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本読みの履歴書 8

またまた前回からかなり時間が経ってしまいました。

まだ続く中学時代。一部高校時代も含まれるかも。
番号は100まで通し番号をつけただけで、特に意味はありません。
前回はこちら。


<ミステリ・SF編>

46.S・S・ヴァン・ダイン 「グリーン家殺人事件」 創元推理文庫

 生まれて初めて買った「文庫本」が、これの1作前の「カナリヤ殺人事件」でした。中1の、5月くらいかなあ? それからミステリにどんどんはまっていったのです。

……と書いたのだけれど、別のところで「初めて買った文庫本はクイーンの『フランス白粉の謎』」と書いていたのですよね。

どっちが本当なんだ?

どちらもミステリとしては「本格」の、著名なシリーズの2作目、というところは一緒です。どこかで記憶がごっちゃになってしまったみたい。だって50年前だもん。自分で書いててのけぞるわ。

でも,最初に書いたように「カナリヤ」が初めての文庫本かなあ?
エラリー・クイーンの国名シリーズを読み始めたとき、一作目の「ローマ帽子」を飛ばして二作目の「フランス白粉」から読み出したのは確かなんですが。

この頃はとにかく本格派の推理小説(ミステリとは当時は言わなかったですね)が大好きでした。「本格派」というのは謎解きやトリックの妙味に中心があり、人間描写などは従になるタイプのミステリです。ヴァン・ダインには「ファイロ・ヴァンス」という名探偵が出てきます。こいつがね、まあ今読むとホントにペダンチック(衒学趣味)でどーしようもない金持ちの兄ちゃんで。
教養があるのはいいんだけど、そうあんた、いろんな知識を振りかざさんでもよいでしょ、うっとおしい、と思ってしまうのですが、中学生だった自分はすっかりこのなんでも知ってる金持ち兄さんに心を奪われてしまったのでした。デキる男、みたいで。ああ女子中学生、単純。

ヴァン・ダインならオススメは、3作目の「グリーン家殺人事件」か、その次の「僧正殺人事件」でしょう。
……おっと、そういいながら筋をあらかた忘れているぞ。
これはチャンス。もう一度読んでも新鮮かも(笑)。


47.レイ・ブラッドベリ 「10月はたそがれの国」

名作。全編を流れる叙情的なムードと、どこか物悲しい透明なトーンは他を寄せ付けません。人外の世界や心の恐ろしさも出てきて怖い部分も多いのですが、ホラーという範疇とはまた違う気がします。物語だけど、詩のよう。
萩尾望都がいくつかをマンガにしているけど、こちらも傑作。30 days book challenge にも入れました。

この本を手に取ったきっかけは覚えていないのですが、多分、創元の目録の中にあって興味を引かれたからなんじゃないかな。
だって「10月」が「たそがれの国」ですよ。原題は「The October Country」で「たそがれ」は入ってないんですけど、中の物語(一話完結の短編集です)を読んだ時、とてもしっくりくる訳です。個人的にタイトル翻訳大賞は、ただの「Sqellig」を「肩甲骨は翼のなごり」(デビッド・アーモンド著)と訳した山田順子さんの本だと思っているのですが、「10月はたそがれの国」は第2位かな。どちらも東京創元社。いい仕事しています。

同じブラッドベリの "Something Wicked this way comes"(何かが道をやってくる)は未読。この言葉がマクベスの引用だって、ハリーポッターの映画に使われて初めて知りました。原作本にはありませんが映画の第三作に出てきます。


48.フレドリック・ブラウン 「ウは宇宙船のウ」

フレドリック・ブラウンは、ブラッドベリよりも軽くて読みやすかったように覚えています。短編集中心に結構読みました。「スは宇宙(スペース)のス」とか。なぜかこの作家の有名な長編「火星人ゴーホーム」は未読。いま考えるとわたしはきっとこの長編が好きなんじゃないかと思うんだけど(笑)。火星人がいっぱい地球に来て侵略はしないけどうざいって話で。今度機会があったら読んでみます。

この著者はミステリも書いていますがそちらは記憶から消滅しています。読んだはずなんだけどなあ。


49.アーサー・C・クラーク 「幼年期の終わり」

鮮烈なラストにものすごいショックを受けた本。読んだのは高校時代だったかも? この本も 30 days book challenge に入っています。

このタイトルだということはハヤカワ文庫で読んだんですね。創元だと「地球幼年期の終わり」となっているので。
詳しい感想は 30 days book challenge で書きましたのでそちらをどうぞ。


50.横溝正史 「八つ墓村」

クラスの男の子に借りて読みました。彼とは何の関係もなく単なる級友。いまの中学生高校生はどうかわかりませんが、わたしの中学生時代は割に簡単に本やレコード(CDでもないんだよ! レコードだよ)の貸し借りをしていたように思います。面白そうなモノがあるとひょいと借りたり貸したり。あるいは自分の居た学校が割に落ち着いていて、そういうことが躊躇なくできる雰囲気だったのかもしれません。全国的に中学とか荒れてる時代だったんですけど、なぜか自分の周りだけは平穏でした。

だいたい本を読むときは一気ですが、この本は読み終わったら夜中の1時でトイレに行けなくて困りました。階段でふと上を向くと、ほらそこに恐ろしい何かが……ってな気がして。

だけど「獄門島」も読んだ気がするなあ。ビジュアルに弱いので映画は絶対に見ません。オカルト・ホラー映画は避けて通っています。小説も最近では手に取らなくなりました。若い頃より精神が軟弱になったのかもしれません。


こうして並べてみると、なんだか私、ミステリファンのはずなのにSFも多いですね。

ミステリは同じ作家の作品を延々と読み続けていました。
エラリー・クイーンは「ローマ帽子の謎」から始まる国名シリーズを創元推理文庫で、その後のライツヴィルものをハヤカワミステリで、文庫になったものは、ほぼすべて読んでいました。

あと、クリスティも。
「アクロイド殺し」「謎のエヴァンス」「シタフォードの謎」などの初期に訳された長編から、ミス・マープルの短編集、パーカー・パイン、クィン氏など、ポワロ以外の探偵のものまで、とにかく創元推理文庫御用達。

その他の作家としては、クロフツ、ディクスン・カーなど。だいたい本格物と言われる部類で、サスペンスやアクションはそれほど好みじゃなかったです。
だけどハドリー・チェイスって作家がいて、それは所々えっちで面白かったですけどね(笑)。なんか大人向け週刊誌に連載されるアクション物、って感じで。一部のハヤカワを除き、全部、東京創元社の文庫です。文庫ばかり読んでいました。
東京創元社はわたしの精神の4分の1くらいは作っているのでは?



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