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『夏期限定トロピカルパフェ事件』

 読みました。

 このところ読書スピードが加速しています。

 小市民シリーズはとても読みやすく、ライトな読み口なのにビターな読み味でとても満足感があります。

 それでいて6冊もシリーズが出ていて、最近完結したので安心して読み進められますね。

 冊数が多かったり、途中でシリーズが断絶していたりしないのは利点です。

 文庫に収録されているのは全部で6編の掌編や短編で、そのうち4編は書き下ろしです。贅沢!

 春期限定の時点で刑事事件に首をつっこむほど危ういことをしていたのに、夏期限定でも誘拐事件に巻き込まれ…ているのか、巻き込んでいるのか。

 好奇心はネコをも殺すというのに、この自称小市民たちは……全くもう。

 第一章の『シャルロットはぼくだけのもの』ではほのぼのしていて、かわいらしい様子まで見せていた二人がバイオレンスでデンジャラスな事件に関わりはじめて、読んでいるこちらとしてはハラハラしてしまいました。

 個人的に好きなのは『激辛大盛』。 

 おとなしかった第二章までとバイオレンスな第四章をつなぐような位置にあるこれはまさにつなぎのような役割を果たしていて、口直しとしての役割だけでなく、これから起きるつらい展開を示唆している……のかもしれません。

 あまりネタバレチックなことは書かないようにしますが、この小市民たちって実は探偵役と犯人役に分かれて謎解き勝負で遊んでいるんじゃないかと疑ってしまいますね。

 ホームズとモリアーティ教授みたいな感じ?ホームズ読んだことないけど。

 その結果、誘拐事件に巻き込まれて、果てはちいちゃい怪我を負っているのでちょっと度を越しているようにも思いますが。

 これを書いている時点では秋期限定も少しだけ読んでいるのですが、もうのっけから不穏でこれからどうなるんだ…とソワソワしてしまいます。

 主人公である常悟朗と小佐内さんはどこか楽しんでるからいいけどさ、完全に巻き込まれている堂島健吾が可哀相でなりません。

 健吾本人は自分の信念に従っているだけ、正しいと思うことをやっているだけなので別に何も感じていないかもしれませんが。

 続く秋期限定は上下巻で、これまでの関係を危うくしている二人がどうなっていくのか怖くもあり楽しみです。

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