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自然な日本語に翻訳するコツ

翻訳に携わっている方ならお分かりになるかもしれませんが、英語を自然な日本語に翻訳するのって、結構むずかしくないですか?翻訳の分野やジャンルにもよるかもしれませんが、英単語の意味を知っていても、それを自然な日本語として訳出するのってなかなか労力が要りますよね。特に、英語と日本語で表現のしかたが違うものだったり、英語にはあって、日本語にはない表現などなど。
私は字幕翻訳のお仕事の他に、英語話者を対象に日本語講師のお仕事もしているのですが、よくこんな質問をされます。「先生、It dependsは日本語で何と言いますか?」。あ~~この質問を何回聞かれたことか・・・😢
この"depend"って英語話者がよく使う表現ですが、日本語だとその前のやり取りで言い方が変わってきます。ここで2つ例をあげます。
①「アメリカでは映画を見るときいつもポップコーンを食べますか?」
②「質問してもいいですか?」
そして相手が「It depends.」と答えたら、①に対してなら「人による」とか「日による」などの意味が考えられますし、②に対してなら「どんな質問かによる=答えないor答えられないかもしれないよ」という意味が考えられます。なので、It dependsといっても、その場面場面でいろいろな訳し方があるので、ひと言でコレ!と答えられないのです。「日本語では具体的に言うから、It depends on (         ). の (          )の部分が大事なんですよ、と説明を加えないとならないのです。
ここから字幕につながる話になってくるのですが、この「It depends」に対して「なるほど!」と思った字幕がありました。それは、映画『トップガン』でトム・クルーズが女性教官に"Can I ask you a question?"と聞かれ、トムが"It depends."と応じます。その時の字幕が、教官「質問しもいいかしら?」(←教官の訳はうる覚えです💦)トム「どうかな」でした。私はこの字幕をみて思わずうなってしまいました。そんなにうなるほどのことか?と言われてしまうかもしれませんが、私はこの「It depends」にいつも悩まされていたので、どんな場面でも割と万能に使えそうなこの「どうかな」は、使える!!と思いました。ただ、日本語のレッスンのときに「It dependsは‟どうかな”っていうんですよ」(丁寧に言うなら「どうでしょう」)と教えちゃっていいかどうかは何とも言い難く・・・。質問されたことに対して「どうかな」だけだと、答えになってないと思うので、やはり「〇〇によります」と明確に言ったほうがいいかな、とも思います。

そんなこんなで、日本語のレッスンをしながら「英語を日本語に訳すのって、一筋縄でいかないなぁ」と思っていたとき、今回視聴した動画のタイトル「自然な日本語に翻訳するコツ」に目を引かれました。
字幕翻訳はセリフを翻訳する作業なので、辞書に載っている英語の意味をそのまま使ったら不自然になる、ということを動画の中で言っていました。だから私はIt dependsやHopefullyの意味を聞かれるのが苦手なのかもしれない、と思いました。つまり、字幕翻訳をしている時のような感覚になっていると言えばいいでしょうか。生徒さんとしては、シンプルに日本語での意味が知りたいから質問しているだけなのですが、私は考え込みすぎて「あ~この場合は〇〇って表現するのが自然だし、違う場合はXXだなぁ」などと頭の中でぐるぐる考えてしまうのです😢字幕翻訳の時は、英文を理解し、状況や場面を把握し、自然な日本語に訳していくことが大事なのですが、日本語のレッスンの時は、もう少し直訳的に考えたほうがいいのだろうか、とも思いました。

私が視聴した動画に興味のある方は、こちらをご覧ください♪
https://www.youtube.com/watch?v=HA_UUEnj4rA

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