sqrt{2}^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}\right)}}{\sqrt{\sqrt{3}^2 + 1^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)}}\right)^{12} \notag \\
&= \left(\dfrac{2\, e^{i\frac{\pi}{4}}}{2\, e^{i\frac{\pi}{6}}}\right)^{12} \notag \\
&= \left(e^{i\frac{\pi}{12}}\right)^{12} \notag \\
&= e^{i\pi} \notag \\
&= \cos{\pi} + i\sin{\pi} \notag \\
&= -1 \notag
\end{align}
\\
\therefore \left(\dfrac{\sqrt{2} + i\sqrt{2}}{\sqrt{3} + i}\right)^{12} = -1
$$

$${(3)}$$

$$
\begin{align}
\dfrac{(1 - i)^6}{(1 + i)^8} &= \dfrac{\left(\sqrt{1^2 + (-1)^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{-1}{1}\right)}\right)^6}{\left(\sqrt{1^2 + 1^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{1}{1}\right)}\right)^8} \notag \\
&= \dfrac{\left(\sqrt{2}\, e^{i\left(-\frac{\pi}{4}\right)}\right)^6}{\left(\sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}}\right)^8} \notag \\
&= \dfrac{2^3\, e^{i\left(-\frac{3}{2}\pi\right)}}{2^4\, e^{i2\pi}} \notag \\
&            e^{i2\pi} = 1  より \notag \\
&= \dfrac{1}{2}\, e^{i\left(-\frac{3}{2}\pi\right)} \notag \\
&= \dfrac{1}{2}\, \left\{\cos\left(-\frac{3}{2}\pi\right) + i\sin\left(-\frac{3}{2}\pi\right)\right\} \notag \\
&= i\dfrac{1}{2} \notag \\
\end{align}
\\
\therefore \dfrac{(1 - i)^6}{(1 + i)^8} = i\dfrac{1}{2}
$$

$${(4)}$$

$$
\begin{align}
\sqrt{i} &= (0 + i\,1)^{\frac{1}{2}} \notag \\
&= \left(\sqrt{0^2 + 1^2}\, e^{i\arctan\left(\frac{1}{0}\right)}\right)^{\frac{1}{2}} \notag \\
&= \left(1\cdot e^{i\arctan\left(\infty\right)}\right)^{\frac{1}{2}} \notag \\
&= \left(e^{i\frac{\pi}{2}}\right)^{\frac{1}{2}} \notag \\
&= e^{i\frac{\pi}{4}} \notag \\
&= \cos{\dfrac{\pi}{4}} + i\sin{\dfrac{\pi}{4}} \notag \\
&= \dfrac{1}{\sqrt{2}} + i\dfrac{1}{\sqrt{2}} \notag \\
&= \dfrac{1}{\sqrt{2}}\left(1 + i\right) \notag \\
\end{align}
\\
\therefore \sqrt{i} = \dfrac{1}{\sqrt{2}}\left(1 + i\right)
$$

例題3

次の$${N}$$次方程式の解を複素数の範囲で$${N}$$個求めよ.  解は実形式で記述せよ.

$$
\begin{align*}
(1)  z^3 &= -i  &  (2)  z^3 &= \dfrac{1 + i}{1 - i}  &  (3)  z^4 &= -4  &  (4)  z^6 &= 64
\end{align*}
$$


$${(1)}$$

$$
\begin{align}
z^3 &= -i \notag \\
&= \left(0 + i(-1)\right)\cdot 1 \notag \\
&= \left(\cos{\dfrac{3}{2}\pi} + i\sin{\dfrac{3}{2}\pi}\right)\cdot 1 \notag \\
&= e^{i\frac{3}{2}\pi}\cdot e^{i2n\pi} \notag \\
&= e^{i\left(\frac{3}{2} + 2n\right)\pi} \notag \\
&= e^{i\frac{4n + 3}{2}\pi} \notag \\
&\Updownarrow \notag \\
z_n &= e^{i\frac{4n + 3}{6}\pi}\quad (n = 0, 1, 2) \notag \\
z_0 &= e^{i\frac{\pi}{2}} = \cos{\dfrac{\pi}{2}} + i\sin{\dfrac{\pi}{2}} = i \notag \\
z_1 &= e^{i\frac{7}{6}\pi} = \cos{\dfrac{7}{6}\pi} + i\sin{\dfrac{7}{6}\pi} = -\dfrac{\sqrt{3}}{2} - i\dfrac{1}{2} \notag \\
z_2 &= e^{i\frac{11}{6}\pi} = \cos{\dfrac{11}{6}\pi} + i\sin{\dfrac{11}{6}\pi} = \dfrac{\sqrt{3}}{2} - i\dfrac{1}{2} \notag \\
\therefore &
\begin{cases}
z_0 = i \\
z_1 = -\dfrac{1}{2}\left(\sqrt{3} + i\right) \\
z_2 = \dfrac{1}{2}\left(\sqrt{3} - i\right)
\end{cases} \notag
\end{align}
$$

$${(2)}$$

$$
\begin{align}
z^3 &= \dfrac{1 + i}{1 - i} \notag \\
&= \dfrac{1 + i}{1 - i}\cdot \dfrac{1 + i}{1 +i}
= \dfrac{(1 + i)^2}{1 - i}
= \dfrac{1 + i\, 2 - 1}{2} \notag \\
&= i
= 0 + i\, 1 \notag \\
&= e^{i\frac{\pi}{2}}\cdot 1 \notag \\
&= e^{i\frac{\pi}{2}}\cdot e^{i2n\pi} = e^{i\left(2n + \frac{1}{2}\right)\pi} \notag \\
&= e^{i\frac{4n + 1}{2}\pi} \notag \\
&\Updownarrow \notag \\
z_n &= e^{i\frac{4n + 1}{6}\pi}\quad (n = 0, 1, 2) \notag \\
z_0 &= e^{i\frac{\pi}{6}} = \cos{\dfrac{\pi}{6}} + i\sin{\dfrac{\pi}{6}} = \dfrac{\sqrt{3}}{2} + i\dfrac{1}{2} \notag \\
z_1 &= e^{i\frac{5}{6}\pi} = \cos{\dfrac{5}{6}\pi} + i\sin{\dfrac{5}{6}\pi} = -\dfrac{\sqrt{3}}{2} + i\dfrac{1}{2}\pi \notag \\
z_2 &= e^{i\frac{3}{2}\pi} = \cos{\dfrac{3}{2}\pi} + i\sin{\dfrac{3}{2}\pi} = -i \notag \\
\therefore &
\begin{cases}
z_0 = \dfrac{1}{2}\left(\sqrt{3} + i\right) \\
z_1 = -\dfrac{1}{2}\left(\sqrt{3} - i\right) \\
z_2 = -i
\end{cases} \notag
\end{align}
$$

$${(3)}$$

$$
\begin{align}
z^4 &= -4 \notag \\
&= 4\left(-1 + i\, 0\right) \notag \\
&= 4\, e^{i\pi} \notag \\
&= \sqrt{2}^4\, e^{i\pi}\cdot 1
= \sqrt{2}^4\, e^{i\pi}\cdot e^{i2n\pi}\notag \\
&= \sqrt{2}^4\, e^{i\left(2n + 1\right)\pi} \notag \\
&\Updownarrow \notag \\
z_n &= \sqrt{2}\, e^{i\frac{2n + 1}{4}\pi}\quad (n = 0, 1, 2, 3) \notag \\
z_0 &= \sqrt{2}\, e^{i\frac{\pi}{4}} = \cos{\dfrac{\pi}{4}} + i\sin{\dfrac{\pi}{4}} = 1 + i \notag \\
z_1 &= \sqrt{2}\, e^{i\frac{3}{4}\pi} = \cos{\dfrac{3}{4}\pi} + i\sin{\dfrac{3}{4}\pi} = -1 + i \notag \\
z_2 &= \sqrt{2}\, e^{i\frac{5}{4}\pi} = \cos{\dfrac{5}{4}\pi} + i\sin{\dfrac{5}{4}\pi} = -1 -i \notag \\
z_3 &= \sqrt{2}\, e^{\frac{7}{4}\pi} = \cos{\dfrac{7}{4}\pi} + i\sin{\dfrac{7}{4}\pi} = 1 - i \notag \\
\therefore &
\begin{cases}
z_0 = 1 + i \\
z_1 = -1 + i \\
z_2 = -1 - i \\
z_3 = 1 - i
\end{cases} \notag
\end{align}
$$

$${(4)}$$

$$
\begin{align}
z^6 &= 64 \notag \\
&= 64\cdot 1 \notag \\
&= 64\, e^{i2n\pi} \notag \\
&= 2^6 e^{i2n\pi} \notag \\
&\Updownarrow \notag \\
z_n &= 2\, e^{i\frac{n}{3}\pi} \notag \\
z_0 = 2\, e^{i0} &= 2\cdot 1 = 2 \notag \\
z_1 = 2\, e^{i\frac{\pi}{3}} = 2\left(\cos{\dfrac{\pi}{3}} + i\sin{\dfrac{\pi}{3}}\right) &= 2\left(\dfrac{1}{2} + i\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right) = 1 + i\sqrt{3} \notag \\
z_2 = 2\, e^{i\frac{2}{3}\pi} = 2\left(\cos{\dfrac{2}{3}\pi} + i\sin{\dfrac{2}{3}\pi}\right) &= 2\left(-\dfrac{1}{2} + i\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right) = -1 + i\sqrt{3} \notag \\
z_3 = 2\, e^{i\pi} = 2\left(\cos{\pi} + i\sin{\pi}\right) &= 2\left(-1 + i\, 0\right) = -2 \notag \\
z_4 = 2\, e^{i\frac{4}{3}\pi} = 2\left(\cos{\dfrac{4}{3}\pi} + i\sin{\dfrac{4}{3}\pi}\right) &= 2\left(-\dfrac{1}{2} + i\left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\right) = -1 - i\sqrt{3} \notag \\
z_5 = 2\, e^{i\frac{5}{3}\pi} = 2\left(\cos{\dfrac{5}{3}\pi} + i\sin{\dfrac{5}{3}\pi}\right) &= 2\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2} + i\left(-\dfrac{1}{2}\right)\right) = 1 - i\sqrt{3} \notag \\
\therefore &
\begin{cases}
z_0 = 2 \\
z_1 = 1 + i\sqrt{3} \\
z_2 = -1 + i\sqrt{3} \\
z_3 = -2 \\
z_4 = -1 - i\sqrt{3} \\
z_5 = 1 - i\sqrt{3}
\end{cases} \notag
\end{align}
$$

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