子供のドイツ語習得: 形態論編
こんにちは。
今回は子供のドイツ語習得についての記事を書いていきたいと思います。
今回は、形態論編です。
形態論とは?という人の為にも、少し形態論について説明しながら記事をまとめていきたいと思っています。
※今回私が紹介する例はあくまで研究結果であって、言語習得に個人差があるのは基本的に当たり前のことだと承知の上、読み進めてください。
形態論について
形態論とは言語学の一部門で、単語などの言語単位の文法的機能について論ずるもののことを指します。
簡単に言うと、文法についてということです。
ドイツ語で例えると、
① neuという形容詞が、その後に続く名詞の性によって変化すること
例) neue, neuen, neues....
② 形容詞から、名詞へ、動詞へ、などの変化
例) neu → Neuheit, Neuigkeit, erneuern, Neubau.....
を研究する言語学の分野です。
今回は、ドイツ語を習得する子供が、
文法機能をどう習得していくのか?
習得過程にはどんな特徴があるのか?
についてまとめていきたいと思っています。
Telegrammstilについて
ドイツ語で子供が自分の意思を言葉にかえて発言する時に、急に一文を発言するようになることは無いですよね。
順番に、語と語をつなげて文を作っていきますし、もちろん明日になったら急に3文も4文も作れるようになっているということは滅多に起きないと思います。
2語や3語で子供が自分の意思を伝えようとすることをTelegramstilと呼ぶそうです。これは言語習得の初期段階に見られる傾向です。
形態論の視点から子供はどうドイツ語を習得するのか
ドイツ語を第一言語として学ぶ子供の場合は、
2歳~4歳で
・複数形の変化
・1格、2格、3格、4格の冠詞の変化
・現在形、完了形または過去形などの時制変化
・能動態、受動態などの変化
ができるようになると言われています。
1973年に行われたBrownの調査によると、90%の子供が上にあげた文法変化を間違いなく使いこなせるようになるという結果がでています。
しかし、もちろん先ほども書いたようにい子供がいきなり文法機能を理解できるようになるわけではありません。
文法機能の習得には
①時間がかかること
②一度正しく使えたから次からもずっと正しく使えるということはない
という事実があることもしっかりおさえておきたいと思います。
徐々に徐々に、文法機能を習得していくということです。
以降は上に挙げた
・複数形
・1格、2格、3格、4格の冠詞の変化
・現在形、完了形または過去形などの時制変化
・能動態、受動態などの変化
について分け、それぞれどう子供が習得していくのかをみていきたいと思います。
複数形
ドイツ語には複数形の変化がなんと8種類もあります。
1) -n
e.g. Blume-n, Mensche-n
2) -e
e.g. Hund-e
3) Umlaut + -e
e.g. Bäum-e
4) -er
e.g. Kind-er
5) Umlaut + -er
e.g. Büch-er
6) -
Tiger
7) Umlaut + -
e.g. Äpfel
8) -s
e.g. Auto-s
これらの複数形変化をだいたい1歳4か月以降になると子供は使い始めるようになるそうです。
子供が一番早く習得する変化は1)のN型の変化と言われています。
一番子供にとって難しいのが1)N型と8)S型の変化の違いだそうで、また3)5)7)のようなウムラウトと語尾変化が伴うものも子供にとっては複雑な変化だそうです。
この複数形変化に関しては、やはりその子供の周りにいる大人がどの変化を一番使っているかというインプットが大きく影響するそうなので、もちろん個人差があります。
1格、2格、3格、4格の冠詞の変化
この格変化については2歳6カ月くらいから子供は使い分けが出来るようになるそうです。
早いと2歳から1格と4格の変化を使いこなせることができるようになり、中には3格の変化もできる子供もいるそうです。
だいたいの子供は1格については90%の正解率で使うことができるそうですが、
・einの代わりにeinenを使ったり
・demの代わりにdenを使ったり
といった間違いをするのも典型的な特徴だそうです。
特に、定冠詞よりも不定冠詞の変化のほうが複雑に感じる様で、不定冠詞の正解率のほうが低くなる傾向が初めはあるそうです。
また、こちらも大人がどれだけ子供との会話で格変化を使って話しているかが子供のインプットに影響するそうです。
現在形、完了形または過去形などの時制変化
時制の変化は3歳くらいになると、だいたいミスが10%くらいにおさえられるくらいには、上手に使えるようになるそうです。
特に、Ich, Duなどの主語が変わることによって動詞の形が変わる、この変化については割と早い段階でマスターするそうで、また、完了形の規則変化である、ge-t (e.g. ge-mach-t, ge-koch-t)の習得も早いそうです。
二つ目の変化は習得が早い分、本来は不規則変化するgeschlafen, gegessen などの過去分詞がgeschlaft, gegesstとアウトプットされる確率が高くなるそうです。
能動態、受動態などの変化
この二つに関しては、能動態のほうが特にドイツ語ではよく使われる表現なので、能動態の表現が受動態よりも早く習得されます。
また、ドイツ語の受動態は
1) sein + Partizip 2
2) werden + Partizip 2
の二種類がありますが1)のほうが頻繁に使われる機会がもともと多く、それに比例し子供にインプットされる機会も1)のほうが多い為、より早く習得されるそうです。
手短ですが、今回は子供のドイツ語習得、形態論編を紹介してみました。
読んで下さりありがとうございました☺