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大人になるって多分こういうことなんだ

生まれてからずっと関西在住の私。転勤を伴う仕事に就いたとはいえ、1年目は大阪で働くことになるんだろうなって勝手に思っていた。そんな私はこの4月から広島で働くことに。


勤務地の発表が行われた日、ちょうどアルバイトが終わったくらいに新入社員の勤務地一覧表がpdfファイルで送られてきた。少しの緊張、とはいえ大阪だろうな、なんて余裕を持ってゆっくりと下にスクロールして見つけた自分の名前。横に書いてあったのは広島の文字。何かのエラーかもって思ってページを2度3度リフレッシュ。何度も何度も確かめたけどやっぱり見間違いではなかった。突然脳みそを直接ハンマーで殴られたような強い衝撃が全身に伝わって、その時食べていた賄いのラーメンはなんの味もしなかった。

新居はどうしよう。そもそも1人で生活できるのだろうか。親と離れ離れになるなんて。友人とも気軽に会えなくなる。金銭面で困らないだろうか。知らない土地でうまくやっていけるのだろうか。

押し寄せる不安に潰されそうになりながら、落ち着けと言い聞かせて大きく息を吸う。そうだ、やってみたかったじゃないか、ひとり暮らし。好きな家具や小物揃えたりしてさ、自分の家を作るのも楽しそうだ。かなり大変だけど料理だってうまくなりたいし、何をするのも自由というひとり暮らしならではの解放感だってあるだろう。きっと大丈夫、すぐに慣れる、自分に強く言い聞かせた。
  
アルバイトから帰宅して、母に、父に、そして友人に、自分の勤務地が広島になったと伝えた。みんな唖然としていた。まさか関西から出ることになるとは誰も予想していなかったのだろう。夜、シャワーを浴びていたら突然涙が溢れたことは誰にも言わなかったけれど。


そこからは怒涛の毎日。既に入っている予定の合間を縫って引越しの準備をした。IKEAやニトリ、ダイソーにはこの上ないくらいお世話になった。自分の理想に少しでも近い物を探す。買い物ってこんなに大変なんだって感じながらも、ちょっとずつ揃っていくこれからの仲間たちに少し胸が踊った。

そうして迎えた引越しの日。持ってきた家具だとか家電なんかを並べて徐々に自分の部屋を作っていく。なんだかんだで準備には丸2日以上かかり、それはもう言葉では言い表せないくらいのしんどさだった。

これからここが自分の家か。

まだそんな感覚は全くない。けれど、いつの日か「いつもの道」を通って帰ってきた時に、ただいま!って思うんだろうな。そうやって少しずつ変わっていく日常が、子どもな自分をだんだんと大人にしていくのだろう。

とうとう社会人になった自分。まだ学生との境界線が曖昧だけど、気づけば「学生の頃が懐かしい」なんて言うようになるんだろうな。思い通りにならない毎日を、それでも楽しめる自分でありますように。

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