週刊「我がヂレンマ」<9月2日号>

 昨日、庭の枝草刈りで着用した作業用のシャツと帽子を干しましたが、雨によって落下し濡れ、帽子にダンゴムシが湧いてました。非常に悲しい想いをして、今日干したらば、風で落ちました。
 そして、9月は始まった。
 今年もあと三分の一。恐ろしいことですよ、時間の流れは残酷にも早く、自分はその分進歩しているのかと、自問自答する。
 もとい、してないっス。
 仕事して、文章書いて、本読んで、ネットサーフィンしてるだけの日常ですよ。意識を高めて、精神統一したところで腹が減るだけ。得るものは何もなく、ほとんどの場合は「考えたこと」に満足するだけ。
 進歩を考えて、日々を過ごすだけである。
「もっと、巧くなりたい。もっと、面白い作品を書きたい」
 そんな感じで、今週のコンテンツ。
<メモについての解説と考察>
<購入した書籍の紹介>
<月曜、ひとり歌会>
 楽をしたいという、自分の弱さに負けないよう、そして気負わずに楽しんでいきたいっす。
 前置きはこれくらいにして、もう書きます。

<メモについての解説と考察>

「ああ、こわ」
 これはおそらく町田康先生の『告白』にでてきた台詞。自然な河内弁が魅力の今作の、咄嗟の言葉。
 シンプルに、反応を素直に書かれていて、「エエな」と思いました。これくらいに自然に、小説ライクな文章に拘る必要はないなと膝を打った次第です。絹ごし豆腐みたいで厚いけども、するするとした喉越しなんで、
とっても素敵。『告白』おススメです。

「下品に金を使う男=下品に性を使う女」
 これはYouTubeチャンネル『細川バレンタイン/前向き教室』にでてきた言葉。金で女性を支配しようとする男は糞であるし、性をエサに金を引っ張ろうとする女はやはり糞。
 どちらも自身の魅力による自家中毒を起こしている。まさに病人。

「走り回る障害者」 
 何を見て、何故メモしたのか不明。単純に考えてみると、その様子は制御不能な機械のようで正直に言えば、怖い。
 同時に彼には、彼らの世界があって人生があるのだと考える。そして家族がいて、確かにそこには時間があって、越えてきた日々が、瞬間がある。
 そう考えれば社会的弱者を包摂できる、そんな社会が一番と思う。
 経済的に豊かであるからできること。彼らを排除するのは、経済を諦めるということ。
 とはいえ、迷惑。しかし、ひと呼吸。優しさは忘れたくないです。

「淪落(りんらく)」
 落ちぶれること。落ちぶれて身を持ち崩すこと。
「――した地元の先輩をみて、何か悲しくなった」
「己の――を楽しむ余裕が、その後の人生に繋がる」
「――したからこそ、見えてくるモノもある」

「丹波凛(たんば・りん)」
 丹波さんも人の子、子供くらい生まれる。当然、女の子も生まれるだろう。「凛ちゃん」は確かに可愛いが、「タンバリン」となってしまい、キラキラネームがすぎる。音楽の授業で間違いなく登場する楽器なだけに、弄られることは必定。「明るそう、可愛らしい」など好印象はあるが、親の悪ふざけ感は否めない。

「有為転変(ういてんぺん)」
 この世のすべての存在や現象は、さまざまな原因や条件によって常に移り変わるものであり、少しの間もとどまっていないこと。また、この世が無常で、儚いものである例え。もとは仏教語。
「有為」は因縁(原因や条件)によって生じたこの世の一切の現象。「ういてんべん」とも読み、また音が転じて「ういてんでん」と読む場合もある。
 有為転変は人の世の常、ということです。

「端倪(たんげい)」
「端」は始め、「倪」は終わりの意。
 物事の初めと終わり。事の始終。
 物事の本と末、終わりと始めを推しはかること。あらかじめ予想すること。推測。
「この子の才能には――すべからざるものがある」
 何の為にメモしたのだろう。
 知っていたら「カッコいい」そんな浅薄な理由です。

<購入した書籍の紹介>

「テルリア」
                      ウラジーミル・ソローキン
                            松本隆志/訳
『21世紀中葉、世界は分裂し、<新しい中世>が到来する。
 怪物ソローキンによる予言的書物』

〈タリバン〉襲来後、世界の大国は消滅し、
数十もの小国に分裂する。
そこに現れたのは、
巨人や小人、獣の頭を持つ人間が
生活する新たな中世的世界。
テルルの釘を頭に打ち込み、
願望の世界に浸る人々。
帝国と王国、民主と共産、
テンプル騎士団とイスラム世界・・・・・・。
散文、詩文、戯曲、日記、童話、書簡など、
さまざまな文体で描かれる50の世界。

『テルル、天使の衣の光るもの! 
 テルル、人間的なものの限界を拡張するもの!』

 かわいい孫たち、これはね、ロシアの宿命的な三人の支配者を象った三体の彫像(・・・)最初の一人、ほら、このひげを生やした狡そうな男はロシア帝国を破壊して、二番目の禿げ頭にシミのある眼鏡男はソ連を崩壊させ、この顎の小さな男はロシア連邦という名の恐怖の国をつぶした。
 そして六十年前、民主主義者で平和主義者でベジタリアンでプロの彫刻家だったあたしの亡き夫がこの三つの胸像をすべて作った。
 あの夏、ロシアというドラゴンは最終的に息絶え、自国民を食らうことを永久にやめたんだ。
                            (本文より)

世界がバラバラに砕けはじめた以上、
それを単一の言語と線的な展開で
描くことは不可能です。
世界が破片でできているなら、
それは破片の言語で
描かねばなりません。
                    ――ウラジーミル・ソローキン

 装幀がカッコよすぎ。小学校低学年のこどもが喜びそうな、キラキラしたやつ。河出書房新社のやつ。なんだかソローキンを集めている。
 だって、とってもカッコいいんだもん。

「〈新版 地図で見る〉中東ハンドブック」
                          ピエール・ブラン
                    ジャン=ポール・シャニョロー
                           太田佐絵子/訳
                  地図製作/クレール・ルヴァスール
『豊かさを警戒心をもたらす地政学的テクトニクス』

『中東の現状が一目瞭然でわかるアトラス!
 一新された80以上の地図とグラフで、トルコからイエメン、エジプトから
 イランにいたる地政学的集合体である中東地域の、さまざまな暴力の原因
 を解明する。』

「中東における暴力の根源は、この地域を横断する構造的矛盾に結びついている」

「危険にさらされているのは、国家、人々、市民社会の運命である。この地域の安定を可能にするためには、暴力の原因を理解することが不可欠」

◉オスマン帝国滅亡以降、現在の紛争の根底にあるもの。
◉独裁体制の政治的窮地と、ナショナリズム、イスラーム主義、シオニズム
 の漂流状態。
◉石油、天然ガス、水、土地――争いの的になる戦略的資源。
◉地域域内での、大国の利害関係と戦略。

 国内外、何かと話題の中東、イスラム、民族、宗教。
「入門編としてよさそう」ということで購入。勉強しだしたらキリがなさそうだが、なんとく中東の人って恐いとか、考えが違いすぎて迷惑とか、そんな表層的なところで苛ついていたくない。
 そういうことです。

「無意味なものと不気味なもの」
                              春日武彦
『恐怖の正体』の著者が贈る、”心がざわめく小説”案内

「怖い」と隣り合う/礎になる感情を
掘り下げる随想と書評。
読めば「怖い」が見えてくる。
見えているのに「怖く」なる。
                            ――澤村伊智

 あれはいったい何だったのだろう――私たちの心をざわつかせ、名伏しがたい不安感を呼び起こす、過去の体験や不穏な記憶。
 作家・精神科医である著者が、そうした人間心理の暗部に触れる。
”無意味で不気味なもの”の正体を、ラヴクラフトや車谷長吉などの小説作品に探る。異色の恐怖文学論に書き下ろしの新章を増補した決定版。
                          〈解説〉朝宮運河 
【目次】
文庫版のためのまえがき
まえがき

1 隠蔽された顔――N・ホーソーン『牧師の黒のベール』
2 本物そっくり――河野多惠子『半所有者』
3 糞と翼――パトリック・マグラア『長靴の物語』
4 姿勢と連想――古井由吉『仁摩』
5 受話器を握る怪物――H・P・ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの  陳述』
6 孤独な日々――日影丈吉『旅は道づれ』
7 南洋の郵便配達夫――J・М・スコット『人魚とビスケット』
8 描きかけの風景画――藤枝静男『風景小説』
9 墜落する人――レイ・ブラッドペリ『目かくし運転』
10 救われたい気持ち――高井有一『夜の音』
11 果てしない日々――クレイ・レイノルズ『消えた娘』
12 世界の構造――富岡多惠子『遠い空』
13 グロテスク孝――カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』
14 うふふ。――車谷長吉『忌中』
15 昆虫的――内田百閒『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最後の逃亡』
16 入り込んでくる人――庄野潤三『黒い牧師』

あとがき

 ジャケ買い。Amazonで他の本を渉猟していたら、たまたま「この商品に関連する商品』に出て来て、これだと購入を決める。
 空中に球体と正六面体が浮いている。それぞれがピッタリはまりそうな窪みのある、おそらく男性が二人いる。
 無意識的に惹かれてしまった。文庫です。増補・新版です。

「死に急ぐ鯨たち・もぐら日記」
                              安部公房
『世界的作家、思想の根幹』

小説(フィクション)とは異なる
文章と語り。
安倍公房
という作家の脳内に
空いた〝穴〟を覗き見る
迷宮冒険譚。
                   小島秀夫(ゲームクリエイター)

生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない――。想像力不足からくる楽観主義へ警鐘を鳴らす「死に急ぐ鯨たち」、自身の創作を振り返るインタビュー「錨なき方舟の時代」、貴重な日常を綴った「もぐら日記」など、1980年代に語られた言葉の数々は、今なお社会の本質を射抜き、我々への啓示へと変貌する。多様な表現を通して浮上する世界的作家、思考の淵源。

◉本文より
「なぜ書くか‥‥‥」

 この質問は倫理的なもので、論理的なものではないはずだ。論理的には質問自体が答えをふくんだ、メビウスの輪である。
 作家にとって創作は生の一形式であり、単なる選択された結果ではありえない。「なぜ」という問いが「生」の構造の一部であり、生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない。
 しかし倫理的にはいささかノスタルジーを刺激する質問である。
 こういう質問が可能な〈解答の当否は別にして)希望にあふれた時代があったことは否定できない。
 だが積載量過剰のトラックのような時代をくぐりぬけて、作者は失望し、かつ謙虚になった。死の舞踏でも、下手に踊るよりは上手に踊ったほうがせめてもの慰めである。
 夢のなかで幻の越境者が夢を見る‥‥‥

 え、安倍公房先生の文庫の新刊あるじゃん! 買わないわけにはいかん。文庫の既刊は全部あるんだからさぁ。油断も隙もあったもんじゃない。

「サラダ記念日」
                               俵万智
日本テレビ系列 2022/3/5 放送「世界一受けたい授業」
時代を越えて愛される、今村翔吾先生が選ぶ『百刷本』第1位!

401刷282万部突破!

テレビで紹介続々!

NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」にも登場!(2022/3/4放送)

「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日

282万部の大ベストセラー!
与謝野晶子以来の天才歌人
俵万智の第一歌集

荒川洋治天才はおコメを知っている。今日の稲穂、朝ごはん。明日のおコメのこと。たべて生きてる若いからだ、にがい心まで白いことばで知っている。この一俵の重み、かみしめたい。高橋源一郎コピーが詩人たちを青ざめさせたのはつい最近のことだった。今度は短歌がコピーライターたちにショックを与える番だ。読んでびっくりしろ、これが僕に出来る唯一の助言である。小林恭二とりあえず今、どこからでもいいからこの歌集を開いてください。ほら、きらきらした楽しい気分があふれ出てきたでしょう。この気分が俵万智なんです。この気分が今なんです。

 歌集といったら、「コレ」ですから。

<月曜、ひとり歌会>

 時刻は【22:33】
 締切迫る深更。
「五・七・五・七・七」「季語はいらない(使用可)」という最低限のルールを守り、言葉を研くことを目的に、気楽に詠っていきます。
 洗剤で手を洗ったら、いい匂いで鼻をほじれた。
 それはそうと、
 前置きなんて置き去りにして、創作の荒野をからっ風に吹かれながら、靄を掻きわけるようにして、詠ってやりますぜ。

〇遠浅に雨降りしきりしぼむ雲 薄目を開けるくすんだ夏に

〇力尽き膝に感じる草いきれ けれども燃ゆる夕陽まぶしく

〇「もういいよ」返すことばの貧弱さ 柔いココロに刺さる記憶と

〇嘘をつく君の顔には何もない 探してみてもひとり迷うな

〇台所 出汁の匂いと鳥のこえ 母の幻影 母の体温

〇振り返る 想いは常に突然で 浸る間もなく過ぎる電車

〇笠地蔵「殴ってみろよ」言っている そんな気がして負けた畦道

〇孤独感 知ったかぶりの寂しさにどこか得意気あなたは孤立

〇放り投げいつも拾ってポケットに 明日に向かう道は暗いよ

〇くしゃみの可愛いアナタ 愛おしく 日々の移ろい傍でみていた

 時刻は【23:32】
 ギリギリなんとかなりそうだけど、推敲あるから油断はできない。
 もういいよ。みなまで言うな、もう黙れ。
 明日から三日連続で、ショートショートなんだから。




 
 
 
 

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