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問題解決能力を高めよう/2.演繹法と帰納法・①演繹法とは何か

今まで、「正しく考えよう」というテーマで、考え方についてお話をしてきました。
ここで、思考法の基本となる演繹法と帰納法について、お話をさせていただきます。

演繹法と帰納法は、基本となる2つの思考方法です。
このうち、演繹法とは今までお話してきた思考の方法・パターンと基本的に同じ構造を持っています。

演繹法については、いろいろな説明方法がありますが、わかりやすく言えば、次のようになります。

「発言や検討の対象となっている問題に関して、理由を付して結論を述べる方法」

この時、以下の2つのことがポイントとなります。
1.理由から結論が論理的に正しく導かれていること。
2.結論の聞き手だけでなく、第三者が聞いても納得できる理由となっていること

例えば、演繹法について解説した本などを読むと、よく次のような事例が書かれています。

これは、「ソクラテスは人間です。人間は必ず死にます。だから、ソクラテスは死にます。」という話です。

  1. 「人間は必ず死にます」という理由から、「ソクラテスは死にます」という結論が正しく導かれています。

  2. 「人間は必ず死にます」という理由は、他の誰が聞いても異論は出ないはずです。
    ということなので、上記の2つのポイントを満たしていることは疑いのないところです。

    今まで話をしてきた「正しく考えよう」の中で紹介した天気の事例についても確認をしてみます。

話を少しわかりやすくするために、結論を「傘を持って行ったほうがよい」から、「明日は雨が降る」に変えています。

  1. 「複数の天気予報が、明日は雨が降ると言っている」という理由から、「明日は雨が降る」という結論が導かれています。これは、論理的に正しい(※)と考えてよいでしょう。

  2. 「複数の天気予報が、明日は雨が降ると言っている」という理由については、第三者が聞いてもおかしくない理由付けとなっています。

(※)ここで、「論理的に正しい」とは、「理由」から「結論」が、一般的に正しく導かれている、という意味になります。つまり、「複数の天気予報が、明日は雨が降ると言っている」という理由から、「明日は雨が降る」という結論が導かれるのは、「一般的に正しい」と考えられる、という意味です。

ここで、以下の点について押さえておくことが必要です。

  1. ソクラテスの事例にあったような、“確実な理由から導かれた結論”については、内容が「当たり前のもの」になってしまうことが多いのです。このため、日常生活やビジネスにおけるシーンでは、あまり意味をなさない(あるいは価値がない)結論となってしまいがちです。

  2. 実際の日常生活や、ビジネスにおけるシーンにおいては、「人間は必ず死ぬ」といった確実性が高い理由だけでなく、必ずしも確実性が高くない理由が使われることが多いのです。

  3. そのため、自分自身が主張したい結論を導くために、どんな理由をつければいいのか、ということが非常に重要になります。

  4. 理由を考える場合には、その理由から結論が論理的に正しく導かれるのか、ということもよく考える必要があります。

演繹法については、論理学に基づいて説明する場合には、もっと掘り下げる必要があります。
しかしここでは、「結論を言う場合には、その理由を考える癖をつけるようにしましょう」とだけ述べさせていただきます。

次回は、帰納法について考えます。

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