週刊「我がヂレンマ」<6月10日号>

 そんで月曜日になりまして、仕事は無事に終わったんです。納豆と、温泉卵(四個入り)、副菜に切り干し大根の煮物を買いまして、夕餉としたんです。温泉卵ごはん、おススメです。卵とろとろ、ローソン100で買ったのですが、出汁がついてまして、ええ感じ。
 風呂に入って『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読みまして、さてどんな書き出しでいこうかと頭を痛めて、こんな雰囲気になったのだ。
 何故、頭を痛めるのか。それは、「格好つけよう」とするからだろう。
 読者によく思われたいとか、ただ斜に構えているとか、ようするにくだらない虚栄心からくる、生産性の欠片もない思考である。もう少し、今の、本音に耳を傾けるべきだろうと、思う。
 それはそうと今週のコンテンツ。
<メモについての解説と考察>
<購入した書籍の紹介>
<マンデーひとり歌会>
 前置きは終わりです。いきます。

<メモについての解説と考察>

「法螺(ほら)」
 法螺貝の略。大げさに言うこと。でたらめを言うこと。
 また、その話。利益が意外に多いさま。「これを思ふに、――なる金銀まうくる故なり」〈浮・永代蔵・四〉
 また、「法螺吹き」もあるな。嘘つきより、愛嬌がある。人を傷つける嘘というより、話を少し盛った程度なんだろうな、法螺吹き。

「横桟(よこざん)」
 戸や障子の上下の框(かまち)の中間にある横の桟。また、梯子の横の棒も横桟という。
 これは何かの小説で、「梯子の横桟に手をかけて――」という描写があり、それで知ってメモしたもの。名前が無さそうなものに、あったことに興味が魅かれたのだろう。

「諸星大二郎」
 (1949年7月6日)は、日本の漫画家。姓はもろぼしとも。別名に諸星義影がある。長野県北佐久郡軽井沢町生まれ、東京都足立区出身。1970年『COM』にてデビュー。
 代表作に『妖怪ハンター』『西遊妖猿伝』など。
 主に古史古伝に題材をとり、異形の存在によって日常の価値観や世界観を転倒させるような作品を多数発表している。また、日常の不安を形にしたような寓意的な作品も得意とする。作品にはクトゥルー神話の間接的影響も随所に見受けられる。
 重い読後感を残す伝奇作品を描く一方で、『ど次元世界物語』など、軽めの不条理めいたユーモア作品もデビュー当初より発表している。また近作にはグロテスクさとユーモアが同居した『栞と紙魚子』シリーズという少女漫画作品もある。

「世界首都ゲルマニア」
 とは、ドイツ首都ベルリンが広く国内外で「世界の首都」と讃えられるよう、アドルフ・ヒトラーがグランド・デザインを考え、建築家アルベルト・シュペーアが細部デザインを任された都市改造構想である。戦時下であっても土地収用や工事は並行して行われていた。
 小規模で設計・建造を進めながら後に1933年にアルベルト・シュペーアが総合建設計画「ゲルマニア」計画として本格的に具体化設計・建設総指揮を担ったベルリン改造計画の名。
 欧州有数の大都会ながら建築の面では地方的であり見劣りのしたベルリンを、ロンドンやパリをしのぐ世界の首都にふさわしい外観と規模のものにしようとした大計画であった。
 シュペーアの回顧録によれば独ソ戦開始時点のヒトラーの考えでは、1945年に戦争に勝利した後、1950年に世界首都ゲルマニアを完成させて自身は引退する予定であったと記述されている。
 肝心のドイツが敗戦した事もあり、完成を迎える事は無かった。

「暗々裡(あんあんり)」
 暗々裏とも書く。人の知らないうち。ひろかな状態。内々(ないない)。「――に事を運ぶ」「――の約束」
 人か、組織か、また世界か分からんが、水面下で知らん間に重要なことが進んでいそうだ。一般人にはカバーストーリーをプロパガンダとして流して、権力者たちが胸三寸で、都合の良いように何か決め事を、なんて。
 自分の手が及ばない領域の話、そんな印象。

「パテント・トロール」
 または特許トロールは、一般的には定義が困難であるが、自らが保有する特許権を侵害している疑いのある者(主にハイテク大企業)に特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようする者を指す英語の蔑称で、その多くは、自らはその特許を実施していない(特許に基づく製品を製造販売したり、サービスを提供したりしていない)。
 なんだか、ずる賢い。狡猾な印象。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に出た単語と記憶している。

「憫笑(びんしょう)」
 あわれんで笑うこと。また、その笑い。
「――を買う」
「自分の感情を省みて、――した」
 シニカルというか、見下し、自分にたいしては卑下しているように思える。あまり気持ちの良い単語ではない。戦前のエリート層、上級市民が使用していそうだ。出典は『豊饒の海・春の雪』だろう。

<購入した書籍の紹介>

「私の文学史 なぜ俺はこんな人間になったのか?」
                               町田康

『はじめての自分がたり。』
『パンク歌手から唯一無二の表現者へ。ワイルドサイドから贈る成功する墓穴の掘り方。』

 独特の文体・語法と奇想天外な物語で幅広い読者を有し、多数のヒット作を発表してきた作家・町田康。一度読んだら病みつきになる、あの唯一無二の文学世界は、いかにして生まれ、進化してきたのか。町田ファンならずとも、文芸ファンなら誰もが気になる謎について、作家自ら内面を「暴露」する注目の一冊。
 本書では、人生初の試みという「自分語り」を幼少期から還暦を迎えた現在まで、好きだった本や作家、自身の作品解説といった文学世界はもちろん、影響を受けた民謡・浪曲・落語・ロックなどの芸能世界も取り込みながら、徹頭徹尾、町田ワールドを全開していく。

第1回 本との出会い――書店で見つけた『物語日本史2』
第2回 夢中になった作家たち――北杜夫と筒井康隆
第3回 歌手デビュー――パンクと笑いと文学
第4回 詩人として――詩の言葉とは何か
第5回 小説家の誕生――独自の文体と作ったもの
第6回 創作の背景――短編小説集『浄土』をめぐって
第7回 作家が読む文学――井伏鱒二の魅力
第8回 芸能の影響――民謡・浪曲・歌謡曲・ロック
第9回 エッセイのおもしろさ――随筆と小説のあいだ
第10回 なぜ古典に惹かれるのか――言葉でつながるよろこび
第11回 古典の現代語訳に挑む
第12回 これからの日本文学

「宇治拾遺物語 町田康 訳」
                               町田康
『腹筋崩壊。煩悩切除。
 おかしくも切ない笑いの真骨頂。
 奇怪な鬼、エロ坊主、最高にいい女・・・・・・。 
 軽妙な新訳で甦る中世説話の金字塔!!』

 腹筋崩壊。煩悩切除。「こぶとりじいさん」こと「奇怪な鬼に瘤を除去される」のほか、「鼻がムチャクチャ長い坊さん」「雀が恩義を感じる」など、白眉の面白さで知られる説話集から33篇を収録。
 エロ坊主、最高にいい女なども登場し、心の動きと響きを見事に捉えた、おかしくも切ない古典新訳の金字塔。
                          ◎解説=小峰和明

「タイタンの妖女[改訳・新装版]」
                   カート・ヴォネガット・ジュニア
                            浅尾久志 訳
『今までに出会った中で、最高の物語。タイタンの妖女は、今や私にとっては、星のように光っている一つの点だ』
                      解説:太田光(爆笑問題)

 時空を超えたあらゆる時と場所に波動現象として存在する、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、神のような力を使って、さまざまな計画を実行し、人類を導いていた。その計画で操られる最大の受難者が、全米一の大富豪マラカイ・コンスタントだった。
 富も記憶も奪われ、地球から火星、地球から火星、水星へと太陽系を流浪させられるコンスタントの行く末と、人類の究極の運命とは? 巨匠がシニカルかつユーモラスに描いた感動作。

「モンスター・パニック! DEVOL UTION」
                        マックス・ブルックス
『WORLD WAR Z』で世界のホラー・ファンを唸らせた才人ブルックス、新作モンスター・スリラー!

『孤絶した集落! 迫る獣人の群れ!!』
『レジェンダリー・エンタテイメント映画化権獲得、製作進行中!』
『ローカス賞(ホラー部門)最終候補作』
 
 滅びた集落で発見された手記には恐るべき惨劇が――。

「あれは噴火か?」
「橋が・・・・・・なくなってた」
「あんな大きな足をもつ生き物は存在しない」
「彼らはもはやわたしたちを恐れては――」
「生首は傾斜のいちばん下に転がっていた」
「あいつらを殺さなければ。あいつらがわたしたちを狩ろうなんて思いもし
 なくなるまで」
「殺さなきゃ」
「準備はできた。さあ始まりだ」
「ざまあみろ、けだものども」

 作家マックス・ブルックスのもとに届いた手記。それはレーニア山噴火後、廃墟となって発見されたエココミュニティの住人が残したものだった。未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは?
 武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剥いて襲い来る狂暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか? 
 偽ドキュメンタリー(モキュメンタリ―)形式の衝撃作。

「アメリカへようこそ」
                         マシュー・ベイカー
                            田内志文 訳
『とてつもなく感情豊かな、圧倒的空想世界の13篇。』

「マシュー・ベイカーの頭ときたらまるで真珠を次々産み出す貝だ。どの物語も私たちに訪れかねない不気味で不安な未来を描きながら、感情的なリアリティをとどめていて、そしていつもどおり、
 信じられないほどめちゃくちゃ面白い」 
             ――ケリー・ルース(『Pull Me Under』著者)

『ファンタジー、寓話、ホラー、ディストピア、SF、ミステリ等あらゆる
 ジャンルを横断する「ここにしかない」物語。
 アメリカ短篇界期待の新生、初邦訳。』

「Netflix、Amazon Studios映画化権取得」

日常のごくありきたりなあれこれが、さりげなく、けれどはっとするほど空想的に作り変えられている・・・・・・実に聡明で想像力豊かで思慮深い作品集。
              ――『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌

ベイカーは絶対に安直に済ませない。アメリカの資本主義や過剰消費、政治という仮面をかぶった悪に鋭い剣を振りかざしはしない。藁人形を作り火ををつけ、拍手喝采しろと読者を煽ろうとしない。
                    ――『ワシントン・ポスト』紙

アメリカの退廃と栄光、その両方をベイカーは鋭い視点で描き出す。・・・・・・彼の生み出す物語の形式やコンセプトは、偉大なる寓話作家イタロ・カルヴィーノ、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、そしてシャーリィ・ジャクスンの作品を彷彿とさせる。
                         ――『ゲルニカ』誌

マシュー・ベイカーはまだ生えてもいない手足のために服を作るかのごとく物語を紡ぐ。・・・・・・これらの物語の奇妙でひねくれた光線を、できることなら永遠に浴び続けていたい。
            ――リタ・ブルウィンケル(『Belly Up』著者)

奇抜な空想世界にひそむ、物語の優しさ。全米注目作家が贈るSF短篇集。

「幽霊語」を生みだす辞書編纂者の正義、
儀式で絶命することが名誉な一家の恥さらしな叔父、
社会に辟易しデジタルデータになる決意をした息子と母親の葛藤、
幸せな日々を送る男の封印された終身刑の記憶、
生物園の男と逢瀬を重ねる女、
女王陛下と揶揄された少女の絶望と幸福の告白、
空っぽの肉体をもつ新生児が生まれはじめた世界の恐るべき魂の争奪戦、
合衆国から独立したテキサスの町「アメリカ」の群像悲喜劇、
逆回転する世界に生まれた僕の四次元物語――

現代アメリカの暗部と矛盾、恐れと欲望、親密さと優しさ。奇想天外な世界の住人たちのリアルな情動に息を呑む、驚異的作品集。

【目次】
「売り言葉」
「儀式」
「変転」
「終身刑」
「楽園の凶日」
「女王陛下の告白」
「スポンサー」
「幸せな大家族」
「出現」
「魂の争奪戦」
「ツアー」
「アメリカへようこそ」
「逆回転」

<マンデーひとり歌会>

 短歌といっても「五・七・五・七・七」と「季語はいらない」それだけを守っただけで、風流さ、優雅さなんかは一切合切ぶん投げる。
 もとい、かっこええやつは詠えない。育ちはそこまで良くはない。いや、悪かんことない。もとい、もしかしたら歌会が『週刊・我がヂレンマ』に組み込まれるかもしれない。毎回、「三つ目の企画どうしよう」と悩みたくないとの、事情もある。
 まー、よい。詠うぜ。

横浜で若ハゲこじらせ人殺し何でいるかねこんな人間

納豆を混ぜる方法凝ったとて味はかわらん自己満足よ

会計でカゴにひっかけ杖放置ババァのせいで迷惑至極

生レバー鳥刺し喰うて腹壊すそれでも喰うてカンピロバクター

積読で金がとぶとぶ何処までも止まらないこと湯水が如し

黒歴史かたる時点で白歴史ホントのやつは奥底しまう

レスリングくんずほぐれつ夜の汗迸るかな柔道耳

罰当たり靖国神社落書きす語る価値なし中国人

酒呑んでアテをたらふく満腹よ酒を呑んでもいくらも酔えず

携帯が未だガラケー異端すぎ時代おくれで知恵おくれかな

 締切まで一時間をきった。恐ろしい。十首詠むので精一杯です。そこそこ楽しいですが、時間的に追い詰められて、若干、消化不良ですね。
 しばらくの間、『週刊・我がヂレンマ』で三つ目のレギュラー企画として続けていきます。
 言葉を磨く。それが目的です。ついでに「七五調」、学んでみようかな。言葉の面白さに目覚めつつある、今日この頃。
 そろそろ終わりさせてください、と、いうことで終わりでございます。



 

                   



           


 
 
 
 
 
 

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