#0118【不動産税務】物件を取得したあとに行う減価償却とは

収益不動産を購入すると、所得が一定額以上の場合、確定申告により税金を納付します。はじめて物件を購入した方は確定申告のタイミングで減価償却費を計算して不動産所得の必要経費として減価償却費を計上します。今回は会計に馴染みのない方がピンと気にくいと思われる減価償却とは何かについて説明します。

【減価償却の定義】
適正な期間損益計算を行うため、固定資産の使用期間にわたり、一定の方法で適正に原価を配分することを言います。

【減価償却はなぜするのか】
収益不動産は不動産賃貸業をする上での事業のための資産です。形がある資産なので、会計的には有形固定資産と言います。ちなみに、ソフトウェアのように形がない目に見えない資産は無形固定資産と言います。不動産賃貸業では賃貸物件(固定資産)を貸付け、賃料収入を得ます。このように資産となったものは買ったときにだけ収益獲得に貢献するのでなく、何年にもわたり貢献します。従って、物件の取得に要した費用は会計上、その年度だけの費用とすることはできず、当該賃貸物件が稼働できると見込まれる期間にわたり価値が減価すると考え、その一定期間にわたり少しずつ費用化していきます。この一定期間にわたり費用として配分する手続が減価償却です。例えば、5,000万円の建物が20年稼働できるとしたとき、5,000万円÷20年で250万円ずつ必要経費に算入していきます(イメージをつかんでいただくためのもので、厳密な計算ではありません)。

【減価償却の効果】
減価償却は資産を取得した年度以降は資金の流出を伴いません。しかし、会計上、費用となります。税務上も同様です。従って、減価償却により資産を購入したときに投下した資金が回収されていきます。

【耐用年数】
減価償却を何年で行うかは資産の種類、用途などにより変わります。減価償却を行う年数を耐用年数と言います。耐用年数は、本来は経済的に使用可能な予測期間を個々の判断で決めて用いるのですが、一般的には税法で資産の種類ごとに決められている、税法上の耐用年数を用いて減価償却費を計上しています。

【最後に】
減価償却は資産(物件)を使用して家賃収入を獲得できる期間に対応させることで適正な期間損益計算を行うことを目的としています。従って、年によって、償却する額を恣意的に変えることは望ましくありません。基本的に一般に認められた所定の方法により毎期、計画的・規則的に行う必要がある点にご留意下さい。今回は物件を取得したあとの減価償却について説明しました。最後までお読み頂きありがとうございました。

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