十七歳の自分が残した手記のページをめくるように
失敗してしまったときの「ごめんなさい」とか、誰かが苦しんでいるときの「大丈夫?」とか、そんな当たり前のことが言えなかった。
自分をよく見せることに必死だ。孤高なふりをして、きちんと考えているふりをして、周囲を遠ざけ一人で生きているような気になっていた。人の目ばかりが気になって仕方がない。みんなから聡い人だと思われたかった。
掃除をサボって抜け出した教室から、机を引きずる音が聞こえる。私が自分の机を下げたのは今から五分くらい前だから、彼らはそれだけ遅れて行動したことになる。机