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パンデミックとサブスクとの出会い

新型コロナウイルスによるパンデミックの記憶もだいぶ遠くなり、かつて小池都知事が言った「三密を避けて」などという言い回しも、そういえば、という感じになってしまった。

外出規制なるものが、自主的に受け入れられたことさえ、いまとなっては不思議な気がする。

ただ、パンデミックの記憶がうすれていっても、パンデミック以前と以後では決定的に変化したこともある。わたしの場合は、それがサブスクとの出会いだ。

2度目のコロナ予防ワクチン接種のときのこと、だるくて無気力な時間をやり過ごすために、アマゾンプライムビデオを初めて利用してみた。

iPadでコンテンツを探し、なんの気なしに見始めたのが『三国志 Secret of Three Kingdoms』という中国ドラマだった。歴史物ながら、奇想天外な設定にもとづく謎解きやサスペンスの要素があり、美男美女を取りそろえた登場人物の心理描写と映像美に魅了された。

これをきっかけに中国の時代劇(古装ドラマ)をいくつか観て、家人とともに、イマドキの中国ドラマの絢爛豪華さの虜となった。

中国ドラマから韓国ドラマへ

しばらくして、時代劇を比較するつもりで、韓国作品の『王になった男』というドラマを観てみた。

こんどは、緻密に構成され情念の深さがにじみでる韓国ドラマに感銘を受け、冗長なくせにドライな中国ドラマとは違う魅力を感じた。そこから、韓国ドラマにはまり込むのは時間の問題だった。

ファタジー系の『ホテルデルーナ』などを観たあと、評判の高い現代劇『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん』、『SKYキャッスル』なども観てみた。

韓国ドラマの感染力は、新型コロナウイルスにも勝るとも劣らず、その間、ドラマに出演していたIUちゃんの歌も聴くようになったし、アイドルグループにも多少詳しくなった。新大久保で韓国料理を食べることも定番になった。

こうしたことはすべて、サブスクを利用したがゆえに起きたことで、いまでは料金の高いU-NEXTを利用していてもじゅうぶんにもとがとれている。

ちなみに、音楽については、iTunesで音源をダウンロードすることは以前からしていたが、それがApple Music の定額サービスに切り替わったのは、明らかにサブスクを通じたドラマ視聴のおかげだ。

音楽もみんなサブスクに

もともと、若い頃からマイナーな中南米音楽を探して聴き始め、現地に足を運ぶようになってからは、そのつど、カセットテープ、LP、CDなどを苦労して持ち帰るのが旅の目的のひとつのようになった。

もちろん、携帯音楽プレーヤーの時代になってからは、音源をデータとして吸い出してプレーヤーに移し、しょっちゅう壊れるCDプレーヤーを使うことはまれになっていた。それでもCDにはありがたみを感じていて、定期的に新宿のディスクユニオンなどでまとめ買いしていた。

しかし、それもパンデミックをさかいに終わりを告げた。

レア音源をなんでも聴けるようになったかといえばそうではない。ただ、サブスクで聴くものが多くなりすぎて、希少価値に眼が向かなくなってしまったのだ。

あい変わらず、ひととはだいぶちがう趣味だが、それにしても聴きたいものが多すぎる。毎日せっせとお気に入り登録するものの、結局聴かずじまいになるもののなんと多いことか!

ひょっとしたら、パンデミックがなかったら、わたしなんぞはサブスクでドラマを観ることもなく、CDから携帯などに音源を移して聴くことで満足していたのかも知れない。

こうして底なし沼に足を踏み入れたことは、パンデミックのありがたい副産物だ。


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