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第79回 教員の労働環境から 生徒に何を学ばせるか~リアルな社会人としての教師像~(「公共」研究チーム)

 第79回は「教員の労働環境から 生徒に何を学ばせるか~リアルな社会人としての教師像~」というテーマでお話しいただきました。報告者の関心事として、①高校生を「社会」と、どのようにつなぐか②「かっこいい大人」の存在に気付く➡教育を「社会」と一緒に行う。そのための、「接着剤」としての大人でありたい。③「横串」を入れる(世の中の素晴らしいものに触れに行く)ということがあげられました。多くの教員がそうだと思いますが、教員しかしていないというコンプレックスがあるのでこのようなことに取り組んでいるという紹介もありました。
教員は、目の前に毎日生徒がいることが当たり前となってしまっている。その価値を忘れがちでは!?という問いかけがありました。少子高齢化の進む昨今、若者が集う「場」はもやは日本では貴重であるという認識が必要だというお話もいただきました。
「場」としての授業価値は、いわゆる「社会問題」に対して、様々な見方や考え方を知り、自分でも考えてみるきっかけをつくるというものや、先人の努力や歴史をきちんと知るであったり、「課題」の本質を見つめ、自分事として考えることができるようになるなどの価値が示されました。このような視点から現在多くの学校で1年目となっている「公共」においても歴史をたどることの大切さがあるということでした。報告者の授業展開では必ず、後日提出のリフレクション課題があります。生徒から出てきたものにどのように反応するかが難しいが大切なことろだと言われました。
このようなところから今回のテーマ「労働」にてついて、「キャリア教育」を念頭に進めてきました。今回の発表形式は報告者の問いかけに対して随時話し合うという形でしたので、ここで報告者からの質問を以下に掲載します。
●生徒からの仮想質問に答えてください。①先生の勤務時間は?残業は?②部活動は仕事ですか?③給料はいくらですか?④有給休暇は何日ありますか?去年、何日取り(れ)ましたか?⑤どんな休暇制度がありますか?⑥労働組合はありますか?
●教員の長時間労働が解消されないことで生じる「社会問題」は何か?
●物流の2024年問題が解消されないことで生じる「社会問題」は何か?
●(どんな職種であっても)長時間労働の是正に必要なことは何か?
●教員の「労働環境」について、どうお考えですか?「反面教師」でいいのか?
●皆さんは、「声」をあげているか?
●仕事としての「高校教員」を教え子や子どもに勧めますか?
●そもそも教員は「労働者」なのか?我々の仕事は「時間」で測るものなのか?教員こそ、「市民」でなければならないのでは?「市民教育」は社会科教員だけのものではない!
以下は報告者の実際の授業の概略です。
【1回目】ディスカッション「都会で働くか、地方で働くか?」淡路市の事例紹介
【2回目】労働基本権、労働三権、労組などの講義雇用の変化アマゾンの事例紹介
【3回目】雇用の変化キグワークの課題労基法関係労働トラブルワーク(二人組でシュミレーション)
【4回目】春闘障がい者雇用女性雇用
【5回目】春闘の状況ワークライフバランス働き方改革「働き方」のグループワーク【問1】女性は男性よりも、どうしてもパフォーマンスが下がるよね。➡どうして、男女でパフォーマンスに差があると思っていたんだろう?【問2】「子どもが熱を出したんで休みます」なんてありえない。➡どうして、あんなに「仕事と生活」を切り離していたんだろう?【問3】「若手」が会社の方針に口を出すなんて・・・➡どうして「若手」だから会社を変えられないと思っていたんだろう?
【6回目】過労死遺族の会の講演
【7回目】「教員の労働環境」「物流の2024年問題」をネタに意見交換ワーク
【以下議論】
・(参加者の)子どもが高校教員になりたいと言い出した。両親ともに複雑な気持ちになった。
・教員という仕事をすることによって必ずしも人間的な生活ができるとは限らないという「但し書」がついてしまう。
・待遇をよくするのか、業務量を減らすのかという議論。
・実際の教育現場で「部活はやりたいひとがやったらええやん」といえない雰囲気がどうしてもある。
・組合の存在感は大切である。最近は高校の加入率が軒並み低い。
・私たちは労働者であることを忘れてはならない。研修にもいかなければならない。
・ある権利を使うことは大切である。例えば、「子どものために休む」のであれば「そのための休暇をわざわざとるべきである。先人が不断の努力によって生み出してくれたものを使わなければならない。年休・代休でまかなえるわとしてしまうのはよくないのでは…?
・報告者の学校は「格差」をどのように見ているのか。→自分たちは恵まれているのだという自覚。同じ高校生同士で全く違う環境で過ごしている人たちと触れる機会を作ること。それが報告者の関心ごとである。
・現状を知ったのち、なんでこうなっているのかを知る、発見していくのが社会科ではないのか。

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