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ひとり出版者、再始動(2)。

3月15日。書店向け注文書の入稿、確定申告締め切り、来年1月公開映画のオンラインmtg。ちゃんとどれも無事に完了、我ながらよく頑張った1日だった。注文書を作成したことで、やっと版元ドットコムに詳細を打ち込めるようになった。しかし、この時点で#02はラフのデザインも上がっておらず、原稿を書いたり、取材をしたりという状況。形がないものの受注を取るというのは、小心の自分にはかなりのストレス。ドキドキの#02の行方についてはまた改めて記すこととする。
トランスビューとの取引開始を告知するFAXDMと注文書が3月下旬に各書店に届くと、少しずつ注文が入ってきた。FAXメールとBOOK CELLARで確認。完全な新刊の#02の方が発注数は多いが、『365日のシンプルライフ』AFTER BOOK(#01)も想像していたよりも注文があった。#01と#02のセットでの注文もあれば、#01だけというのもある。2014年に公開した映画だが、こっちの方がまだ知られているのか。価格が1,000円なのが注文しやすいのか。本の世界はまだよくわからない。いずれにしても、シリーズ化としたこと、このタイミングでの書店販売は悪くなかったかもしれない。

AFTER BOOKとして単体で販売することは、昨年のDVDブック制作時点から計画していたことだった。なので、初めから冊子単体で多めに印刷していた。久しぶりに冊子が詰まったダンボールを開けて確認。この子たちもいよいよここから旅立てるのか。戻ってくるなよー!と送り出したい。トランスビューさんの業務マニュアルに従って進めると、新刊の予定が確定したら「新刊情報確定連絡フォームに記入」とある。ここで倉庫への搬入数を決めなくてはならない。送料がかかるから発送は1回で済ませたいけれど、倉庫ってどれくらい預かってくれるものなのか、まるで検討がつかない。こういうときはまた工藤さんに質問メール。制作部数の8-9割を搬入するのが妥当とのこと。へー、結構預かってくれるものなのね。#01は在庫数に従って、直販用以外は全て搬入することに。ここで大事なのは、3種類の本の発送をするまでの段取りを決めること。祝日前に納品という期限と1人で出来る作業量の限界を考えて、全ての段取りを組んでみる。おお、結構1冊あたりの工程が多いなぁ。そんなときに、ふと目に入ってきたのが、新刊情報確定連絡フォームの注意書きにあった「*表4の「取引代行TRANSVIEW」シール、スリップの手配をいま一度ご確認ください」。は?なんのこと?スリップってなに?またも工藤さんに質問、すぐにシールを発注してスリップ(本に挟んである書店注文用の短冊)を制作することに。ますます工程が増えていく。

先ずはDVDブックから作業を

「取引代行TRANSVIEW」シールが届いてから、先ずDVDブックの表4に貼っていく。ここで生かされたのが、レンタルDVD店員時代に恐らく何万枚もシールを貼った経験。早く正確に貼る技がいかんなく発揮された。人生、無駄なことってないな。買った本に挟まっていたら、速攻ゴミ箱行きのスリップをまさか自分が作る日が来るとは。スリップを作ると出版者っぽさがぐっと上がった気がした。家にある本のスリップを何とか探し出し、デザイナーさんに見よう見まねで作ってもらう。トランスビュー取引代行のスリップ見本があることを知らずに印刷に出してしまったせいで、後から直販を示す印を押すという作業も加わった。あはは、また工程が増えちゃったよ。

いつも利用しているネット印刷会社で注文できてびっくり

裏面に貼るバーコード・シールと表紙に貼る帯的なシールがやっと届く。バーコード・シールが白だと「シール貼りました」感があるよね〜というボヤキにデザイナーさん応えてくれて、グレーに。バーコードのところだけ反応しやすく白くしてある。シールとは思えないほど、デザイン的には馴染んでいてホッとする。帯的なシールも最初のラフは丸かったが、そうするとテキスト量が少なすぎる。「帯的なものだから四角がいいんじゃない?」とつまらないことを言うと、納得しないデザイナーさん。中央のロゴとのバランスを考えると、四角だと気持ちが悪いらしい。テキストの最終版を送ると、フィンランド国旗やイラストなども入った変形版のデザインが上がってきた。かわいいし、黄色でパキッと目立つのもよい感じ。

シール貼りの達人になりかけてきた頃

搬入時には5の倍数の冊数にまとめ、クラフト紙でキャラメル包装をして詰める。キャラメル包装ってなに?本当に何も知らないんだなぁ、私って。ググって動画で確認する。3カ所の倉庫への搬入振分数がトランスビューより送られくるので、その冊数に合わせてクラフト紙を裁断する。包装・梱包というのは超苦手分野で、これまで極力逃げてきた。配給会社勤務時代も、私の不器用さを見かねたバイト男子が「やりますよ!」と爽やかにやってくれることにいつも甘えていた。とりあえず、クラフト紙はロールでたっぷり買っておいたものの、気が重い。
AFTER BOOK#01の発送までの作業工程は以下の通り。
①取引代行TRANSVIEWシールを裏面に貼る
②バーコード・シールを裏面に貼る
③帯的シールを表紙に貼る
④スリップを半分に折る
⑤スリップに直ハンコを押す
⑥スリップを挟む
⑦クラフト紙を冊数のサイズに合わせて裁断する
⑧クラフト紙でキャラメル包装をする
⑨書名やISBN、冊数などを書いたシールを印刷して貼る
⑩パズルのように包装分を箱詰め
DVDブックは①の後は⑦に飛ぶので比較的楽な方だが、これから印刷する#02の工程はこんなもんじゃない。あああ、考えるだけでオソロシイ。
通常の出版社ならば、殆どは業者に頼む作業だろう。初めてだから作業の全体像もわからず、仕方ない。この作業途中で、トランスビューの封入大会(注文書の冊子を全国の書店に発送する作業を出版社が集まってやる)に初参加し、またも作業。コロナ禍で久しぶりの封入大会だったようで、たくさんの参加者が集まり、早めに終わった。ひとりや小規模出版社の方々が多く、作業後の「残業」含め、情報交換の場でもあるようだ。「うちはスリップ作らなかったよ」という話に腰砕け。こういう場も含めて本当に良く出来た仕組みだ。そして、こちらの作業中に#02の印刷が終わり、発送されたとの通知メールが届く。明日から#02の発送作業地獄が待っている。
(次回へつづく)

封入大会の産物。それぞれに封入作業スタイルがあって面白い


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