見出し画像

読書記録(一月〜二月)

2024年は読んだ本を記録することにした。

読書量が増えてからは、一冊一冊に対する記憶が薄くなっているような気がする。ちゃんと記録して記憶に刻みたいので感想文を書くことにした。感想を書く練習もしたい。

全部に感想を書くのは大変だし、読んだ本を全部知られるのはちょっと恥ずかしいので、一部抜粋して書くことにする。

読んだ本は、一月が8冊、二月が10冊だった。年間の目標冊数は100冊のため、いい調子であると言えます。

感想文を書く四冊

①ゴールデンタイムの消費期限/斜線堂有紀

あらすじ:小学生でデビューした天才小説家である高校生の主人公は、スランプに陥っていた。彼は様々な分野の元・天才たちとともに、とあるプロジェクトに参加することになる。その内容は、AI・レミントンの力を利用し、天才として世間に返り咲くことだった。

帯の「才能がない自分でも、生きている意味はあるのか?」という一文に惹かれた。当たり前だろと言いたくなったけれど、本文を読むと見方が変わった。幼いころに天才の椅子に座らされた少年、が才能がある自分にのみ価値があると思い込んでしまうのは当然なのかもしれない。

好きという気持ちと才能は完全には切り離せないと思う。人生をかける思いでやっていることに対して「好きだから続けてきたんでしょう?」なんてのは残酷だ。

天才でなくなった少年少女が、苦しみ葛藤して、それでも前に進もうとする姿が眩しかった。

②大聖堂の殺人/周木律

堂シリーズの最終話。読んだことないという人は、ぜひシリーズ一作目の「眼球堂の殺人」から読んでみてほしい。館シリーズとS&Mシリーズが好きな人は好きだと思う。

堂シリーズの魅力といえば、大胆な建築トリックと数学的な知識が散りばめられた文章にあるのではないだろうか。
キャラもとても魅力的だが、魅力的な部分が物語のとても重要な点のネタバレになってしまうので、何も言えない。

理系ミステリとも呼ばれるこのシリーズは、専門的な数学が記述されているところが多い。難しくて理解できるか心配だと思うかもしれないけれど、全部を理解する必要はない。雰囲気を楽しめばいいのだ。

大聖堂の殺人は、シリーズ最終巻ということで、ラスボスと対峙したり、シリーズ通して謎だったことが明らかになったりする。ページ数も過去最多だ。トリックも壮大かつ理科の知識を使われたものでとてもよかった。
最後まで最高の物語だった。

③ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ/辻村深月

あらすじ:幼なじみのチエミが自分の母親を殺し、姿をくらました。不気味なまでに仲が良かった親子に何があったのか。地元での過去を捨てるように上京したみずほはチエミの行方を追い始める。

すべての娘は、自分の母親に等しく傷つけられている、というキャッチコピーに惹かれた。
母娘の関係は、母息子や父息子、父娘とのものとは全然違うように感じる。きっと「近い」のだ。近すぎるから、わかり合えないこともある。

どの家庭にもそれぞれ何かしらの問題があると思っている。チエミと母親の関係は少し異常に感じたけれど、現実世界でも普通によくありそうな母娘だ。子を愛するが故、子が自立するきっかけを奪ってしまう親はいる。
それでも、人の家のルールが常識的に考えておかしくても、外野は口出しするべきではないのだろう。

読み始めてすぐは、チエミが母親からの抑圧の結果に起こした殺人なのだろうと予想していたが、思っていた以上に優しい結末が待っていた。
ストーリーはミステリー要素もあって楽しく読めた。

④ひきこもりの弟だった/葦舟ナツ

あらすじ:ある日、主人公の啓太は駅で見知らぬ女性からとある三つの質問を受ける。その日、啓太は千草は夫婦なった。啓太は千草と暮らしていく中で、自分の過去を思い返す。自分を愛さなかった母と、ひきこもりの兄。最悪の過去と、誰も愛せなくなった現在からなる物語。

本作では、啓太が千草と結婚生活を送る現在と、啓太が母と兄と暮らした子供時代が交互に語られている。人間の負の感情をリアルに淡々と綴った文章に引き込まれた。

この小説は誰も愛せなかった主人公が千草と出会ったことで再生し「愛」を知る物語だけれど、私はどちらかというと、主人公のひきこもりの兄への感情が強く印象に残っている。特に、高校時代、兄が挑発してきたときの啓太の思考のリアルさにはぞっとした。

作中で啓太は、母親に兄を社会復帰させるよう何度も訴えている。兄を溺愛する母親は頑なにそれを拒んだ。「お兄ちゃんにはお兄ちゃんのペースがあるの」と。正しいタイミングがあると母は言う。結局そのタイミングは訪れなかった。

物語の結末を読みながら、彼らのその先の人生が幸せであって欲しいと思った。

最後に

春休みということもあって、そこそこの冊数を読めたと思う。本当は学校のある日にこれくらいは読みたい。

読みたい物語がたくさんあるのに、時間は有限だ。積読は増えるばかりだし、このままだと、読み終わる前に死ぬんじゃないかと思っている。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?