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プロジェクト学習とは

プロジェクト学習とプロジェクト学習「もどき」

プロジェクト学習(PBL)について勉強していると必ずと言っていいほど目にするのが、「これはプロジェクト学習か否か」という議論です。論文でも書籍でも、ネット上でも散見されます。
プロジェクト学習かプロジェクト学習「もどき」なのか、さまざま意見はありますが、めちゃくちゃ乱暴にまとめると以下のような感じです。

まず、プロジェクト学習は始める際の基準として「社会との関わり」や「生活との関わり」を重視します。つまり、プロジェクト学習は現実世界との関わりや社会の問題と関わりがあって、学習者の興味・関心に沿っていることが重要なんですね。そして、プロジェクトの結果に関しては目に見える形での成果が必要です。最終的にその成果を対象者(学校外の人物が望ましい)に向けて発表する機会が与えられます。
よって「社会との関わりのない」プロジェクトや「対象者がクラスメイト」のプロジェクトを立てても、プロジェクト学習とは言えない「もどき」と言われてしまうわけです。

念のためですが、こういう議論は大事です。
こういう議論があった上に、色んな手法が生まれて、それを自分も実践に落とし込むことができているわけですから。

捉え方は広くてもいいじゃない

ただ、そういう定義のようなものはもっと広くてもいいじゃないか…。というのが私なりの考えです。プロジェクト学習の考え方は、全ての小学校に1人1台端末が行き渡っている現代の学校において、本当に相性の良いものだと思っています。現に私はほとんどの授業をプロジェクトベースで考え、実施しています。しかしその中には「社会と関わりのある」ものもあれば、そうではないものもあります。しかし、子どもに力がつくならいいじゃないか、と割り切って「プロジェクト」と呼んで行っています。
ベースとなる考え方としてはキルパトリックの「プロジェクト・メソッド」における「プロジェクト」の捉え方があります。

キルパトリックは「プロジェクト」を以下の4つのタイプに分類しています。
タイプ 1:何らかのアイデアや計画を外部から分かる形で具現化すること
タイプ 2:何らかの (美的) 経験を楽しむこと
タイプ 3:何らかの問題を解決すること
タイプ 4:何らかのスキルや知識を取得すること

世間一般で言うところのプロジェクト学習は「タイプ3」のイメージだと思いますが、キルパトリックによれば、それ以外のものもプロジェクトたり得ると言うことです。「知識やスキルの獲得がゴールでもプロジェクトになるよ(条件付き)」という点が清々しいですね。この辺りの話については、『国語を楽しく』(東洋館出版社)で有名な首藤先生のnoteにも詳しいです。

坂本良晶先生(坂本良晶/さる@小学校教師/Microsoft認定教育イノベーター|note)が以前「授業の行事化」というプロジェクト学習のお考えを話していましたが、再現性のある、誰もが取り組みたくなるような考え方で刺激を受けました。良い実践が広がるには、こういった分かりやすさや「それもいいんだよ」という受容的な雰囲気が大切だと思います。

プロジェクト学習は広がってほしいし、広げたい

結局何が言いたかったかというと、必要最低限の要素をおさえてさえいれば、十分子ども達にとって学びのある「プロジェクト」にできるだろうということです。
「クラスの中だけで満足していてはプロジェクトとは言えない」「課題解決になってないからこれはプロジェクトではない」…そんな空気感があったらプロジェクト学習に挑戦しようと思う方は減っていくだろうと思うのです。
プロジェクト学習(PBL)を否定したいのではありません。むしろ、広がってほしいと思います。ただ、プロジェクト学習だから地域から誰か呼ばなきゃ!プロジェクト学習だから何か社会問題を解決しなくちゃ!と変な力が入って、「あ、自分には無理ですわ」となってほしくはありせん。
プロジェクト学習の要素を今の学校現場の現状と照らし合わせて、持続可能な「プロジェクト」のあり方を提案していけたらな…と密かに考えています。そして(私も含め)チャレンジした先生と子ども達がステップアップしていき、社会と関われるようなプロジェクトを実施できるようになれば良いと思うのです。

とはいえ、「なんでもあり」では困ります。
現場での持続可能なプロジェクトの“要素”や授業の“具体”については、今後も考えて実践していこうと思います。

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