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#4 大工ほど楽しい仕事はない――職人・当麻浩成

木の家だいすきの会のメンバーの、人となりを紹介していくこの企画。第5弾は、当麻工務店の当麻浩成さん。木造建築一筋にその腕を磨き続ける当麻さんだからこそ語れる、大工が楽しい理由とは。

大工とは、大いに工夫する人のこと

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――当麻さんは、いつごろ大工を志したんですか?
当麻 親父が大工だったんで、自然とこの道に向かいましたね。子どもの頃から親父について現場に行っていましたし。

――天職ですね。では、修行もお父さんの下で?
当麻
 いえ、実は学校を出て最初は大手ゼネコンで現場監督をしていたんです。でも、一ヶ月で辞めて(笑)。

――何が原因だったのですか?
当麻
 正直、面白くなかったんですよね。つくるものもRCとかマンションとかで、やっぱり木造住宅がいいなと。それで親父に相談して、笹森工務店で修行させてもらうことになりました。

――木の家大好きの会メンバーでもある、笹森さんですね!
当麻
 はい、今の社長のお父さんが腕をふるっている時代でしたね。二代目とも一緒に汗を流しましたよ。当時は10人くらい大工がいて、切磋琢磨してました。休みの日も作業場で刻んでました。兄弟弟子とどっちが多く刻めるか競争してね。

――刻むとは?
当麻
 部材の加工を手作業で行うことです。いまはほとんど機械が加工する「プレカット」なんで、若い大工はできない人が多いかも知れないね。でも、木の特性を見ながらまさに適材適所に加工する技術は、人間にしかできないですからね。金物も見えないようにつくるので、プレカットより美しいんですよ。

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――なるほど! そうした伝統的な技術も下積み時代のうちに身に着けたのですね。
当麻
 工夫の仕方ですよね。大工の意味は、「“大”いに“工”夫する」ことだと親父に教わりまして。工夫すれば何でもできる。それは今に至るまで変わりませんね。

木が持つストーリーを伝えたい

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――徹底的に木と木造住宅こだわっていますよね。
当麻
 シンプルに木は五感で気持ちがいいですからね。それと、木の良さを広く伝えたいんですよね。たとえば今は埼玉県ときがわ町の木材を使っていますが、そこにあるストーリーをお客さんに伝えることも大事な役割だと思っています。

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――ストーリーとは?
当麻
 木がどのような場所で育ち、どんな特長があって、それをどうやって加工してこの家にあるのか。それが伝わることで、住まいに対する想いも特別なものになるといいなって。

――結構お客さんとコミュニケーションは取るタイプですか?
当麻
 そうですね。設計士さんによってはあまり嬉しくない人もいるだろうけど、アイデアが生まれたときは提案しちゃっています。建主さんに「こうしたほうがよくなります」って。大きなお世話かもしれないけどね(笑)。

――すごくストイックな印象ですが、趣味はあるんですか?
当麻
 畑ですね。採れたものを建主さんにあげたりもしていますよ。あとは、余った材料で木工をしたりしていますね。この前は子供用の椅子や鉢をつくりました。

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――さすがです! やはりものづくりがお好きなんですね。
当麻
 それと野球ですね。子供が3人いて、全員野球をやっているのでそれに付き合って。

――お子さんに継いでもらいたいですか?
当麻
 やると言ってくれるならば、嬉しいですけどね。厳しい世界でもありますから。

――それでも、「大いに工夫する」当麻流が伝わってほしいですね。
当麻
 大工って面白いですからね。課題にあたったときにパッと思いつくか。思いついたことをすぐにアクションできるか。そういう意味では、発想力が試され続ける、豊かな仕事だなと思っています。

当麻工務店

自然素材を活かした注文住宅を手掛けている。技術面だけでなく幅広い知識も併せ持ち、現場でどんどん新たなアイデアを打ち出す提案型の工務店。木に対する愛情はHPからも伝わってくるのでぜひチェックを。


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