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Natty Dreadに関するあれこれ

このラスタ賛歌と呼びたくなるような曲の中で、ドレッドロックの主人公(ボブ)はどんどん道を歩いていきます。

場所はジャマイカの首都キングストンのトレンチタウン(Trenchtown)です。

トレンチタウン

こんなところです

12歳の時に田舎から引っ越してきたボブが20代前半まで暮らしたゲットー地区(別名Kingston 12)です。

実は有名曲Trenchtown Rockを訳すタイミングでエリア紹介するつもりでいたんですが、考えてみたらTrenchtown Rockは生前ボブがIsland Recordsからリリースしたスタジオ録音アルバム(=この和訳ライブラリーの対象範囲)に入ってませんでした。

1975年に発売されたライブ盤Live!収録曲です。

Live!に収められているナンバーは、Trenchtown Rock以外すべてこのライブラリーの対象曲なんで見事に勘違いしてました(苦笑)。

という訳で、今回はNatty Dreadでボブが歩き回ったトレンチタウンをざっと紹介します。

まずは地図をご覧ください。

歌詞の通り1丁目から7丁目まであります

ガバメントヤード

ボブが住んでいたのは1st StreetのGovernment Yard(地図内赤矢印のところ)です。

No Woman, No Cryの中で「昔よく一緒に座ったね」と歌われているあの場所です。

今はキレイに改修されてCulture Yard Museumという観光客向け施設になっています。

Culture Yardに関してはこちらの公式ウェブサイトがすごく詳しいです。

観光地とは違う空気

ちなみに訳者<ないまいる>がジャマイカを訪れた1991年当時、トレンチタウンに観光客向けの施設はまったく存在せず、「危ないから絶対に行ったらアカンぞ」とホテルのスタッフやタクシー運転手に厳しい口調で忠告される場所でした。

一回だけ夜タクシーで通過しましたが、「車降りてちょっとうろうろしてみようかな」と思えるようなところではありませんでした。

ヤバくてガイド無しでは行けなかった犯罪多発地区です。

現在でも銃犯罪でほぼ毎日のように死者が出ています。

そんなトレンチタウンですが、今では観光客向けのウォーキングツアーもおこなわれています。

Natty Dreadの主人公にならって1丁目から7丁目まで歩くツアーみたいです。

地元出身のガイドと観光スポットだけ回ればあまり身の危険はないのかもしれません。でも依然として気が抜けないエリアであるのは間違いないと思います。

でも、犯罪だけがトレンチタウンの特徴ではありません。

ここはキングストンに住むラスタにとって昔からの大事な拠点です。

長老プラノー

ボブ、奥さんのリタ、Peter Tosh、Bunny Wailerといった面々をラスタファリの信仰に導いたラスタ界の長老中の長老Mortimer Planno(モーティマ・プラノー)がここに居を構えていました。

YouTubeで見つけたプラノーの貴重な映像を貼っておきます。

出身アーティストたち

音楽に関して言うと、トレンチタウンはレゲエの「ふるさと」「中心地」と呼べるぐらいメジャーなアーティストを大勢輩出しています。

主な出身アーティストを曲で紹介しときますね。

Delroy Wilson(デルロイ・ウイルソン)

Leroy Sibbles(リロイ・シブルズ)

Mighty Diamonds(マイティ・ダイアモンズ)

Dean Fraser(ディーン・フレイザー)

こうした面々以外にも、過去にnote記事で紹介したことがあるJimmy CliffThe AbyssiniansWailing SoulsToots & the MaytalsAlton EllisJoe Higgsなんかがトレンチタウン出身です。

トレンチタウン出身者を調べていたらまったく知らなかったバンドとも遭遇しました。

Knowledgeです。

たぶんルーツレゲエのファンでも知らない人が多いと思います。

僕も今回検索するまで知りませんでした。

活動時期から判断してウエイラーズの後を追ってトレンチタウンから登場したグループです。

大きなインパクトを残さずに消えていったフォロワーですが、聴く価値十分のバンドだと思うんでこの機会に紹介しておきます。

今回は「Natty Congoのもうひとつのふるさと」トレンチタウンに関するあれこれでした。それじゃまた~

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