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日本の誇りを後世に繋げたい

27歳の頃からこの事をずっと考えている。
モヤモヤを抱えながらも足だけは止めずに動いていたら、段々と言語化できていったにすぎないし、その過程でしんどい思いをする事は多かった。

2年前にハワイで圧倒的な行列を見た。
「有名なステーキハウスかな?」くらいの軽い気持ちで行列の正体を探りにいき驚いた。観光客が大勢並んでいたのは丸亀製麺(Hawai Honolulu店)。日本でも頻繁に目にしていたし、よく食べていた丸亀製麺の看板をアメリカで目にしてとても驚いた。
そして、心が震えた。日本人としてとても嬉しかった。

あの日見た光景が今も目に焼き付いている

自分でも意外だったこの反応が帰国してからずっと気になっていた。
その頃「should」ではなく「want to」で次に挑戦する事業を決めたいと思っていたタイミングだった。
リクルートの同僚と25歳で初めてコーチング領域で起業したが上手く行かず、1年半後には別々の方向に進んだ。今でもビジネスマンとして尊敬しているし、将来仕事が一緒にできたらと思うくらい信頼しているが、当時はうまくいかなかった。多くの事を学んだが、この経験から『やるべき<やりたい』軸で次は事業を決めたいと気付けた。
『Want toを軸として、ビジネスモデルは問題解決のアプローチを取る
これを悶々と考えながら過ごしていた自分にとって、丸亀製麺を見た時の感動が心にずっと引っかかり、なぜそう感じたのか考える日々が続いた。

ようやく『自分の属するコミュニティを自慢したい。』と言語化できた。
地元やサークルを「最高!」と盛り上がるマインドと変わらない。
コミュニティの最大範囲は『日本人』と定義した。
社会人になり自分が環境にどれだけ救われてきたか痛感する出来事が多く、それらの積み重ねで『自己の範囲が広がっていく感覚』が芽生えていた自分にとって違和感のない答えだった。
そして、日本人が自国を自慢できる相手は海外で手段は『食』と決めた。
訪日外国人は現状3,000万人で2030年の政府目標は6,000万人。世界の人口は266倍の80億人。シンプルに魚が多い池で釣りをしたいと考えた。
海外の人に日本を自慢する手段を決めるために、日本が誇れるモノ・コトを見つけるため訪日観光客の来日理由を調べた。上位に連なるのは歴史や自然そして食(食文化)の体験だった。

食文化は長い年月をかけ伝統と変化を繰り返し今日まで繋がれてきた。
最初は日本の食文化の特徴は『発酵』だと考え、1年間かけて全国の日本酒の酒蔵・醤油蔵・味噌蔵を回った。(猛烈な二日酔いで秩父の酒蔵を友達と巡ったり、片道4時間かけて岐阜の味噌蔵まで車を飛ばしたり、新幹線で宮城のジャパニーズウィスキー蒸留所を訪れた日々が懐かしい。笑)
そこで日本が何百年もの歳月をかけて受け継いできた伝統や職人技術の凄さを目の当たりにした。
同時に、もっと間近で手がけたプロダクトが顧客に届く瞬間を見たいと感じるようになり飲食店に興味を持つようになった。
寿司・焼肉は外国人に非常に人気なコンテンツだが、素材への「目利き力」が大事な領域は難しいと考え、同様に外国人に人気なラーメンに辿り着き、すぐに副業で短時間でも働ける店を探すために履歴書を送りまくった。そして唯一、下北沢のラーメン屋に拾って頂いた。
偶然にもそのお店は毎月500人前後の観光客が来店する店で、彼らに対して1年2ヶ月の間ラーメンを提供し、目の前で「Amazing!」と感動する彼らを見て、リクルートやITスタートアップでは感じる事ができなかった種類の楽しさを味わう事ができた。
詳細は割愛するが、去年の8月に仮説検証を兼ねて欧州に来た時に、テナントを構えるビジネスでスケールさせる事が難しい構造上の問題を学んだ。そこでデリバリー専門に決め、今はおにぎり専門からお弁当に舵を切った。

やりたい事を実現する手段として海外を選んだので、自分にとっては北海道も東京も大阪も福岡もアムステルダムも変わらない。外に出たからこそ日本の素晴らしさをひしひしと感じているし、そもそも海外移住願望があったわけではないので日本に住みたいとも思っている。
それでも踏ん張れているのは悔しさが理由の一つだ。
マックやケンタッキーが連日行列なのを見ると正直めちゃくちゃ悔しい。
日本にも世界に誇れるコンテンツがもっとあると確信しているから。
(わざわざ観光地で食べるか?とツッコミたくなるが、彼らが売っているのは、バーガーでもポテトでもなく、未知の旅先でも味の外れがない「安心感」だと思う。そこまで思わせる彼らのブランディングは凄まじい)

日本米・味噌・醤油など具体的な有形物だけでなく、日本食や弁当のような抽象的な無形物も間違いなく日本が世界にアピールできる食文化の形だ。
フランスでは10年前に、アメリカでは数年前に「Bento」が言語として正式に登録され、日本食レストランは毎年数万件ペースで増え、今では世界で15万店舗もある。だが日本人が経営に携わっている店は6%しかない。
日本人が経営に携わってない事が悪いというつもりは全くない。
でも、日本人の手で自国の誇りをもっと世界に発信できている世界があっても面白いんじゃないかって思っている。

日本人同士でいがみ合ったりしている場合じゃない。
自分のできる事から考えて愚直に実行していく。
将来、具体のHowが変わる可能性もある。
それでも、自分の『やりたい』という意思、大きな見えない流れに背中を押されている感覚を信じ、今は目の前のやるべき事をやるしかない。
毎日2時に起きる生活も異国の地で100回以上拒絶された飛び込み営業も、やるべき事と捉えれば辛くない。最初の1歩は怖かったが、これは未知からくる感情であって、1歩踏み出してしまえば妄想よりひどくないことがわかる。
昔は違う考え方だったが、今の僕は『何事もやらないと分からない』と信じている。動き続ける中で『あ、これやりたい。』と気づけただけで人生の目的なんていう大層なものも持ち合わせてない。
そもそも人生に目的が必要なのかもわからないし、仮に必要なのであればこれから気づければいいと思っている。
ただ矛盾に思えるが、2年前からずっと心に引っかかっている問いはある。

人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなく、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。生きることはあなたから何を期待しているだろうか。』

出典:『夜と霧』ヴィクトール・フランクル



V・フランクルさん、
今の自分にとって、人生の目的なんて好きな時に好きな人とお酒と美味しい食事を楽しむ、くらいしか思いつかない。
日本の居酒屋がとても恋しい。行ける日を夢見て今日も前に進む。

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