24インチの自転車タイヤ

息子の自転車は24インチ。
中国で作られたAL-TR246、日本ではこれまで「ミニ」「ローバー」「アルファロメオ」「シボレー」のブランドで売られてきた。むちゃくちゃだw
なかなか扱いやすいのか、四輪ブランドが外れた後も、スペアなる銘で通販されている。10年を超える迷作。
アルファロメオ銘の時は、小径を生かし、ブルホーンバーさえ着けていたwww

アルミフレーム、駆動系は通販車らしく最小限6速、ヘッドも1インチ物。
ブレーキはサイドプルだ。
小径とアルミフレームが幸いして、安価な鉄部品ながら公称10.5kg。

かつて国産スポーツ車の入門級は、26と27を揃えていた。
27は、ホイール交換でチューブラーに出来た。
26は、「26× 1 3/8 × 1 1/2」オーバーサイズを履いて荷台を足せばランドナーに出来た。
ちなみに、このオーバーサイズタイヤ、つまりママチャリ1 3/8と互換の1 1/2は、電動アシスト車用としてひっそりと健在、ヘビーユーザーや旧車ランドナーの再生にはお勧めできる。

昨今は、スポーツ車は700Cに統一されていて、そう大柄でない人には、スローピングフレームで無理やりシート高を下げた物がある。
自転車らしい美しさを欠くように思う。

息子が小5の時に「おとうの自転車みたいなのが格好いい」。俺のは78年式BSユーラシア・ランドナーだwww
つまり、ホリゾンタルに乗りたいらしい。
成長途中で何を言いだすやら。
昔の通学車、26 1 3/8で6速の黒フレーム、これで作ろうかと思っていたら……
リサイクル店で「ミニ」銘のエセ英国風を見付けた。

息子が試乗したら、乗車姿勢が綺麗にハマっていた。
斜め後方から見て、タイヤの上にしばらくシートチューブが伸び、さらにピラーを経てサドル。英国ルールならサドルバッグを吊れそうな空間がある。
尻と車輪の間に、空間があると、いかにも背高に見える。

大人になればミニベロとして使えば良いと、これを買って帰った。

錆を落とし、ヤレた塗装を塗り直した。エセクラシックなデカールはマスキングで温存。
ハンドルは一文字からノースロードに交換。エセクラシックな茶色グリップを切らずに再利用するのに難儀した、加熱&556が吉。ノースロードは台湾物の左右を4cmカット。
クルーザー用のメッキライトをヘッド前に着けた。カゴ金具で台座を自作した。
ベルは、独ヘルメットメーカーが洒落で出した鉄製チンカンベルに、白黒で英国旗を塗った柄があり、新古品を取り寄せた。

※ノースロード
俗に言うツバメハンドル。天地を裏返せばセミドロップ。今回は、あまりコテコテよりも自然に、との息子判断で、比較的開いた「ハ」の字の物、仏のママチャリ程度を切って幅を詰めた。
※ヘッド部ライト台座
昔はヘッド共締めでL字鉄板が前へ出ていて、これを挟むようにしてライトやカゴを付けた。カゴが標準になって以降、ネジ穴の付いた台座が普通になった。

調色に苦労して塗り直した深緑の車体に、メッキライトを着けると、一気に英式ロードスターに見えてきた。内装変速でないのが惜しい程だw
何より、160cm前後のガキが乗った時の佇まいが、ちゃんと自転車らしい。むりやり低床フレームじゃないのが効いている。

全体が86%に縮小された英風ロードスターが出来た。
クルーザー灯だけが少し大ぶりでバランスを崩してるのが、かえって昔の子供車みたいで愛らしい雰囲気がある。

中学校の巡回英語講師に英国から来られた先生がいて「Cool」とのお墨付きをちょうだいしているw

仕上げに、息子の自転車に合わせ、父の車購入が、ダイハツのエセクラシック車になった。2台並べると、エセっぷりがよく調和しているw

で、このエセ英国車。
タイヤが車椅子からの流用である。
24×1(25-540、600×25A)、チェンシン製で仏式バルブ。

通称24インチには、ETRTO表記で、507、520、540mmほかのリム径がある。

507は幅表記が小数の米国系。
520は由来不明。
540は幅表記が分数の英国系、および互換の541が仏国系(600×〇A)。

自転車部品は、ブームが過ぎて絶賛縮小中だが。
現状の流通状況は次の通り。
507:子供車等?
520:ジュニアロードレーサー用と車椅子競技用の24×1
540:ママチャリ用1 3/8と、一般車椅子用1 3/8、車椅子競技用24×1

恐ろしいのは「24×1」で、小数系を排除してもなお、520と540の2サイズがあり、間違えると付かない。アマゾンレビューで酷評している人は、ここに引っかかったのだろう。

拙宅の英風少年車に絞って言えば。
リム径540の分数幅で自転車用は、現状24×1 3/8しか無くなっている。
24×1 1/8(28-540)や、24×1 1/4(32-540)は市販されていない。
そして、24×1(25-540)は各社が出しているが車椅子用。

拙宅車は仏式なので、24×1 3/8を装着するには、バルブ穴をリーマで広げ、以後、仏式に戻すときはスペーサーを噛ませる必要がある。
24×1のチューブは、太さ25~32まで対応可、37(1 3/8)には使わない方が良いとのこと。
(チューブは概ね表記の1.4倍まで使用可とのこと)。
市販の仏式チューブは、25のほか、28~37もあるので、後者を使えば仏式のままでも拡幅できるだろう。

できれば、24×1 1/8(28-540)や、24×1 1/4(32-540)が欲しいのだが。
シュワルベの車椅子用24×1.1(28-540、分数径だが小数で表記)は、本国に存在して日本向けになく、並行輸入だろうとのこと。
IRCの車椅子用24×1 1/4(32-540)は、24×1チューブでも使えるが、車椅子用悪路タイヤのため、接地面が角ばっていて、カーブで傾ける自転車にはどうかな?とのこと。

なお、車椅子用の自転車転用については。
S社は「構造が異なり厳禁」、I社は「設計は流用なので可能だろうが謳いはしない」。見解は異なるがいずれも親切で明快だった。また車椅子ユーザーへの思いも篤かった。P社は質問自体を理解できなかったし自社製品も把握せず。関西経済が中部に負けてしまったのがよく分かる。

自転車が輸入と低価格化。
低価格化は品揃えの簡素化を招き、国産時代のように体格に合わせて車輪径を選ぶことはできなくなっている。
高価なスポーツ車・スポーツ車のパチモン・ママチャリに3分化。
ちょっとスポーティーな実用車、などは、なかなか存在できない。

よってタイヤ幅に選択の余地がなく、たとえば26インチには1 3/8しかない。
1 1/4は絶滅。オーバーサイズ1 1/2が電チャリのお陰で残った程度。
WO分数系を滅ぼす勢いだった 26HE 米式小数系さえ、急激に品揃えを減らしている。MTBの流行が大径に移行したらしい。

我が家は大津市なので、暴力教師が子供への口封じに、庭に来て自転車の空気を抜いて帰る。だが仏式に変えてから被害が止んだ(腹いせにガスの元栓をイジられるのには参ったが)。
息子が仏式を求めるので、24×1(25-540)か、24×1 1/4(32-540)のショルダーを丸く削るか、28-37の仏式チューブで1 3/8(37-540)か、あたりを考えている。

センスにうるさい癖に、メンテはしない、まるで女のような息子君は「1インチの軽快感は捨てがたいが隔週で空気圧管理は面倒」とのこと。車椅子用ソリッドタイヤにさえ関心を示したが、安価なアルミフレームであんな物を使うのは危ないと止めた。
エアボリュームを計算したら、25幅で0.9L、37幅で2.2L、容積は3次なので、かなり違う。

25-540は7気圧程度、32-540は最大4気圧とある、1 3/8は一般用なのでどれも3気圧だが、チェンシンのOEMを受ける共和ミリオンには一般用ながら4.5気圧の物がある。
シンコーは色タイヤが豊富で、ブラウンはエセ旧車に合いそうな色だ。
チェンシンにも黄ベージュがあり、イオンの少女車に純正装着されていた。ただチェンシンやケンダは小数サイズが多い。対米なのだろう。

現用の25-540チェンシンは、細いながら肉厚があり、内径は親指ぐらいだ。量販店用の四輪タイヤCSTも乗り心地の評判が芳しくない。チェンシンは全体的にゴツく作って、まずは信頼を得る戦略なのかもしれない。

「24×1」このサイズを起点に、様々な調べ物をしてみた。

たとえば車椅子。
病院にあるような重たい鉄メッキの物、かつてはアレにしか行政補助が付かなかった。
二輪のレース部品開発者が事故で下半身不随になり、軽い車椅子を作るようになったのが今のオーエックスである。
2001年に僕は記者として車椅子社交ダンスを取材、競技用車椅子の格好良さに魅了され、ダンサーに詳しくお話をうかがった(原稿はボツられた)。当時は、軽量な車椅子は補助対象外という差別があったそうな。
後で検索して「SSイシイ、そんなことなっとったんか!」。僕も二輪乗りの端くれである。以後、心して、編集者として手心を加えるよう努めた。
後に、行政補助の車種指定は廃止されたらしい。

だが、こういう状況は他にもある。
聴覚障害者が使う補聴器。
今日では、音声をデジタル処理するDSP機構、数千円のホムセンラジオでも備えている。補聴器もDSPにより音声をデジタル処理し、聴覚が残っている周波数帯に音を変換して聞かせるように進化している。
ただし、これは欧州や米国からの輸入補聴器。高性能で小型でスタイリッシュだが、何十万も出して自費購入。
肌色で大きく旧態依然として補助の範囲に収まる物が国産品である。

行政が定める「福祉」ってのは「障害者だから不便は我慢しろ、ホドコシてもらえるのを感謝しろ」という姿勢が貫かれている。国内産業保護もあるのだろう。

他方で。
大手眼鏡チェーンでは、福祉受給者に割高な「福祉価格」を設定していた。
眼鏡が値下がりし、昔と違って1万円以下でも買えるようになった。
行政補助金は昔の相場で数万円。
眼鏡屋が昔の割高価格を設定していたわけだ。
ひでぇ話。

同様の現象は介護保険にもある。
介護保険が適用される介護用品は、市価の5倍の価格が設定されている。
介護保険の自己負担は1割なので、保険適用すると、利用者は市価の半額で買える。疑問は持たない。
だが、品物1つで、市価の4倍の保険料が業者に流れてる。
そりゃ破綻するぜ。

介護保険の申請には面倒な手続きと日数を要する。
実体験だが、高齢者骨折→車椅子生活→自宅療養の流れの場合。昨今は入院期間の短縮がうるさいので、とてもじゃないが介護保険は間に合わない。大急ぎで自費購入して揃えるほかない。

車椅子に使う玄関スロープ。
「住宅リフォームに流用されるのを防ぐため」、脱着式スロープの使用は認められていない。恒久的な改築のみが対象になる。
敷地の問題で恒久的スロープを設けられない家屋もある。
もちろん退院までにそんな工事は出来ない。
工事業者は自由のはずだが、京都市職員は「こちらでお勧めする業者でないと通らないかもしれませんよ」と脅す。業者から幾らもらってんだか。
仕方がないから、脱着式スロープ、例の如くコーナンで自作した。

けっきょく、介護保険を利用できるのは逆に「不要不急の住宅リフォーム」という形になってくる。
実際「有利な制度がある」と営業トークにさえなっている。

行政は、障害者に一人前の人権を認めない。
それゆえに、福祉が行政周辺者の食い物にされる。
先日、発覚していた、訪問介護の水増しとも同じだ。
障害者が弱い立場に置かれ、文句を言えなくして、役所とお友達が甘い汁を吸う。
その金は納税者が支払い、障害者への敵意を募らせる。

息子君、エセ英国車に乗るたび、福祉にたかるダニを思い出すんだ。
The Night Rider that is his name!
ほんまに、豪州の砂漠で轢いたり焼いたりしてやりたい。

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