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読書紹介18「メインテーマは殺人」

あらすじ

自ら葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は殺されると知っていたのか?作家の「わたし」、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知り合った元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる。自らをワトソン役に配した、なぞ解きの魅力全開の犯人当てミステリ。

感想

ミステリー作品には「フェアプレイ」と言う言葉があるそうです。

解決編に至る前の段階で、それまでに入手した情報で、すべての謎を解き明かす事ができるように、解決に必要な手がかりを作者がすべて読者に提示し、また地の文には決して嘘を書かないといった創作態度のことです。

この作品も、ちゃんと手がかりや情報は示されています。しかし、作者の術中にはまって、見事に「だまされた~」「そうだったのか!!」と、「やられた」感が半端なかったです。そして、悔しいというより、「なるほど」「そうか~」と言う納得感みたいなものが大きかったです。

推理のポイントは次の2つかなと思いました。

➀タイトル
 「メインテーマは殺人」。
 作者のミスリードで、犯人ではないかと思わされる人物が何人も出てきます。それらしい動機(過去の事件、出来事)がたくさんあるからです。でも、一番のメインは「殺人」。誰が、被害者と一番関わっていたかを考える必要があります。

②どちらの事件がメインだったか
 犯人にとって、どちらの事件が一番の目的だったか?の捉え方によって、関わりのある人の見え方が随分と変わります。
 
何かを宣伝する時に「イメージ戦略」が使われるときがあります。今回の事件はその逆バージョン。この作品から、ある一つの出来事(事件)がある人と結びつくと、その人の見え方が随分と変わることが良く分かりました。

著書情報
「メインテーマは殺人」
アンソニー・ホロヴィッツ(山田蘭 訳)
発行所   創元推理文庫
発行年月日 2019年9月27日
値段    1100円(税別)


皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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