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ま!(そすーまん!)の記事

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#読書感想文

秋期限定栗きんとん事件 感想

 また読みました、小市民シリーズ。  上下巻あるのでゆっくり読もうと思っていたんですが、上巻は3日で、下巻は6時間くらいで読み終わってしまいました。  長編なので続きが気になってしょうがない。  上巻を読み終わって、仕事の休み時間に下巻を買いに自転車に乗りました。それくらい面白い。  夏期限定で袂を分かった常悟朗と小佐内さんはそれぞれ別の人と付き合うようになり、これまでは常悟朗の一人称で進んでいた物語はサブ主人公の瓜野くんの視点も交えながら進みます。  この瓜野くん

『夏期限定トロピカルパフェ事件』

 読みました。  このところ読書スピードが加速しています。  小市民シリーズはとても読みやすく、ライトな読み口なのにビターな読み味でとても満足感があります。  それでいて6冊もシリーズが出ていて、最近完結したので安心して読み進められますね。  冊数が多かったり、途中でシリーズが断絶していたりしないのは利点です。  文庫に収録されているのは全部で6編の掌編や短編で、そのうち4編は書き下ろしです。贅沢!  春期限定の時点で刑事事件に首をつっこむほど危ういことをしていた

『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信

 また本を読みました。  先月あたりから普段より読書欲3割増しです。  知り合いに紹介してもらった『春期限定いちごタルト事件』。  『氷菓』や『インシテミル』などで知られている米澤穂信先生の青春ミステリです。  10年以上前にも知り合いがおすすめしていたようなきがするのですが、何の因果かこのタイミングとなりました。  同じ青春ミステリとしてどうしても比べてしまうのは『氷菓』から始まる古典部シリーズ。  古典部シリーズも記憶が正しければほとんで読んでいるはずで、アニメも

競馬をめぐる物語って良いもんですね…

 優駿を読み終えました。  上巻については以前書いたとおり。  この記事で「人間~~!!」と唸っているのですが、下巻も「人間~~!!」でした。  凄まじい。  生が迸っている。  ウマのクロが生まれ、オラシオン号となり、ダービーを制覇するまでの3年間。  たった3年で人は出会い、変わり、死ぬ。  それだけなのだけど人間にはドラマがありました。  上巻はオラシオンを取り巻く人々の起~承までが描かれ、上手く惹きこまれました。  下巻は私たちの見ていた彼ら彼女らが向かうべき

『正欲』に気付かなかったマジョリティ

 朝井リョウさんの『正欲』を読みました。  以前から書店で見かけることはありました。  これまではあまり気に留めていなかったのですが、映画が公開されたとのことで購入しました。  はじめの期待はそれほどだったのですが、読んでよかったと思いました。 正欲とは 作品の中でメインテーマとなっているのは特殊性癖です。  人によっては異常性癖という人もいるでしょうね。  要はあまり一般的ではないフェティシズムのことです。  私にもあまり大っぴらにはできない癖があります。  

相沢沙呼 / invert 城塚翡翠倒叙集 / 講談社文庫(読書感想文)

 『ivert 城塚翡翠倒叙集』を読みました。  前作のmediumは職場の知り合いにおすすめしてもらって、ついでに貸してもらって読みました。  mediumの最後を読み終わって(この展開ならもう続きは無理だろうな)と思っていたら続編が出ているではないですか。  続きが気になってすぐに本屋に寄りました。  本書は「雲上の晴れ間」「泡沫の審判」「信用ならない目撃者」の三編から成る倒叙集です。  雲上と泡沫はオーソドックスな倒叙ミステリで、城塚翡翠を探偵役にして倒叙をやるな

小説『優駿(上)』の感想を書き損ねた

 noteのネタが枯れ始めるとライフワークの読書を題材にしがちなのですが、その中でも読書感想文は比較的書きやすいと思っています。  自分の頭の中にあることをお出しすれば足りるので、細かい裏付けとか確認しなくてもある程度ババッと書けてお手軽です。  いつか出そうと思っていた感想のうちのひとつに『優駿(上)』がありました。  下巻を読んでから…と思っていたフシもあり、なんとなく出せずにいたのですが、まさかのタイミングで事故が起きてしまいました。  2024年4月10日にJ

「優しい人」と言うのなら

 「あたまのいいひと」について、前回の3X+1の日に記事を書いた。  そのなかで「やさしさってのは振る舞いだ」という旨の一文があるんだけど、これは実は引用で、公開してから引用だって示したほうがよかったんじゃなかったかなって気が付いたんだけど、それよりも別の記事にしてしっかり書いちゃった方がいいなってことも思った。  これは舞城王太郎の『パッキャラ魔道』に出てくる一文。  『パッキャラ魔道』は私の好きな短編で、前回の記事タイトルにも入れてわかる人にはわかるようにしたんだけど、

『ほにゃららサラダ』 / 舞城王太郎

 みなさんは舞城王太郎という名前に聞き覚えはあるでしょうか?  舞城王太郎は私の特に好きな小説家の一人です。ぜひ紹介させていただきたい。  まず、舞城王太郎という作家がどんな人物なのか。  はっきり言うとさっぱりわかりません。いえ、これには語弊しかないのですが……。  舞城王太郎はメディアへの露出をしておらず、いわゆる覆面作家として活動をしているためはっきりとした情報が全くないというのが正しいのです。  2001年に『煙か土か食い物 Smoke,Soil or Sacri

誰かを家に呼ぶということ

 『ハリネズミの願い』を読んだ。  2017年の本屋大賞の翻訳小説部門で第一位に輝いた作品だ。  この小説は連作短編のような作りで、心配性でネガティブな性格のハリネズミが友達を家に呼ぶかどうかで悩み続けるというあまりにもゆっくりした内容。  本当に悩み続ける。そして誰も呼ばないまま、五十話が終わる。  本当にそれだけ。  もちろん最後にはとある形で決着はつくのだが、ついぞハリネズミが友達を家に呼ぶことはない。  ハリネズミが悩んでいる理由は性格もあるだろうが、背中に生えた

読書感想文のたった1つの悪手

 読書感想文で冒頭にあらすじを書くパターン。よく見るよね。  でもあれは悪手だと思う。  感想を読みたいんであってあらすじを知りたいわけじゃない。  あらすじはAmazonで確認できるし、なんならそっちの方があらすじの精度は高い。  本当に最悪なのはSNSに感想をアップする場合。  Twitterなら140字の制限がある中で、100字も使ってあらすじを書く人がいる。よくいる。  感想を聞かせてよ。あらすじはいいからさ。  「こういう場面があって、そのときにこう思った」と言い