見出し画像

今日の学び(詳)〜痛み〜

以前、飼い主さん向けに書かせていただいた『今日の学び〜痛いって何?〜』の獣医さん、動物看護師さん、それに関わる学生さん向けの詳しいバージョンです。

以下の3つについてです。

痛みの分類

痛みは原因によって2つに分けられる。1つは最も一般的な侵害受容性痛であり、これは侵害受容器が刺激されることにより起こり、それ以外の受容器を過度に刺激しても痛みは生じない。もう1つは神経障害性痛で、これは侵害受容器を介さない痛みで直接的な神経の障害によって生じる。

神経線維の1種であるAδ線維やC線維の自由神経終末が侵害受容器を形成している。Aδ線維は鋭い刺すような痛みを、C線維は鈍い燃えるような痛みを伝え、痛みの多くはC線維によって伝えられる。

痛みの経路

侵害受容器で受容された痛み刺激はTRPチャネルという非選択的陽イオンチャネルの開口によって電気的刺激に変換される。その電気的刺激はC線維においてNaチャネルを開口させ、神経線維の脱分極を引き起こし、活動電位となって中枢に向かって伝わり始める。痛みを伝える神経線維は脊髄後根まで伸び、脊髄後根でグルタミン酸を放出する。グルタミン酸を受け取った2次ニューロンは脱分極する。2次ニューロンはすぐに反体側へ交叉し、前外側路を上行し、直接または網様体を経て視床に至り、続いて大脳皮質に伝わり痛覚として知覚される。

その他 痛み刺激に伴って起こること

また、脊髄後根でグルタミン酸を放出する際、同時にサブスタンスPも放出され、2次ニューロンの興奮を増強する。サブスタンスPには再取り込み機構はないので、周囲へ波及する。

末梢では、軸索反応という一連の反応が起こる。刺激を受けた線維と同じ線維の分枝の神経末端から痛み刺激を受けた部分に向かってサブスタンスPやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が放出される。それらの物質は痛みを受けた局所でキニン類やプロスタグランジンの産生を促し、血管拡張を引き起こす。それによって痛み刺激を受けた部位では周囲2〜3mmに局所的に発赤や腫れが生じる。

まとめ

今回は痛みの分類や発生する経路などについて簡単に書きましたが、痛みを受容した後には、脊髄や脳からの痛みに対する反応も見られます。それらについてはまた書こうと思うので、ぜひご覧ください。

最後に、私自身が学生でまだまだ勉強中でありますので、事実と異なることや、重要な部分の不足がありましたらコメントいただけると幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?