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江ノ島に行った話

紀行文のような何か。

大学生になってからいろんな場所に行くようになった。一人で。

子どもの頃にテレビやSNSを見ていいなと思った場所は、東京周辺などの都会にあることが多かった。高校生までの私が簡単には行けないような距離に、憧れの場所は存在していた。メディアが発信する情報の多くは私のためのものではない。非日常だった。

それが決して非現実でなくなったのが、2023年の春だった。私は高校を卒業し、大学進学のために上京した。


興味を持った場所には基本訪れるようにしているが、すべてが期待通りの場所だったわけではない。「きっと素敵な場所だ!」思って赴いて、なんかイマイチだな、たいしたことないなと感じることも少なくなかった。仕方のないことだけれど。

閑話休題。

江ノ島に行った。高校生の頃から、いつか行ったみたいなと思っていた場所だった。写真で見た海は綺麗だったし、動画からわかる島の雰囲気も気に入っていた。
憧れだった。だから、期待通りであって欲しいと思った。

新宿から小田急線で十駅くらい。爆睡してたから一瞬で辿り着く。そのあとは江ノ電で目的地の最寄り駅まで向かった。

江ノ島へ向かう道 300mあるらしい

久しぶりに海を見た。地元にいるときはちょくちょく海を見ていたけれど、一人で見るのは初めてな気がする。
江ノ島駅から少し歩くと海が見えてくる。海面を絶つようにまっすぐ伸びた橋が、本土と島を繋いでいた。

この時点で期待はずれになはらない気がして、なんだか報われた気がした。

江ノ島上陸。人がものすごく多かった。平日でも空いてはいない。
島に入ってすぐ、まっすぐ進んで階段を登っていく。スマホのマップを見ながら進んでいった。
にしても人が多いし、日差しがわりと強い。ここでちょっと帰りたくなる。弱い人間だ。

人がたくさんいる ゴミにはたとえない

人の流れにしたがって、島の奥の方へ向かう。急な階段が多くて、降るとき少し慎重になった。

目当ての場所があった。事前に調べていたときに見つけたところで、夕焼けの写真がとても綺麗だった。「きっと素晴らしい場所に違いない!」と思いながら、その場所へ向かう。

目的地は島の一番奥にあった。とても遠くて疲れた。

途中見た崖(?) 綺麗

しばらく歩いていくと、目的地へ降りるための階段が見えた。ようやくだと思って手すりに手をかけたとき、後ろにいた老夫婦の会話が耳に入った。

「もうやめておこうか、危ないから」とおばあさんが言い、おじいさんがそれに同意した。二人は階段をおりず、回れ右で今来た道を戻って行く。

時間は有限だし、健康でいられる間は私が思っているよりもずっと短いのかもしれない。
若い時間を大事にしたいねと思いながら、私は急な階段をゆっくり降りていく。

すると、見えてきた。

これは!!

!!

!!!!

!!!!!!

写真の500倍キラキラしていた。本当に。波が銀の糸みたいに海面で揺れている。写真ではとてもこの情景を写し取ることはできない。

階段のところから見える海と電線の組み合わせもとても好きだ。

稚児ヶ淵という場所。隆起現象によって海面に現われた海蝕台地らしい。
波が砕けて水飛沫が打ちあがり、その水の粒が光を受けて輝くのが美しかった。事前に調べたときの画像は夕方の写真だったから「昼間だしそこまで綺麗じゃないかもな〜」なんて思いながら向かったのだが、実際見てみると想像の1000倍綺麗だった。

近くに赤い橋があって、私はしばらくの間、その上から海を眺めた。

その後はいろいろ散策して、疲れたので帰りました。

江ノ電映り込み系ハチワレ

ぬい撮り楽しいけれど、一人だとちょっと照れくさい。


以下、自分語り(?)

地元へのコンプレックスがある。
山に囲まれた閉塞された街があまり好きではなかった。最寄り駅まで四十分ちょっと。家の周りにはドラックストアとパチンコと田んぼがある。
東京や大阪まですごく時間がかかるわけではないけれど、簡単に出かけることができるわけではない。子どもだと尚更だ。

都会から離れた関東に住んでいる人が言う「うちの周り田舎だから」が好きじゃない。あれって「都会の田舎」じゃないですか。私の知ってる田舎じゃない。雰囲気が違う。

何かのコラボイベントや期間限定の催し物は都会で行われることが多い。人口が多いのだから当然だ。
これは最近やっと気づいてことなんだけど、隣県に住んでいる人からすると、それらは日常と地続きに存在しているらしい。たしかに、行こうと思えば普通に行けるもんね。地方住みでは、情報を現実のものとして受け取ることもなかった。
そういうイベントが特別好きなわけではないけれど、この格差には正直ずるいよねって思ってしまう。テレビやネットで見る光景が、決して別世界のものではない環境で過ごす幼少期には少し憧れる。

地元コンプにていていろいろ考えているけれど、まだうまく言葉にできていない。母親に県外進学を禁止されていたあの子はなんと思っているのか気になった。

いつか死ぬんだし、もっといろんなところに行きたいなーと思いました。終わり。

水族館にも行ったよ

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