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本読みの履歴書 17


まだ続くSF。
そんなに読んでたかなあ? ほかのジャンルもたくさん読んでいたように思うのですが、まあ下に書いたように「物置で発掘」しちゃったのは自分にとってちょっとしたエポックでした。
前回はこちら。


<物置で発掘:SFマガジン・バックナンバー編>

そうなんです発掘したんです。
夏休みのある日、当時自宅から歩いて10分くらいのところにあった祖母宅の物置で、そのむかし叔父が読んでいたというSFマガジンのバックナンバーを段ボールから大量に発見しまして。
狂喜乱舞し、近所であるのをいいことに入り浸ってはソファに寝転がり鼻血が出るまで読んでおりました。

92.小松左京 「果てしなき流れの果てに」

小松作品で記憶に残っているのは有名な「日本沈没」ですが、最初に読んだのはこれでした。古いSFマガジンに連載されていたのです。つまり単行本じゃなくて連載中のやつを、バックナンバーがそろっていたので順番に読んでいきました。贅沢でしょ。

でも今となってみると「日本沈没」ほど鮮明な記憶が残っていません。当時はSFといったら翻訳物が大半でした。特にわたしが見つけた「段ボールの中のバックナンバー」であるSFマガジンの頃は、日本はまだまだ黎明期の途中だったと思います。その中で小松左京や星新一、次に出てくる光瀬龍、筒井康隆など、今も著名なSF作家たちがどんどん新作を書いて掲載されていました。

日本の作家の中で一番気に入っていたのはこの小松左京じゃなかったかな。短編も面白くて「お告げ」、「野生の呼ぶ声」、「物体O」とか。
今度また読み直してみようかな。

93.光瀬龍 「百億の昼と千億の夜」

光瀬龍もSFマガジンにはよく載っていたのですが、いつも読み切りで、はじめて連載された長編がこれ。どうなるんだろう、いったいどうなるんだろう、だいたい誰と誰は敵で誰が戦っているんだろうとバックナンバーを積み上げてこの小説だけを順に読んでいきました。

萩尾望都が漫画化した方のやつも好きです。原作にのっとりながら、もう独自の世界を形成していてただただすごい! 阿修羅王がどこまでも戦う! って感じでした。

94.スタニスラフ・レム 「ソラリスの陽のもとに」

映画「惑星ソラリス」の原作。
現在では本も「ソラリス」というタイトルになっているのではなかったかな。調べてみたらわたしが読んだこのSFマガジン掲載時のやつは、ポーランド語で書かれた原典をロシア語に翻訳し、それをさらに日本語に翻訳したもので、当時のソ連政府の検閲が入っててあちこち削除されたものだったようです。いま出回っているのは削除されたりしてないホンマもん。実はそちらは読めておりません。

ちゃんと全部覚えてはいないのですが、うにゃうにゃなスライム状の海が、人間の思考を読み取ってそれらしいモノを作り上げてくる・・・ってアイディアは、えらい新鮮な感動でした。そんなんありかー!と衝撃でしたね。

95.筒井康隆 「馬の首風雲録」

これも、最初に読んだ筒井作品、という意味で。筒井康隆で一番印象に残ってるのは「パプリカ」とか「七瀬」のシリーズですが。

おいしいけど脂っこい料理を食べ過ぎたような読後感が筒井作品にはつきまとうのですが、どうでしょう。それがたまらない、という読み方もあるだろうなと思いつつ。


余談ですけど、学校帰りのセーラー服(制服がセーラー服だった)のまま、あちこちの本屋で立ち読みをするのが日課でした。雑誌のコーナーでSFマガジンがその時も出ている事を知り小躍り。時々自分で買って読むようになりました。

ある日、「あ、新しい号が出てる!」と手にとってパラパラ見てみたら、なんか異様な緊縛お姉さんが……

そう、それは「SMマガジン」だったのです。

装丁が似てて詐欺やん! 確信犯か?
ちょっと焦ってあわてて元に戻しました。

だけどその後も懲りず、制服のままこっそり「薔薇族」「さぶ」なんか立ち読みする怪しい女子高生でございました。怖いもの見たさ、だったのか?
なんだったのでしょうわたし。
そして今でもあるのでしょうか>薔薇族
(なんか休刊したっぽい)


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