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常設展示と人々の物語!『常設展示室』原田マハ(新潮文庫)

今まで読んだ原田マハさんの本は、1枚の絵を中心にした話を書かれていましたが、今回読んだ『常設展示室』(新潮文庫)は、日常の中の1枚の絵を題材にした物語です。

絵の解釈をストーリーにするとそういう話になるんだな〜と思いました!

「なんだこの話〜!!」と驚くようなものもありました。

『盲人の食事』が出てきた「群青」というエピソードが色々考えさせられる話でした。生々しい人間模様というか、現実にありそうな話だと思いました。

本に出てきた作品

『盲人の食事』1903年パブロ・ピカソ作

恐らく黒色だろうロングTシャツを着た男性が食事をしいます。左手には食べかけのパンを持ち、右手を瓶に添え把手を探しているように見えます。少し痩せこけた頬と首筋を青色が強調し、よく見るとベレー帽を被っている。自宅だと思ったが、もしかすると別の出先なのかもしれない。1903年に作成された『盲人の食事』はピカソの青の時代の作品です。

作品を見るとまず構図とか人物とかより「青い…」という言葉が出てきます。少し時間が経つと青いフィルターをつけた世界を見ることに気づき、なんとも憂鬱そうな雰囲気を感じてしまいます。

青の時代は、1901年親友のカジェマスが自殺してしまったことをきっかけに始まる貧しい人や母子などを描く悲しい時代です。1905年の薔薇色の時代まで続く青の時代です。

『デルフトの眺望』1660-1661年ヨハネス・フェルメール

フェルメールの絵の中で一番好きな絵は何かと聞かれたら『デルフトの眺望』と答えるくらい好きな作品です!!

『真珠の耳飾りの少女』や『牛乳を注ぐ女』など、構図がしっかりとられた魅力的で魔力を持った吸い込まれそうになる作品はありますが、風景画が好きであるのとこの眺望にフェルメールのデルフトの愛を感じるからでしょう。

決して快晴というわけではないこの風景は3分の2が空になっており、雲が大多数を埋めています。黒い雲が一番上にあり、真ん中に白い雲があります。生活している人生と同じで楽しいことや辛いことなどを表現しているようです。川辺に数人が描かれており、流れのない川には何艘も絵が描かれていています。奥には壁で囲まれた街は赤の屋根や青の屋根が多く塔など綺麗に描かれています。その何気ない風景ですが、見ていてホッとします。日本にきたことがない作品なので、「いつか見たいな〜行ってみたいな」と思っています。

『大公の聖母』1505-1506年ラファエロ・サンティオ

幼子のイエスを抱くマリア。斜め下を見ているマリアと正面を見る幼子イエスは、黒の背景に浮かび上がるように描かれており神聖さが表現されています。黒色が背景である事により、マリアの着ている赤の服や青の服が鮮やかに見え、子供の肌の色がさらに浮かび上がるように感じます

個人的には、ラファエロの『小椅子の聖母』の柔らかい表情や守られているふっくらした赤ちゃんの作品が好きです。

『ばら』1889年フィンセント・ファン・ゴッホ

緑庭のようなところに咲く白とピンクのバラ。温かくもどこか寂しいバラは、鮮やかというより、どこか曇りの日に当たらない中庭で見つけた感じがする。どことなくトトロのサツキとメイの庭のような感じがします。

『豪奢』1904年アンリ・マティス

3人の裸婦、一番目につくのは左側に堂々とたつ女性です。その女性の下には、金色の髪を束ねた女性が、足を拭いているのか屈んで何かをしています。遠くからは花束を持った女性が近づいてきます。湖は水色や黄緑、山は茶色や紅色で、空は青や白が使われカラフルな色合いなのになぜか秩序だっています。マティスといえば『緑のすじのあるマティス夫人の肖像』の色彩が有名ですが、この絵でもその強烈な色彩が活かされています。

『道』1950年東山魁夷

真っ直ぐに伸びる一本の道。
左右には緑が生い茂り、水色の爽やかな空が画面上部にある。この道はどこに続いているのだろうか。過去から現在、未来へと続く道。東山魁夷自身、「新しい未来という感じになった」と述べています。

まとめ

本書を読む前でも後でも、是非絵画についてWEBなどで調べてください。

「この話はこういう意味だったのか」
「この絵画ってこういう解釈があるんだ」

と本書をもっと楽しめると思います。

1つの絵画からのストーリー・・・こんな話を考えて書けるなんて凄いです。

『常設展示室』の目次

群青 The Color of Life
デルフトの眺望 A View of Delft
マドンナ Madonna
薔薇色の人生 La vie en rose
豪奢 Luxe
道 La Strada

『常設展示室』原田マハ(新潮文庫)

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