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今週のkinologue【8/9-15】

アイスランドの首都レイキャビクには、このカバー写真の素敵な映画館がある。コロナ禍前、確か家賃が上がったという問題から数ヶ月休館していたが、その後復活。単なる映画館には収まらない文化施設として大きな役割がある場が存続したことは誇らしい。『YARN』も『〈主婦〉の学校』ももちろんここでプレミア上映された。また、レイキャビク国際映画際のメイン会場でもあり、ここでビョークが自分の真後ろの席に座ったこともあった。
立秋が過ぎ、お盆休みとは思えない梅雨のような日々だった今週、アイスランドから熱いメール。「日本で自分の映画が公開されるのが本当に嬉しいから、初日に劇場に行きたい!」と監督から連絡があった。アイスランドはかなり感染が抑えられていて、行動制限も解かれているというからそういう気持ちにもなるんだろう。オリンピックやってたんだから行けるよね?と思っているのかもしれない。こんな状況じゃなかったら、それはそれは歓迎したいところだが、外務省のHPを改めて見ると、やはり外国人の入国は制限されている。10月までに緩和されるだろうか、、、しかし全国的に感染爆発中の今、見通しが明るい返事が出来ないことが申し訳ない。あっという間に、公開まであと2ヶ月、まだまだ詰めていかなきゃいけないことが多すぎる。

8/9-15という今週は戦争について改めて考える週でもある。深夜のイッキ見でやっていた「映像の世紀」後半を見るのが日課となった。レンタル店店員だったときは、必ず戦争映画の棚を作っていたっけ。その時に必ず入れていたのが、大好きな岡本喜八監督が撮った『日本のいちばん長い日』。8/14-15の24時間を描いた作品を久しぶりに15日に見た(Netflixで視聴可能)。

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喜八系俳優総出演なのをこれまでは楽しんで見ていたが、今年はホモソーシャルぶりに違和感があった。というのも、今年は長崎の平和祈念式典での被曝者代表だった92歳の岡信子さんの言葉を聞き、そして今週放映されたNHKのドキュメンタリー「銃後の女性たち」や「ひまわりの子どもたち」などを見て、戦中も戦後も「自分自身」に目をつぶらされてきた普通の人たちに心を寄せたからだ。そのことに傷つき、70年以上経ってようやく話せるようになったことの重さを知ると、他者を無視して忖度に溢れたホモソーシャルな世界が今の時代にも変わらず存在していることが怖くなった。他者を想像することと、自分自身を大切にすること。映画はそれを気づかせる。



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