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【食】祖母の潜在能力におののく今日この頃。

ウバといいます。
訪ねていただきありがとうございます。



長崎県佐世保市のおとなり、佐々町にふみきり饅頭という饅頭がある。フワフワの生地の中にこしあんが入ってるだけのシンプルな饅頭だ。

開店当初、踏切の近くにあったことが名前の由来らしい。創業何年なのかはしらないが、わたしが子供の頃からあった。ずっと食べてる饅頭だ。

この饅頭を好きになったのは祖母の存在が大きい。というか、祖母から食べさせてもらった記憶しかない。

わたしは幼い頃からオッサンになるまで、おばあちゃんっ子だった。母方の祖母にとことん甘えたのだ。

わたしが小学2年のとき、父が家を建てた。そこが母方の実家の隣だったのだ。父方の家族とは、ほぼ縁を切った状態だった。

隣が母の実家となると、わたしは祖父母に甘えまくった。祖父は優しいが、どこか怖い印象もある。よくタバコのお使いを頼まれた。

値段までは覚えてないが、銘柄は覚えている。パーラメントだ。本当によくお使いを頼まれた。今じゃ考えられないが、当時は子供でも酒や煙草が買えたのだ。

祖母はとにかく優しかった。わたしは子供ながらに理解していた。親に甘えるより祖母のが甘いと。

お腹が空いたといえばオニギリを作ってくれた。すきやき味のふりかけをこれでもかと混ぜ込んだオニギリだ。思い出すだけでお腹が空く。

お使いを頼まれると、そのお釣りでお菓子を買っていいと言ってくれた。とにかく甘えまくったのだ。

そして、祖母の家で食べる最高の甘味がふみきり饅頭だった。おばあちゃんの家はケーキなんか出ない。甘味となれば饅頭かカンロ飴だ。カンロ飴、いまじゃ甘過ぎるんだよなあ。

それに比べてふみきり饅頭は今でも大好きだ。そもそも饅頭が好きだし、アンコが好きだ。ふみきり饅頭は生地も旨い。フカフカでほんのり甘い。それでいてアンコは甘過ぎず程よく生地とマッチしている。最高だ。

1つ問題があるとしたら。

祖母の出すふみきり饅頭は、いつも底に米粒が付いているのだ。ホッカホカで出てくるが、底に米粒。理由はカンタンだ。炊飯ジャーに入れて保温してるからだ。

子どもの時、わたしはこれが正しい饅頭の保管方法だと信じていた。どうやら普通ではないらしい。米の上に饅頭。まあ、異様な光景だ。

数年前に祖母は亡くなった。祖父が亡くなって長いこと元気に生きた。大往生だ。底に米粒のついたふみきり饅頭を食べる事も、もうないだろう。

ふみきり饅頭を食べると、祖母を思い出す。思い出の味だ。


と、この文章を書いていて、気になったことがひとつ。それは、祖母はどうやってふみきり饅頭を手に入れてたのか?ということだ。

祖母の家から饅頭屋まで、老人の徒歩では無理な距離だ。祖母はバスにも乗らなかった。わたしの両親は共働きだ。祖父に至っては、ほぼ歩けない。

祖母は家から徒歩圏内で生活をしていた。小さな商店があるため、老人の生活には困らない。だが、その商店ではふみきり饅頭は手に入らない。

気になって母に聞いてみたが、知らないとのこと。本気でどうやって手に入れてたんだ?謎は深まるばかりである……


祖母、恐るべし!


ここまで読んでいただきありがとうございます。
書いてたら、食べたくなってきたなあ


それでは、佐世保の隅っこからウバでした。



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