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【仕事・建築】大工の1日、今日も棟梁は現場を回る。

今日も来てくれてありがとう。

阪神タイガースが優勝したね。
18年ぶりの優勝だから、僕はまだ高校生だった頃だ。

道頓堀川は警察官で埋め尽くされてたそうだけど、
なぜ飛ぶか誰か説明できるのだろうか。
そこに川があるから…なんて言いそうだね。


観察すると面白い


現場は観察すると面白い。
建物ができるまでを間近で見れる面白さもそうだけど、どちらかと言うと現場の職人さん、大工さんが面白い。

この間書いたように、建築の現場は危険と隣合わせなので常に真剣。上から物を落としたなどは死亡事故にも繋がりかねない。

だからこそ、たまに怒号が飛び交うこともある。


世の人々が現場に思う印象は、やはり怖い・男臭いなどではないだろうか。そのような印象を与える影響は、テレビのアニメやドラマでの大工さんは、屈強な男が釘を口に咥え、頭にタオルを巻いて木材を肩で担ぐ、と言ったところかな。

あながち間違っていない。

ただ、大工さんは皆礼儀正しく優しい。
そして、現場も常に時代の流れについて行っている。

棟梁の登場


僕が販売した商材が現場に納品される日。

建物の構造部材、柱とか梁といった部材のことだ。納品される日は、8時に現場へ行く。

今回の物件は保育園。定員200人なので、そこそこ大きい保育園だ。

8時から朝礼、点呼と業務内容にすり合わせ、ラジオ体操を経て「ご安全に」の掛け声で1日がスタートする。
元請は中堅ゼネコン、幾つかの業者が整列していた。

「Shunくん、やぁお疲れ」

以前もこのnoteに登場した神里さんも到着した。
神里さんは弊社商品専属の現場指導員だ。

現場は滋賀県。この日は気温5度と寒い朝だった。軍手をしていたが、口元に手を当て温めた。


現場大工への指導員は神里さんだが、その大工を束ねる棟梁はA氏。ゼネコンの下請け工務店の職人だ。

細身な体に対して大きめのツナギ。白髪混じりの短髪で50歳くらいだろうか。耳に鉛筆を挿して現れた。

A氏の掛け声で現場の大工が集まり、図面を見ながら話し合いをしている。8人くらいの集団。

その集団に対して指導できるのだから、神里さんはすごいと思っていた。

大工の日常


現場はゼネコン(元請)が指揮をとる。
現場事務所は、元請用の事務所と大工用の事務所で分かれる。

大工用の事務所はあるだけマシ。
都心など狭小地の場合は、事務所もなく着替えるのは道端。
ご飯も外やトラックの中ということは当たり前だ。

僕が今回行った滋賀の現場は大工用の事務所が用意されていた。
10:00の休憩時間は、皆で小屋の中でココアを飲んでいた。


僕が時代を一番感じたのは、タバコだった。
たばコミュニケーションなんて言われるくらい、現場では喫煙所で情報収集や大工さんと仲良くなっていた。

紙たばこに火をつけて、寒さによって息が白くなっているのかタバコの煙かわからないくらいの状況で、ココアを飲みながら休憩するのは至福だった。

しかし、あの時代がやってきた。
そう、電子タバコが現場に現れるようになったのだ。

最初に吸っていたのはA氏。
お前ら、時代遅れだなと言わんばかりの吸いっぷりだった。この現場は、後に半分の大工が電子タバコに変わった。

僕は「アイコス事変」と呼んでいた。

空調機付き作業着


滅多にない話だが、
A氏とは違う物件でも一緒に仕事をした。

顔見知りになり、次第に名前も覚えてくれるようになった。そのため現場に挨拶に行くと、気さくに挨拶をしてくれる。

僕がA氏と再びあった現場は京都だった。
A氏の会社自体が、滋賀と京都の県境にあるため、京都の現場にも足を運んで仕事をしているらしい。

その現場でも、事変は起こったのだ。


保育園の建設工事。
蝉の鳴き声と、突き刺すような日差し。

現場の手すりに干した水で洗ったタオルは一瞬で乾いていた。

大工さんたちは、タバコを吸いながら汗をダラダラ流し休憩。その中で唯一A氏だけが涼しい顔をしている。

空調機付き作業を導入していた。

空調機付き作業着は、腰のあたりにファンがついており、それによって内部の空気を循環しつつエアコンのような力を持つ。

元請けの所長や社員が来ていたが、当時職人で着る人は珍しかった。A氏は、まるでお山の大将のように見えていた。

次の日から徐々に、この現場で作業着が普及。僕は「作業着の事変」と呼んだ。

現場を回る。


滋賀の物件が竣工した。
竣工とは、建設作業が全て完了したことを言う。

構造材を現場に納品してから10ヶ月が経とうとしていた。時間が過ぎるのはあっという間。

落成式に参加してほしいと連絡があり、再び滋賀の現場に向かった。


落成式とは、竣工後に施主への引き渡しと、その後工事に関係者を労う式典のこと。

竣工した建物は見事な作りで、あの寒い日に納品したときには想像できないくらい立派だった。

式典にA氏の姿があった。落成式は、あまり職人さんは参加せず、工務店の社長が参加したりする。珍しかった。

式典ではもともとの園に通っていた子どもたちからのお礼と、歌のプレゼントが行われた。

するとA氏は僕のところに来て
「あれ、孫だ」と一言。

落成式に来たのは、そういうことかと納得した。

それにしても、少し強面な棟梁にも可愛い一面があるんだなと思ったね。


今日もA氏は違う現場を回る。


現場を観察するのは面白いものだ。

今日もありがとう
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