金魚風船

主に自由律俳句を表題にした短編小説を作っています。不慣れな部分もありますが、お暇でした…

金魚風船

主に自由律俳句を表題にした短編小説を作っています。不慣れな部分もありますが、お暇でしたら遊びに来てください。『磨け感情解像度』芽生え賞。

マガジン

  • 自由律俳句集。

    過去に作った自由律俳句をまとめています。一句でも誰かの心に届けば嬉しいです。

最近の記事

  • 固定された記事

綺麗になったねと爺さんが婆さんへ

 九月の仮決算から二ヶ月が経つというのに、心身の疲労が全く抜けなかった。  帰宅の電車ではスマホを見る気力もなく、呆然と外を眺めるばかりである。  家に帰るとすぐに自分の部屋に飛び込み、電気を消した。  そして夜明け前に目を覚ますと、同棲中の彼女が作ってくれた晩御飯をレンジで温め直して食べる。  そんな日をずっと繰り返していた。  「今度、温泉でも行こうよ」  憔悴した私の様子を見かねた彼女は色々と提案をしてくれた。  でも、どれもなんだがひどく億劫で、私は曖昧な返事をして

    • 自由律俳句集。2020年4月まとめ

      お久しぶりです。金魚風船です。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。 私の近況を話すと4月に転勤が決まり新しい環境での仕事に励んでいます。 そして思った以上に苦戦しています。 初めてだったのですが、転勤って凄いですね。 同じ会社やのに、こんなに違うんか。 って思う程、支店のやり方は全然違うし、お客様のタイプも異なる。まるで別会社。そのくせに意地悪な上司は変わらずにいるから不思議だ。 正直、半年が経った今も慣れたかと言われると疑問が残ります。 俳句を作るペースもグッと減りま

      • 中野の銭湯の記憶

         20代前半の頃、中野にある風呂なしのアパートに住んでいた。  今は解体されて駐車場となっているその建物は、家賃2万5千円と破格の値段で高層ビルが立ち並ぶオフィス街の中にひっそりと佇んでいた。  金は絶望的になかった。  でも、仲のいい友達が近くに住んでいたこと。また私自身、初めての東京での生活ということもあり自分の置かれる立場の割には楽観的な日々を過ごしていた。  風呂がないので、銭湯を利用する他はない。  アパートから徒歩5分程にある銭湯は古びたコインランドリーと併設さ

        • サプライズはハムスター #呑みながら書きました

           こんばんはー!金魚風船です。  三回目の飲み書きに参加させてもらっています。そして何でもないことを楽しく書ける場所があるって幸せだなと思います。  マリナさん、あきらとさん。  久しぶりの参加ですが、今回も楽しく書きますのでよろしくお願いします。  突然だが、3月6日にぷrっぱ、プロポーズをした。    本当は3月9日が二人の記念日だったので、そこで気持ちを伝えたかった。  しかし会社の食堂のおばちゃんに相談すると、おばちゃんは突然カレンダーを捲りはじめた。  それか

        • 固定された記事

        綺麗になったねと爺さんが婆さんへ

        マガジン

        • 自由律俳句集。
          4本

        記事

          エロ本を捨てた話。

           私が学生時代を過ごしたのは京都の山奥にある集落であった。  今は右京区に合併されているが、当時は「群」と呼ばれる地域である。  市内に出るには峠を越えて、車で二時間近くかかる。コンビニは当然なかった。  そんな田舎にも土手の近くにはエロ本が捨てられている。  のどかな風景の中に置かれたエロ本の破壊力は凄まじいものがある。  小学生は100メートル先であっても、その違和感を察知し走りだしたら止まらない。  そして「うげえー」と言いながら棒で突き回して、足で蹴飛ばすのはもは

          エロ本を捨てた話。

          自由律俳句集 2020年3月まとめ

          どうも金魚風船です。 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 久しぶりの更新ですね。 近況としては…昨日仕事の昇格試験を無事に終えました!! 内部の試験ですから、法務や財務、税務の他に会社の理念や方針までが試験に出るようで。勉強しながら「こんなん覚えて意味あんの?」とぶつぶつ呪文のように文句を唱えながら勉強していました。 でも、それも昨日でおしまいです! とりあえずしばらくは落ち着くと思いますのでnoteでも思いついたことを発表し

          自由律俳句集 2020年3月まとめ

          ショッピングセンターにまつわる記憶(ソーセージ編)

           5歳の頃、母と一緒にショッピングセンターに訪れた記憶がある。  イオン系列の地上3階の鉄筋コンクリートの建物。  決して大きくはないが、そこに行けば基本的には何でも揃うと地元の人達に重宝されていた。  だが、その日の私はあまり機嫌がよくなかった。  夕方のアニメを見ている途中に、突然夕飯の買い出しに連れてこられたからだ。  しかも5歳の私にとって、食品売り場はショッピングセンターで最もつまらない場所。  3階のゲーム売り場で待っててもいいかと訊ねてみたが、母は「探すの

          ショッピングセンターにまつわる記憶(ソーセージ編)

          君のパスワードの由来を聞けずにいる

           信用金庫で働いていると、暗証番号という言葉を頻繁に使用する。  「それでは最後にキャッシュカードの暗証番号4桁をこちらにご記入ください」    その時の顧客の反応は様々である。  最初から準備している人もいれば、いきなりそんなことを言われても困ると顔をされる人もいる。  「じゃあ誕生日にしようかしら」  慌てて決める人の多くはそう口にする。  「申し訳ありません。犯罪防止の為に、現在はご本人やご家族の誕生日は受け付けられないのです…」  誕生日だけではない。  郵

          君のパスワードの由来を聞けずにいる

          夜を越えて。

           人生で一度だけヒッチハイクをしたことがある。  フリーターとして3年目の25歳の春であった。  漠然と何かになりたいのに、何になればいいのかわからない。  そんな時期の話。  ある日、実家の祖母がいよいよ危ないと母から連絡があった。  世話になった祖母のために、今すぐに帰りたかったが絶望的に金がなかった。  通帳を開くと830円。  税金の督促で溢れた四畳半は余計に窮屈な気がした。  続けて母から連絡が来る。  「お金大丈夫?新幹線代くらい振り込んであげるから」  

          夜を越えて。

          食堂のおばさんの私服が派手 #寄せ文庫

          今回の記事は、ふみぐら社さんへのこちらの企画に参加させて頂いています。  (選んだ作品)   ◇  ふみぐら社さんに自由律俳句はとてもよく似合う。  と勝手ながら思います。    【自由律俳句:季語や定型に捉われない感情の自由な律動】    その自由律俳句の型がふみぐら社さんのどこから生まれて、どこに着地するのかわからぬ文章と重なるのです。  『新人の頭の上で銀のタライが揺れている』  『エレベーター表示がバグってみんなで見惚れている』  異国の情景ようで、近未

          食堂のおばさんの私服が派手 #寄せ文庫

          天使の足音

           午後の営業で取引先を駆け回っていると、足元のバランスが大きく崩れる感覚がした。    あわ…。  情けない声を出しながら、がくんと前につんのめる体をなんとか持ち直す。    これまで何度も経験してきた嫌な予感。  おそるおそる右足を確認すると案の定。  革靴のつま先部分に相当するソールがベロンと半分剥がれていた。  「ああ、もう今年で何足目やねん…」  私達のような営業マンにとって革靴は消耗品である。  なんせ一日の大半を路上で歩き回っているのだから。    履いては潰

          天使の足音

          夜中にラジオから流れてきた曲 #呑みながら書きました

            こんばんはー。金魚風船です。   今夜は二度目の呑み書きに参加させてもらっています!1   マリナさん、あきらとさん。   いつも素敵な企画をありがとうごじあmす。   この度も小瀬エアに、お世話になります。   そんで何書こうかな。   てt考えてたら、あんあり音楽の話とか書いたことないなって思って。   っていうのはこの間、ラジオ聞きながら散歩してたら凄い良かった!ので紹介しますね。  確か仕事で頭がいっぱいになってた時で、これはいかんなとおもてt、1000円で

          夜中にラジオから流れてきた曲 #呑みながら書きました

          根と骨

           昨夜の大雨が嘘のような、よく晴れた六月であった。  真昼のどぎつい日光が射しこむ窓を覗くと、我が家の庭一面に大量の雑草が生い茂っている。  先週に確認した時は、まだ双葉のような芽がいくつか出ていたばかりであるのに、今は子供の背丈ほどまで成長したものもある。  リビングの窓を開けると、雨が混じった緑のむせる香りが鼻を強く刺激した。    「先週見た時は小さな芽が数本出ているばかりやったのにな」  独り言のような調子でぼそりと呟くと、ワイドショーを見ている妻は興味なさそうに「

          自由律俳句集 2020年2月まとめ。

          お世話になっております。金魚風船です。 前回のまとめから随分と期間が空いてしまいました…。 皆さんは最近どうお過ごしですか? 相変わらず、どこにも行けない日々にストレスを感じることも多いかもしれません。 僕は5月の後半に資格試験が2つあり、それに向けて絶賛勉強…中…です。 …やばい、一つ目の試験来週だよ?どうするの本当に?? あああ、もう勉強やだああああ。 このまま、参考書を全部荒川に放り投げたろかい!!! すみません、取り乱しました。 今回は2020年の2月に

          自由律俳句集 2020年2月まとめ。

          ごろつきと花屋

           3月の第3土曜日。  目を覚ますと頭がかち割れそうな痛みに襲われた。  「うう…」  枕に顔をぐりぐりと押し付けて、少しでも痛みを分散させようともがく。  しかし、そんなことで痛みが和らぐわけもなく、カーテンの隙間から近所の子供たちの笑い声が駆け抜けていった。  土曜日は正直である。  無理はしていないと自分にどれだけ言い聞かせても、平日の疲れはしっかりとやってくる。  その疲れが私の場合、頭痛としてよく症状に表れた。  時計を見ると、もう14時近い。    流石にま

          ごろつきと花屋

          自由律俳句に恋して。 #呑みながら書きました

          こんばんは、金魚風船です。 今回はこちらの企画に思い切って、参加させていただきまっした。 マリナ油森さん、あきらとさん。 素敵な企画をありがとうございmす。 実はずっとこの企画気になってたんっですけど…人見知りと言いますか、なかなか参加できなくて。 だけどお酒の力も借りて…今回呑み書きデビューしてみました! ちなみに今はほろよいの手話びたさわー、じゃなくて「シュワビタサワー」を飲んでいます。 何を離そうか、話そうかな。 きっと初めましての方も多いはず…。 …うーん、じゃ

          自由律俳句に恋して。 #呑みながら書きました