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#0114【マンション管理】人の死の告知に関するガイドラインと賃貸経営

不動産投資、不動産賃貸経営に関わる皆さんは通称「人の死に関するガイドライン」をご存知でしょうか?国土交通省は、2021年10月に、人の死に関する調査や告知に関して、その判断基準となる「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、公表しています。不動産投資、不動産賃貸に関わる皆さんが理解しておいたほうがいい点を説明します。

【人の死に関するガイドラインの概要】
不動産業界ではかねてから懸案事項となっていた、不動産取引における人の死に関する告知義務について整理されたものです。いわゆる事故物件と言うとピンとくると思います。自殺、他殺等による告知義務を国土交通省はガイドラインとして公表しました。
宅建業者には、貸主等から過去に人の死に関する事案が発生したことを知らされ、または自ら発生したことを認識し、かつその事案が借主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げる義務があります。死亡した場所、死亡の原因、死亡からの期間によって、告知義務が必要ないケースをガイドラインでは示しています。ただし、借主から人の死に関する事案の有無を問われた場合や社会的な影響の大きさから借主が把握しておくべき事業がある場合には、告知を要するとしています。

【告知義務が必要となるケース】
ケース①:賃貸住戸内や日常的に使用する共用部分において、自然死・不慮の死(例えば、階段からの転落、入浴中の溺死など)で事故から3年を経過していないときで特殊清掃が行われた場合

ケース②:賃貸住戸内や日常的に使用する共用部分において、自然死・不慮の死(例えば、階段からの転落、入浴中の溺死など)以外で事故から3年を経過していないとき

告知義務があるケースに出てくるキーワードとしては、場所は住戸内か日常的に使用する共用部分か、特殊清掃が必要ななのか、事故から3年未満かを覚えておくとよいと考えます。

【オーナー側(貸主)への影響】
一般論として、そもそもオーナー(貸主)には、借主に対して、意思決定に重要な影響を与える事実は告知しなければならないため、人の死についてもその事案が取引の相手方である借主の判断に重要な影響を及ぼすものであるならば、賃貸借契約の締結前に、借主にこれを告げる義務があります。

【最後に】
オーナーの立場では賃貸も売却もしにくくなりますし、事故物件となることは積極的には望まないと思います。しかし、もし事故物件となった場合にはガイドラインにそって借主に告知する義務があることを覚えておく必要があります。しかし、ガイドラインは、あくまでも宅建業者が宅建業法上、負うべき義務の解釈についての一般的な基準です。ガイドラインにそった対応を行ったとしても損害賠償責任の回避などができるわけではない点に留意が必要です。つまりガイドラインは目安であり、絶対的なルールではないことは頭の片隅に入れておく必要があります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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