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問題解決能力を高めよう/3.事例で考えよう・⑤真の理由を考えよう

今まで、「ベースとなる『理由』」について、その展開の仕方や、帰納法を用いて「理由」を強化する方法について考えてきました。

「ベースとなる『理由』」は、あくまで、提案する「システム」や「ツール」、あるいは「制度」などに関して、「それ自体の有効性や有用性」を説明するものとなります。

そのため、その点だけを説明したのでは、「そのシステム/ツール/制度が、有効なこと/有用なことはわかったが、なぜそれを当社に導入しなければならないのか」という点に関する説明が不十分なままとなってしまいます。

そこで、ここで提案を行う「真の理由」について、改めて説明し、相手に伝えることが、不可欠となります。

「真の理由」とは、「なぜそれらを導入することが、当社とって有効なのか」ということの、核心に迫る理由、というべきものです。

より具体的に言いますと、以下のように定義あるいは説明することができます。

システム/ツール/制度などを新たに導入する場合は、それがその会社にとっての「何らかの経営課題」の解決に役に立つ、ということが、必須の条件となります。それがまさしく、「なぜそれらを導入することが、当社とって有効なのか」ということの、核心に迫る理由、ということになります。

しかし、実際の経営の現場では、そこまで深く考えずに、意思決定をしてしまうことも、実はかなり存在していると考えられます。
そうしたことにならないように、起案者は「真の理由」についても必ず触れるようにしなければなりません。

今回のケースでは、BtoBの製造業において、新たにメールマガジンを発行することを上司に提案する、という想定で考えています。
そうしたケースでは、「真の理由」にはどのようなものがあるでしょうか。

「真の理由」を考えるためには、以下の点を考えることが必要です。

  1. 提案する「システム」や「ツール」、あるいは「制度」などが、解決の対象とする経営課題は何なのか

  2. 提案する「システム」や「ツール」、あるいは「制度」などは、そうした経営課題の解決に対してどのような効果を有するのか

以下、実際にあったケースを参考にして、メルマガの事例で考えてみます。

最大の経営課題は、多くの会社において、「売上高の向上」や、「利益の改善」でしょう。
しかし、売上高や利益は最終的な経営の成果ですから、それらを解決するためには、経営課題をもっとブレークダウンしていかないと、有効な解決策が見つかりません

ここでは、経営課題をブレークダウンしていく過程に触れることは省略します。
しかし、特に「売上高の向上」という経営課題をブレークダウンしていく中で、「ターゲット顧客において会社の知名度が低い」とか、「ターゲット顧客の自社製品の認知度が低い」といった課題が見えてくる、ということは、よくある話です。

BtoBの業種の場合でも、会社の知名度や製品の認知度は、やはり重要です。営業担当者が新規顧客を開拓する場合などでも、会社の知名度・製品の認知度が高いほうが、一般的には間違いなく有利でしょう。

しかしながら、BtoBの業種では、どうやったら効率よくターゲット顧客に対して、アピールしてくか、ということは常に大きな課題です。
この事例では、メールマガジンが、そうした課題に対する一つのソリューションとして有効である、ということを提案することになります。

さらに、BtoBの業種では、顧客との関係が、BtoCの業種と比較してより緊密で長期にわたる、という特徴がある場合も多いと考えられます。
そうしたケースでは、営業マンが、親密になった顧客からの受注獲得は得意でも、新規顧客とは何を話してよいかわからない、と悩むケースが出てきます。
メールマガジンは、そうした技術の未熟な営業マンに対して、「話のネタ」を提供する、という活用方法も考えられるでしょう。

「真の理由」を説明することとは、このようにして、メールマガジンが解決寄与する経営課題が何であるか、ということを明確にすることなのです。

次に続きます。


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