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週末に投資アイデアを考える(6/2~6/8)

割引あり

<マーケットチェック>


株価


経済指標で右往左往する相場が続いていますが、確からしいのは雇用市場が調整に向かっているという点です。一方、マーケットが判断し損ねているのが、「雇用市場が調整した結果、インフレは遅いながら鎮静化してきているように見えるが、それで景気は腰折れしないというシナリオでいいのか?」という事だと思います。米国では解雇率が上昇することなく、雇用市場の過熱が収まってきています。本当にこのトレンドを維持出来れば、インフレは徐々に沈静化し、失業率の急増もないので、消費も急減速はせず、景気も腰折れしないという事になります。
日本株は相変わらずシャキッとしない展開が続いていますが、先月来指摘していた、日本売り中国買いのトレンドは止まってきている様です。

金利


日本の金利上昇がどこまで続くのか、水準感の議論が活発になってきました。先週の記事で、日本の金利市場の動きはこの2週間、海外比較でも大きくなっており、週末には国内金融機関がメインの投資主体であるJGBの金利は、海外勢も参加するSWAP金利をキャッチアップしたという事を書きましたが、QQE 以前の日米金利のバランスや、QQE 以前の長期フォワード金利と超長期フォワード金利のバランスを参考にすると、まだ20~50bps程度は上昇余地がありそうです。ここは引き続き注目です。

為替


日銀のスタンスは金融引き締め方向に動いており、日本は金利引上げ方向、米国は金利引き下げ方向という見方は変えていません。
為替の関係者は未だに金利差の話ばかりをしていますが、これまでも述べている通り、為替には安定した価格決定理論はなく、一度関係が崩れると動きが急速に大きくなることには注意しておいてください。為替以外の市場を見ていると、日本最悪シナリオとはなっていないように見えます。

<注目したニュース記事>


6/3日経 資産運用業も多様性が重要、女性ら参加の効果は

(要約)
岸田文雄政権が掲げる資産運用立国の実現プランは、人材の多様性の確保を求めています。資産運用業界は男性社会のイメージが強く、年長者が優位なことが多いですが、様々な人の力を活かす意義が強調されています。UBPインベストメンツのズヘール・カーン氏は、企業ガバナンスを重視し、多様な取締役を分析し、投資判断に役立てています。様々なバックグラウンドを持つ人材が危機管理やイノベーションに寄与すると述べています。

三井住友DSアセットマネジメントの横山智子氏は、成長株の発掘や投資運用を担当しており、多様なメンバーによる運用の重要性を強調しています。日常生活で得た知見を運用に活かし、幅広い視点を持つことで、運用のバランスが取れると述べています。特に女性のファンドマネージャーを増やすことが重要であり、金融教育の普及や企業の積極的なアピールが必要だと指摘しています。

ヤザワベンチャーズ社長の矢沢麻里子氏も、女性起業家の問題意識理解し事業化に成功しています。

資産運用業界において多様な人材が関わることが、より良い運用結果をもたらすと考えています。

<河北コメント>
資産運用の世界は圧倒的な男性社会で、これは日本に限らず世界的にもそのような傾向はあります。
ただ、資産運用は他の市場参加者との違った視点で物事を見る力が最も重要です。その意味で、男性中心のマーケットの中で、女性であるという事はそれだけで有利であるといえるでしょう。


6/5日経 決算書、円表記やめます

<要約>
企業は海外展開に合わせて為替リスク対応を変化させている。
三井海洋開発は、2023年12月期の連結決算で売上収益が35億ドル、税引き前利益が2億ドルとなった。同社は2021年12月期から決算通貨を円からドルに切り替え、為替リスクの影響を軽減しました。同社の売上高はほぼ100%が海外であり、取引の9割以上がドル建となっている。このような背景から、ドルでの決算開示が自然な流れでした。

スミダコーポレーションも通貨リスクに対処しています。海外拠点を増やし、地産地消を進めることで、通貨ごとの債権と債務を相殺し、為替リスクを抑えています。

企業の海外シフトが進み、上場企業の海外売上高比率は2023年3月期に42%となり、過去最高を記録した。日産自動車は輸出依存から転換し、海外市場での販売を強化している。

企業の国内回帰は進まず、多くの企業が供給網の見直しや需要地での事業拡大を進めています。政府内では企業の資金を国内に還流させるための税制優遇策の議論もあるが、効率的な資源配分を歪める可能性が指摘されている。

ヤクルト本社は、新商品の「ヤクルト1000」の販売が好調で、新工場を建設する計画で企業が付加価値の高い商品やサービスを生み出し、国内需要を掘り起こせるかが今後の課題となっている。

<河北コメント>
外国人投資家から見た場合、ドルベースで成長し、ドルベースで見た企業価値が成長する企業でなければ投資する意味はない
記事にあるような海外売上比率が高い企業でなくても、自社の決算をドル換算した時にどのように見えるのかを確認してみると、外国人投資家からどの様に見れるかが分かってくると思います。

6/5日経 国税の減免見送り シンガポール・香港と差

<要約>
金融・資産運用特区の規制緩和策と課題
政府が4日に発表した30項目に及ぶ金融・資産運用特区の規制緩和策の中で、欠けていたのは国税の減免措置だ。

シンガポールや香港では株式譲渡益などキャピタルゲインへの課税がなく、法人税率も約17%と低いことが、海外の金融機関を引きつける大きな要素となっている。英調査会社Z/Yenグループが3月に発表した「国際金融センター指数(GFCI)」では、シンガポールが3位、香港が4位にランクインした。

これに対し、東京は19位、大阪は47位にとどまっている。今回の特区では、外国人投資家向けの新たな在留資格創設など、ヒトの呼び込みに関してアジアの競争相手に匹敵する施策が打ち出された。しかし、国税の減免は国家戦略特区の検討対象外とされ、税制面の優遇措置は地方税レベルの小規模な内容にとどまった。

日本総合研究所の野村拓也主任研究員は、ドバイや中国・深圳などの特区では税制優遇措置があると指摘し、日本の特区は「規制緩和や新制度の創設が中心では、海外金融機関のニーズの一部にしか応えられない」と話している。金融規制運用の透明性向上や英語ができる国内金融人材の充実など、税制以外の改善も必要だ。

しかし、外資の誘致に強みを持つ海外の金融都市は、規制緩和とガバナンスの両立が課題だ。法人税を優遇するアラブ首長国連邦(UAE)のドバイは、不透明な金融・不動産取引の拠点として指摘されている。シンガポールでも2023年に外国人が関与する大規模なマネーロンダリング事件が発生し、国を揺るがした。

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