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「動物病院四方山話」26(頑張れコサギさん! 04 『元気でね!』)

私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています

前回の動物病院四方山話はこちら

* * *

27日目

コサギちゃんは、しきりに自分で羽ばたくようになってきた。
これで、目が見えることが確認でたら自然界に帰れるかもしれない!

そこで、またまたお友達のゲンちゃんパパと相談して新たなる作戦を考えました。

その名も

『コサギちゃんを自然に返そう作戦!』

以前「カワムツ」をくれたゲンちゃんパパ。
おうちにはまだカワムツがいるんだって。

この前はカワムツを口に近づけたりしてたんだけど、その時は無反応だったの。
でも、それって全然自然じゃないわよね。

そこで考えたのが、

『盥大作戦』

そう、小さい時に行水する時に使ったアレです。
さすがの一平ちゃんも使った事があるかどうかの代物。

ドリフのコントで頭の上から落ちてくるやつね。

漢字では(タライ)
昔は金属製しかなかったのに、現代のはプラッチック(関西弁)製
正確にはポリエチレン製


そんなに大袈裟な作戦でもないんだけどね。

色んな物を持っている、ゲンちゃんパパコレクションの一品

『 タ・ラ・イ 』

この中にカワムツを入れて、コサギちゃんをタライの中に立たせるの。

「ええ作戦やなぁ」・・・by 自画自賛するゲンちゃんパパ

さすがに泳いでる魚見たら捕まえたなるやろ!
(S塚心の声、関西弁Ver.)


お昼の2時、ゲンちゃんパパがタライカワムツを持って病院に来てくれた。

いつもは朝と昼もご飯をあげるんだけど、その日は昼ごはんは抜き。
朝も少ししかあげなかったわ。

お腹は空いているはずよ!

コサギ君、いざタライの中へ!


んっ!?

コサギちゃん・・・、全くやる気なしじゃないの!

まぁ、人が見てたらコサギ君も落ち着かへんわな。
(S塚心の声)
・・・なぜか里塚は勝手にコサギちゃんをオスだと思っている。

ということで、タライの中のコサギちゃんとカワムツ達を置いて一旦人間は別の部屋へ。

・・・30分経過・・・

コサギちゃんはじっとしたまま。
それどころか、カワムツ達はコサギちゃんの足元が陰になっているので、隠れるためにコサギちゃんの足元に集まってる。

コサギ君、なめられてるやん!
(S塚心の声)

・・・1時間後・・・

コサギちゃんはタライの外へ出てジーッとしてた。
カワムツ達は全員無事。

全く獲物を捕まえようという気は無いみたい。

ここまでくると、目が見えてない説が濃厚なってきたみたい・・・。

残念ながら『タライ大作戦』は失敗に終わったのでした。

* * *

28日目

一平ちゃんは考えました。

自分でエサを捕れなければ自然には返せない。
かと言って、元気になったコサギさんにこの狭い場所でずーっと生活してもらうのは気の毒だし。
個人の動物病院で一生コサギちゃんの面倒を見てあげるのにも限界があるし・・・。

行政にも相談していたんだけどね。
隣の市に動物園があるんだけど、一平ちゃんの住んでいる所と行政区が違うので紹介してもらえないんだって。

行政が頼りにならないんだったら、個人で何とかしなければいけないわねっ。

ただし、目が見えないとなると専門の知識がある方がおられて、それなりの施設でないと面倒を見てもらえないだろうし・・・。

その時!!

一平ちゃんは、お友達の獣医さんが地方の小さな動物園の園長先生と知り合いだったことを思い出したの。
その園長先生も獣医さんなので事情を話すと理解していただけるはず!

早速お友達にメール!

すぐにその園長先生に連絡を取ってくれたの。
今までのコサギちゃんの経過や目が見えないかもしれない事を伝えてもらったところ、

「目が見えないかもしれないのか、それは大変だったね。」
「いいよ、うちで面倒見るよ。」

って、言って下さったの!!

* * *

コサギちゃんが病院に来てから31日目

自分で羽ばたこうとする力がますます強くなってきたコサギちゃん。
未だに目が見えているのかどうかは分からないけど、コサギちゃんは元気いっぱいって感じ。

ちょうど病院が午後から休みだったので動物園へ

Let's Go!

高速道路を1時間ちょっと、下道を40分ちょっと、合計2時間弱の道中。
コサギさん、揺れる車の中で二本足で立ってられるかしら?

車で揺れてもつかまれるように足場を作ってみました。
動物園に行く前の日から試したところ、しっかりその上に立ってくれています。


無事その動物園に到着

着いた場所はとーっても自然豊かで、のどかな動物園。

昔、ウリ坊が背中にニホンザルの赤ちゃんを乗せて園内を走る姿が可愛くて有名になった所なの。
覚えてる方もおられるかもしれないわね。

総合案内サイトからお借りしました
良い所でしょ!!


園長先生はとても良い方で、
「わざわざ遠くからご苦労さんやったねぇ。」
「コサギやね。うちでしっかりあずかるからね。」
「せっかく来てくれたんだから、動物園の中を見ていくといいよ。」

一平ちゃんはお言葉に甘えて動物園の中にも入れていただいたみたい。

その動物園には、

キバタン
カンムリヅル

ペンギンやフラミンゴ
何とかコンドル(正式な名前が思い出せない・・・)

などの鳥類もたくさん

ここだったら、目が見えなくても動物園の中でゆったりと暮らさせてもらえそう。

コサギさんを良い環境で良い人達に託すことができたし。
動物園も見せていただいたし。
皆さんのやさしさに触れられて感激ひとしおの一平ちゃん。

「すみません、コサギさんを引き取っていただいてありがとうございます。後のことはよろしくお願いします。」

動物園を後にする時にもう一度挨拶をして、車で帰路につく一平ちゃん。

車の中で、

「んっ!?、何か忘れてる?」

動物園に託す時にコサギちゃんとのお別れの記念写真を撮ろうと思っていた一平ちゃん。
そのためにデジカメの電池の充電までしてたはず・・・

それなのに!
撮ることをすっかり忘れていたの。
しかも、それだけではないのよ!
デジカメ自体を持て行くのを忘れてたのよ、一平ちゃんったら!

普段から旅行に行っても全然写真を撮らない里塚。
今回も帰って来る道中で、動物園の写真が全くないことに気づいたのでありました😅

一平ちゃんって、そういう所が抜けているというか、どんくさいのよねぇ。

まぁ、何はともあれ

元気でね、コサギちゃん!!


コサギちゃんを応援していただいた方々、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました🙇‍♀️

おわり














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