美しき失敗たち。
物の価値とは?
先日、チニアシツケルさんの3周年企画展示へ。
ギャラリーを運営されているご夫妻と
今回出展されている作家さんに共通の知人がいたこともあり
以前から気になっていたものの、今回はじめてお邪魔しました**
美しく、苦しく、意義深い展示でした。
以下、展示会概要です。
https://www.instagram.com/chiniasitsukeru/?hl=en
『物の価値を見直す月間』3周年企画展示
BEAUTIFUL MISS - 美しき失敗たち -
入場:¥500
期間:2020年2月1日(土)-2月9日(日)※火曜定休
時間:13:00-19:30(最終日18:00)まで)
作家達が、惜しくも世に出せなかった”失敗品”を集め、来場者の皆さまに品物の金額は自分で決める形式の企画展示を行います。本展で言う”失敗
品”とは、陶芸家を例に挙げますと、釉薬の発色も、フォルムも良くできて、最後の窯焚きで割れやヒビがしょうじたモノなど
「こんな色・形、なかなか出せないのに」と言うような意図せず生まれた、「物」として存在感のある”心惹かれるもの”
それを皆さまの審美に委ね、どのようなお見立てで、いくらの価値をつけるのか。物に思いを馳せ、物の価値を見直して頂く体験型の展示販売会となります
-参加条件-
●入場料/ 500円●販売/各作家にて最低購入金額を設けております。設定金額は非公開の上でお客さまの希望額が、最低購入金額を超えない場合は、ご購入頂けませ●受け渡し/一部作品を除外展示期間終了後の受け渡しとなります。発送をご希望の方は送料が掛かります。●その他/本展示はそれと同時に、他者と競り合うようなオークションでもありません。ご自身の価値観のみを物差しに、物との出会いを自由にお楽しみくださいませ。安くご購入頂けると言う意味合いのイベントではございません
実験的でとても面白い企画展!
ですが、私はいつものごとく直感で向かったため、
値付けをすることを入場時に知って慌てふためくのでした。
まず、ギャラリーに辿り着くまでが一苦労(方向音痴)。
やっと見つけた路地は、譲り合いながら
やっと人がすれ違えるくらいの細さ。
( 路地はたくさんあるけれど、その中でも細い方 )
奥まで進むと、ギャラリーの黒い扉は閉まっており
一見、openしているのかもわからないほど静か。
遠慮がちに扉を開けると、そこは坪庭のようになっており
屋根はなく、正面に見える大きな器には枝物の植物が。
そこへ、今年初めての雪が ちらちらと降り注ぎ
凛とした佇まいのギャラリーにさらに静けさと
幻想的な空気を感じました。
飛び石を挟んで左右にガラス張りの小さな建物があり、
さて、どちらから入れば良いのかな
と思っていたところ、オーナーの男性が迎え入れてくださいました。
柔和な雰囲気のオーナーさん。
展示の概要を丁寧に説明してくださり、凍りつく私に
紙とペンを渡してくださいました。
まずは入場したお部屋から作品を拝見。
次に誰も居なくなった反対側のお部屋へ移動。
静かな白い箱の中に並ぶ「 美しき失敗たち 」に囲まれながら
まるで坐禅を組んでいるような気持ちになりました。
( どれひとつ、私には失敗に見えませんでしたが )
私が作品を見ているようで、作品が私を見ている
他者が私を見ている
私が私を見ている
とても苦しかった。
普段認知していない自分の思考のクセや
価値観、好みの傾向に気付く。
( 最終的に選んだ3作品すべて同じ作家さんのものでした )
自身と真剣に向き合う貴重な時間となりました。
///
物の価値ってなんだろう?
また、価値をはかるツールとして「お金」があると思うけれど
そのお金すらも、持つ人によって価値が変わる。
子どもの頃の500円と、大人になってからの500円は
明白にちがうし、育った環境、その時の懐事情でだって
変わっていくものだと思う。
物々交換の時代から、より物の交換・価値の交換を
スムーズにするためのツールとして生まれたお金。
でも、そのお金だって皆共通、均一の価値観ではない。
現金から仮想通貨へ、やがてはお金という考え方が無くなり
物々交換の時代に回帰すると一説で聞いたことがある。
価値をはかるって難しい。
この日の私の精一杯で持ち帰らせてもらった一輪挿し。
作家さん自身が日常使いされていた物だそう。
... この子は私のところへ来て、果たして幸せかな?
物質以上の価値がある作品に宿った魂・精神を感じ
普段目をつぶっていた自身の見たくない部分に
意識を向ける大切な時間をいただきました。
本当に素晴らしい展示。
素晴らしいご夫妻でした。
ありがとうございました!
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