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ねこってこんなに可愛いの? 第4弾

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

秋晴れに誘われた僕は、スーパーマーケットまで歩いて行きました。
帰宅途中、僕はショートカットをしました。ランドセルを背負って下校していたあの頃に戻って…。
当時は、友達と通学路を逸脱しては「絶対こっちの方が近いって。先生たちって、とんまなんじゃないの?」と愚痴をこぼしながら通った近道だ。
今考えれば、先生たちが児童の安全を第一優先に通学路を決定したのは言うまでもない。だけど大人より視線が低い僕たちは、安全より好奇心を選んでしまうのだ。それが子供の特権であることを忘れない為に。

この道は両側を塀に囲われた1本道。日が当たらず、細長くて幅の狭い道を歩いて行く。先に見えるT字路までは、距離にしておよそ100m弱。
前から人が歩いてきたら、どちらかが身体を斜めにしないと肩がぶつかってしまうほどの道幅しかない。距離にしても、僕が新作のパラパラを考えているうちにT字路へ出てしまった。
これはさすがに僕が教員だったとしても、通学路と認定しなかっただろう。

実家の庭に足を踏み入れると、玄関の前で野良猫が黄昏れていた。


東の方角に何か想うことがあるのだろうか?


金になる木の横で黄昏れる野良猫。
「どうした。君が黄昏れているなんて珍しい。まさかこの世の終わりが近づいているとでも言うのか?」
僕の問いかけに、野良猫が「にゃー」と鳴いた。
僕は少し焦った。
「君の大好きな、ツナとささみのハーモニーを買ってきたよ。すぐに拵えるから、君はいつもの君に戻っておいてくれないか」
僕のお願いに、野良猫がこちらを見てきた。


左の前足を出してこちらをガン見してくる野良猫。


「そんなポーズを決めて、まさかパリコレにデビューする算段なのか?」
僕の問いかけに、野良猫が「にゃッ」と小さく鳴いた。
僕はかなり焦った。
それにしても可愛い。ナイスポージングだ。
僕がモフろうとすると、野良猫はダッシュで逃げて行った。

そのあと野良猫は、ツナとささみのハーモニーを一心不乱に食べた。
満腹になった野良猫は、前足に唾液をつけて洗顔を始めた。そんなに唾液をつけて顔が臭くならないのだろうかと、いつも僕は不安になる。
ツナとささみのハーモニー効果で、僕と野良猫との距離は明らかに縮まっている。
「それじゃ、僕も昼飯を食べてくるよ」
僕の声を聞いた野良猫が、洗顔をやめた。
そして小さく鳴いた。
「何を食べるかって? 今日は蛸と烏賊の冷製パスタだよ」
僕は今だ、と思い、野良猫をモフろうと右手を伸ばした。
すると野良猫がビクッとして、遁走した。
僕は今日もモフることができなかった。

ちなみにツナとささみのハーモニーは、1缶で650円もする。
くうぅッ。


【了】

https://note.com/kind_willet742/n/n279caad02bb7?sub_rt=share_pw

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