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米国選挙の歴史と日本経済への影響

奴隷制による綿花の大規模農園で栄えた南部が
商工業で栄えた北部に敗北し、
アメリカが統一されるきっかけを作った
南北戦争(1861-1865)の1ヶ月前、
リンカーンが第16代大統領に就任しました。

奴隷制の反対論者が結成した、
共和党(1854-)から初めて出た大統領です。

権力は一人の支配者や少人数の貴族ではなく、
被支配者(人民)のもとにあるとする民主主義を唱え、
(人民=社会的地位、階級、財産に関わりない人々)

奴隷解放やアメリカ統一を果たした功績で
歴代最高の大統領と呼ばれています。

リンカーンは、貧しくて教育を受けられず
独学で弁護士になりました。
全て自力でやるという美意識を持っている
アメリカ人が理想とするのが分かります。

奴隷制度の反対を主張していた
北部の勝利に終わった南北戦争戦後、
負けた南部を挑発しすぎると
国が一つにまとまらないと考え、

南部の財閥や地主の資産は取り上げず、
教育の規制も行いませんでした。

その寛容な対応が結果的にあだとなり、
・南部であり余るお金を持っている地主が、
 土地を持たない白人を従属的な小作人にする
 など奴隷制は形を変えて残り続けた。
・南部がいかに勇敢に戦ったか、
 奴隷がいかに豊かだったかなどを伝えるため、
 南部が教科書を書き換え始めた。
・南部連合国(アメリカ連合国)の信者が
 リンカーンを射殺(大統領として初めての暗殺)

第二次世界大戦後のGHQが、
日本の財閥や地主の資産を取り上げ、
教育を統制したのは南北戦争を教訓にしています。

南北戦争で敗戦した南部には、
人種差別を伴う「被害者意識」が芽生え、
100年以上経った今でも強く残っています。

共和党は、ニクソン(1964-1974)の頃から
南部の一体感を生むために、
被害者意識を肯定する「南部戦略」を実施。

その後、レーガン(1981-1989)や
ブッシュ(1989-1993)も南部戦略を継承。
南部の共和党票が多い理由の一つです。

トランプも、この歴史観に目をつけて、
白人労働者に向けてグローバリズムに対する
被害者意識を煽り、アメリカ・ファーストや、

1980年の大統領選でレーガンが掲げた
MAGA(メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン)
を演説で使用し米国の一体感を高めようとします。

人種や宗教、産業など様々な
分裂が起こる国をまとめる選挙戦略は、
南北戦争から形を変えて続いています。

日本で一番の貿易顧客である米国の大統領選挙は、
金利差による為替変動や、
輸出入品目の規制などの日本経済に
大きな影響を与えることは間違いありません。

今年2024年11月、
第47代アメリカ大統領選挙が行われます。

・どのように国をまとめる戦略を取るのか
・どこまで被害者意識を煽るのか
・自国の利益をどこまで守るのか

共和党トランプと民主党バイデンの演説注目です。

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