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”客観的に見直すからこそ、新しい挑戦ができる”-山本瓦工業グループ代表・山本武司さん

こんにちは。 HouScapeの木村です。
先進的な取り組みをされている屋根屋さんにお話をお伺いする本企画、第2弾は山本瓦工業グループ代表の山本武司さんです!

山本瓦工業グループは、愛知県の豊橋市や豊川市を中心に事業を展開され、toC工事にもいち早く取り組まれていらっしゃるほか、SNSでの発信やドローンでの屋根点検などさまざまなことに挑戦されています。

また、事実や数字に基づいた細かな経営管理をされていらっしゃることも山本さんの特徴です。
(私が知る範囲では、屋根屋さんの中で最も精緻な数値管理・意思決定されているようにお見受けしております…!)

創業96年、社員さん30人ほどの大きな組織の中で、新しい挑戦を続けるための工夫や、細やかな数値管理に取り組まれる意図についてもお伺いしてきました!


山本瓦工業グループについて

同じ会社でも、BtoBとBtoCは「別世界」

-山本さん本日はよろしくお願いいたします!
初めてお邪魔させていただきましたが、かなり大きなオフィスですね。

山本瓦工業グループ本社

-山本瓦工業グループの中にいくつか会社があると思うんですが、それぞれどういった会社なんでしょうか?

山本:法人としては、「山本瓦工業株式会社」と「外装リフォーム豊橋」という2つがあります。山本瓦の方がBtoB、外装リフォーム豊橋の方がBtoCといった形で、BtoBとBtoCを完全に分けています。
外装リフォーム豊橋の方はさらに屋根リフォーム専門店の「スマートルーフ」と外装リフォーム専門店の「ガイソー」という風に分かれています。

-なるほど。どの会社も代表は山本さんだと思いますが、社員さんで兼任されてる方などはいらっしゃるんですか?

山本:社員は兼任はさせてません。別会社です。BtoBとBtoCは完全に別世界で、住んでる人種が違うというような感じです(笑)

同じオフィスで仕事していますが、真ん中の道を挟んで右がBtoBで左がBtoC で、全然別世界です(笑)

山本瓦工業のオフィス

BtoBの方は書類だらけで、BtoCの方はみんなデュアルモニターで机の上には紙がありません。
BtoBのスタッフはデータで資料を送っても紙で出力しますから(笑)

-それはとても象徴的ですね(笑)

山本さんが代表になるまで

建設業は、「作品」をつくれる仕事

-山本瓦工業の創業者の方が、井上靖の小説に登場するとホームページで拝見しました。山本さんは3代目に当たるんですか?

創業者の山本克雄氏(右)

山本:そうです。創業は私の祖父ですがそんなに記憶はなくて、祖父の葬式で走り回っていたことくらいしか覚えてません。(笑)
そしてうちの父と伯父が共同経営者として30年以上会社を切り盛りして、その後私が代表を受け継ぎました。

-そうなんですね。そうすると、小さい頃からお父さんが働いていらっしゃるところは見られてきたんですね。

山本:そうですね。家にいると朝の6時半とか7時から工務店や大工さんから電話がかかってきて、一日中電話が鳴ってました。そういうのを見てて嫌だなって思ってました(笑)

-そうだったんですね(笑)そのうち自分が継ぐんだろうなみたいなお気持ちはあったんですか?

山本:正直大学を卒業するまであんまり継ぎたくはないと思ってました(笑)
学生の頃は東京に行きたくて、東京にある大学を選びました。
就職活動でも旅行会社とかリゾート系の会社が当時流行っていて、そういう業界を受けてました。
その中でハウスメーカーも面白そうだなと思って受けました。当時のハウスメーカーはとてもたくさん人を採用していて、語弊があるかもしれませんが、履歴書を出せば内定がもらえるみたいな状態で、どうせならと、財閥系の住友林業という大手ハウスメーカーに就職しました。

-ハウスメーカーではどんなお仕事をされていたんですか?

山本:新築の注文住宅の営業をしていました。お客さんがモデルハウスにいらっしゃってお話をお伺いしながら家をどう建てるかを相談するという感じです。

だいたい月に1棟売れるかどうかの世界で、しかも22歳で家も建てたことがない人間が、当時1棟2000万とか3000万円の家を売るという結構大変な仕事をしてました。

しかも当時は月に1件も売れない月が2ヶ月続いて2タコになると辞表モノっていう空気感があったんです。1ヶ月に1件売れるかどうかの世界なので難しかったです。

-1件も売れなかった月の翌月はどういったことをするんですか?

山本:月初めから気合を入れて(笑)。あらゆる手段を使ってましたよ(笑)

いいお客さんのリストは新人には回ってこなくて先輩が握ってるんです。先輩はモデルハウスにお客さんが来やすい土日の朝から入れるんですが、新人は余った枠にしか入れない。いい接点は上の人から埋まっていくんです。
なので、社内の過去の名簿にとにかく1日30件ぐらい電話しまくったり。

ちょっとグレーなところで言うと、他のハウスメーカーのモデルハウスに行って出てきた人が乗り込んだ車を見て、ナンバーを控えておくんです。当時は個人情報がガバガバで、陸運局にナンバーを持っていくと、所有者の住所と名前を調べることができたんです。それでその住所のところに飛び込み営業みたいな形で行くと、「ちょうど家探しててね!」って人に営業ができるとか。

もちろんこれは今はアウトだと思いますけどね(笑)

-すごい執念ですね……!(笑)いろんな試行錯誤をされてたんですね(笑)

山本:今思い起こせば、20代は遊ぶことばっかり考えてました。今の若い子達には頑張って働いてもらってますけど、当時の自分を思い返せば、早く休みが来ないかなとか、週末彼女とどこに遊びに行こうかなとか、そんなことばっかり考えて働いてました。(笑)

ただ、仕事も楽しかったのは自分が建てた家が残ってることですね。当時先輩からも、「自分が契約してもらったお客さんの家は自分の作品だぞ」って言われてて。
ハウスメーカーで働いていた5年間で大体50棟ぐらいの家を販売したんですが、「この家はお父さんが建てたんだよ。」って子供や家族にも自慢できるというのは、すごく嬉しいことです。

この間病院に健康診断に行って採血してもらってたら、看護師さんから「山本さん元気?」って聞かれて、その看護師さん、30年くらい前に私が契約したお客さんの奥さんだったんです。
当時僕のことを若造だと見抜いてたと思うんですけど、ハウスメーカーのブランドありきではありますが、一生懸命やってくれるから買ってあげようかなっていう気持ちで契約してくれたんだと思います。

-感慨深いですね。

山本:そうなんです。だから私も今の会社で営業の人を採用する時には、「君が受注したリフォーム物件は君の作品だよ」って話を伝えるようにしてます。自分たちの仕事が、20年30年という長いスパンでお客さんに使ってもらえるというのは、すごくやりがいがあることだと思うんです。

BtoBで重要なのは、「売り込まずに売り込む」こと

-その後、ハウスメーカーをやめて山本瓦に入社されたのには何か理由があったんですか?

山本:ハウスメーカーがしんどかったです(笑)厳しい環境でもありましたし、バブル崩壊のタイミングも重なって、本当に家が売れなくなっちゃったんです。
同期も結構やめていて、新卒で入った150人のうち、今残ってるのは10人もいないんじゃないかな。
若い元気な新卒をたくさん採用して本当に強者だけが生き残るみたいな環境なんで。まあ、ストレートに言えば挫折して実家に入った、ということですかね(笑)

-山本瓦に入社することになって、お父様は喜ばれたんじゃないですか?そもそも、「山本瓦に入ってくれ」みたいなことはお父さんから言われてなかったんですか?

山本:いや(笑)うちの親父はそういうこと言わなかったですね。ドライで。「給料はちょっと下がるぞ」みたいなことを言われた記憶があります。(笑)

あまり積極的に山本瓦に入りなさいとは言われなかったのも、真相は分からないけど多分息子には自由に職業選択して欲しいというのがあったんだと思います。

昔は家業を継ぐのは当たり前でしたし。山本瓦に入るにしても、「入れ」って言われて入ってくるのと、自分から「入りたい」っていうのは違うと思うんで、それを待ってたんじゃないかなという気がします。

-そうなんですね。お父様は技術畑の方ですか?

山本:いや、営業です。父の兄弟の他3人は技術系でしたけど、親父は高卒で名古屋の事務器の販売をする会社に入ったんです。

父親からすると、家業を兄弟がやってるのを見て「何で瓦屋に営業がいないんだ!」と思ったそうです。多分瓦屋でいえば、営業という役職を置いたのはうちは結構走りの方だと思います。

-そうなんですね。山本さんが入社された時、営業の方は何人ぐらいいたんですか?

山本:親父とあと2人で3人でやってたんで、僕が入って4人目でした。会社自体は当時から30人くらいはいたと思います。

-当時からかなり大きかったんですね。それは早くから営業という機能を取り入れて、ハウスメーカーとかビルダーさんに声をかけて行ったのが大きかったんですか?

山本:それは大きかったと思います。当時は瓦屋が営業に来るっていうことはあんまりなくて、だいたい大工さんの下に瓦屋さんが入ってやってるっていうのが普通だったんです。
当時はハウスメーカーがだんだん大きくなっていったり、地元のビルダーって呼ばれる人たちができてきたりしてたので、彼らに営業したことでグッと大きくなったんです。

-なるほど。そういった波にうまく乗ったんですね。具体的にどんな営業をされていたんですか?

山本:とにかく足繁く通ってました。今の営業のスタイルとは違いますけど、用事がなくても行って世間話をしたり、人間関係を築いたり。
事務員さんとか女性のスタッフさんとかと仲良くなっていくと、自然に見積もりの依頼がうちに来るようになるんです。他に営業してる屋根屋さんがいなかったのもありますけどね。

-山本さんが山本瓦の代表になられたのが2014年だと思うので、その前の営業をされていた15年以上は、どんなことを考えながら働かれていたんですか?

山本:15年以上もやってたんですね……全然記憶にないな(笑)それくらい、めちゃくちゃ楽しかったです。

年上のお客さんに可愛がってもらって、毎晩飲みに行ったり旅行に行ったり、大工さんとかとも仲良くなって、すごく楽しかったですよ。

飲み会が楽しいとかではなくて、電話帳に1000件以上お客さんが登録されていて、お客さんからも下の名前で呼ばれて頼られているっていう状態が、楽しかったんですよね。

自分がハウスメーカーに勤務してた経験があるから、やっぱりハウスメーカーの方とは話が合うんです。同じ境遇にいたからちょっとわかるみたいなことで、気に入ってもらって仕事をもらえるっていうことはありましたね。

-なるほど。かなり仕事漬けの生活だったんですね。

山本:そうですね。日曜日以外は全部仕事して、朝7時半から夜10時ぐらいまではほとんど働いてました。マックスの時には1人で3.5億ぐらい売上げてました(笑)

-3.5億……!1日100万以上売ってる計算ですよね……?何をするとそんなに受注できるんですか……?(笑)

山本:まあ、関係性が深い何社かから安定的に頂いてたのもありますけど。(笑)

でも要は、提案型の営業っていうことだと思います。
戸建てのリフォーム住宅だと、外壁と中はきちんとリフォームするんだけど、屋根は見えないから塗装を塗るぐらいで、きちんと葺き替えたりカバーしたりしないことが多かったんです。

それで大手リフォーム会社さんに対して、「こちらで屋根点検を無料でするし、点検後の診断書も作成するので、リフォーム工事の時に屋根の工事も一緒に受注してきてください」って提案するわけです。

多分この仕組みは今でもその大手リフォーム会社の中で使われてるんじゃないかと思います。当時も年間1億円以上これで仕事をいただいてました。

-なるほど。お客さんが儲ける方法を提案して、その中に自社のサービスを組み込んでおくんですね。

山本:そうです。「売り込まずに売り込む」って言ったりするんですけど、
「これはうちのためじゃないんです。うちもあるけど、お客様(得意先)の受注促進に使ってください」って、
お客さんを儲けさせてあげることを提案するっていうことですね。

当時はフォルクスワーゲンのワゴンに乗ってたんで、フォルクスワーゲンに梯子を積んで愛知県中走り回って点検して写真撮って報告書を作ってした。(笑)

-梯子を積んだフォルクスワーゲンは見たことないですね(笑)

山本:(笑)この辺はBtoBならではの面白さとかもあるかもしれないです。その時、私は経営はしてなくて営業だけしてたので、お客さんに頼られてバンバン仕事をもらってバンバンこなして請求書を出して次の仕事。そういった面白さはBtoBならではかもしれません。

今はもうベタベタの営業では仕事は取れなくて、ちょっと文化も習慣も変わってきてる感じはしますけどね。

山本瓦の代表になり、本格的にBtoCに着手

太陽光をやり、屋根リフォームをやり、外装をやり…

-当初はBtoBがメインだったと思いますが、いつぐらいからBtoCを始められたんですか?

山本:2012年にショールー厶を作って太陽光パネルを本格的に提案し始めたところが最初です。いわゆるBtoCの瓦の工事というのとは違いますが、太陽光を直接提案したかったんです。まさにこの場所でやってました。ここはもともと母が喫茶店をやってたところなので、作りがちょっと変わってるんですけど(笑)

山本瓦のショールーム

ーどうしてBtoC、太陽光をやられようと思われたんですか?

山本:当時、太陽光が徐々に流行ってきて、屋根につけるのが主流になってきたんです。ただ、太陽光発電って屋根屋さんじゃなくて電気屋さんがつけるのが一般的だったんで、大切な屋根に電気屋さんが登って穴を開けて太陽光パネルをつけるっていうのがどうも納得できなかったんです。屋根に太陽光パネルをつけるのは絶対に屋根屋の仕事じゃないかと。

元請けさんですら、屋根屋に頼まずに電気屋さんに頼んじゃうんです。なので、施主である一般ユーザーさんに対して「ちゃんと屋根工事業者が適切な方法で太陽光パネルを設置しなきゃいけないよ」ということを伝えたくてショールームをやってました。

壁はいいんですけどね。エアコンとかそもそも穴がいっぱい開いてるんで、外壁は穴を開けてもいいんですけど、電気屋さんが壁と同じ感覚で、屋根に何の躊躇もしないでガーって穴を開けるのが信じられませんでした。今は穴を開けない方法が主流になってきてますけど。

-なるほど。確かに言われてみればそうですよね。集客はどうされていたんですか?

山本:自作でウェブサイトを作りましたよ。(笑)
ホームページビルダーを買ってきて、素人が手作りで作ってました。そこに太陽光発電の設置方法とか一生懸命投稿してましたね。
今でも検索したら出てくるかもしれません(笑)

-あ、これですね!これを自作されていたんですね。2012年と考えるときれいですね。左上のページビュー数のカウンター、ありましたね(笑)

山本さんが自作されたホームページ

山本:懐かしいな〜カウンターつけるのとかも面白がって頑張ってつけてたのを思い出しました(笑)

-一般ユーザーさんは結構ショールームにいらっしゃったんですか?

山本:いやそんなに来なかったです(笑)やっぱり当時一般ユーザーさんはなかなかこういうところには来なかったですね(笑)

でもこれをやったおかげで、山本瓦工業は太陽光発電に専門性があるということが広まって、今でも太陽光発電系の下請け仕事は結構たくさん来てるので、やってよかったと思いますが、
一般ユーザーさんに太陽光を直販するのは難しいということで諦めました。

-その後は、屋根のリフォームをBtoCでやられてたんですか?

山本:そうです。ただ、年間4千万〜5千万くらいのところで、ちょろちょろとやってる感じでした。屋根の修理やリフォームがメインだと、頑張っても最大で年に8千万が精一杯でした(笑)

-そうなんですね。お一人で売上3.5億売れていたのは、リフォームじゃなくて新築だったからってことなんですか?

山本:新築だしBtoBだからですね。どんどんハウスメーカーから仕事が来て見積もりだして段取りして請求してその繰り返しだからです。リフォームだと報告書とかも作らないといけないですし、商談も自分たちがしますから。

-そんな中で屋根のリフォームの方をやられようと思ったのはなぜなんですか?

山本:一つは、だんだん新築の仕事も関係性やお付き合いで仕事が取れるわけじゃなくなってきたことですね。瓦の仕事が減ってきて、スレートとか板金になってきて、屋根工事がどんどん減っていったからです。

もう一つは、私がもともとBtoCの方が好きというのがあると思います。新卒で入ったハウスメーカーも注文住宅の販売なのでBtoCですし。
屋根のBtoB営業って半分は工事なんですよ。工事管理の仕事がメインなんです。
私は営業が好きで得意だったので、営業をやりたいという気持ちがあったんです。
一方で職人さんをやったことがないので工事が出来ない来ないのが恥ずかしいところではあリます。技術系の方から見たら偽物なんです(笑)

-そうなんですか(笑)そんなことはないんじゃないかと思いますが(笑)

山本:(笑)
それでリフォームは好きだったんですが、事業としては伸び悩んでました。
屋根のリフォームでチラシを入れてもあまり問い合わせが来ないし、来ても小さな修理ばっかりで、目標の1億円に届かなさそうだったので、少し限界を感じていました。

-それで外装の方を始められたんですね。

山本:そうです。リフォーム産業新聞を当時購読していて、毎日なんかないかなーと思いながら読んでいたところ、ガイソー(*ボランタリーチェーン)の加盟店募集を見つけたんです。次の日に大阪で説明会があったんですぐに予約して翌日大阪に行って、その場で契約して3ヶ月後くらいにはガイソーをオープンさせました(笑)

ガイソー豊橋店のユニフォーム

-3ヶ月……!すごい行動力とスピード感ですね……!

山本:ガイソーの本部の方で、営業ツールやカタログ、ノボリだったりが用意されていて、すごく始めやすい形になっていたんです。自分で全部考えて作っていたらとても時間がかかるなと思ったので、このパッケージに乗ろうと思って契約しました。

-なるほど。ガイソーの方は職人さん集めなど大変じゃなかったんですか?

山本:瓦とかと比べると外壁塗装の職人さんは比較的たくさんいて集めやすいですよ。なので、職人の確保にはそんなに困らなかったっていうのもあって、始めやすかった側面もあります。

あとは1店舗出した時に営業が3人いれば、2年目でも1億円が作れたので、パッと立ち上げれるしよく考えられた仕組みだと思います。

-そうなんですね。面白いですね。

施工実績と口コミが安心感をつくる

-SNS も結構早い段階からやられてますよね。

山本:多分2015年くらいからです。YouTubeも「やねかべチャンネル」といういいチャンネル名を早めに取れました(笑)

ただ、 YouTube チャンネルのこと語ると頑張っている方に怒られるからあんまり話せませんけど(笑)

-YouTube の他にはどんな SNS をされてますか?

山本:Instagramと Facebook もやってます。私の個人的な意見ですが、 SNSで外装リフォームに効率よく集客するのは結構難しいと思ってます。SNSって楽しいとか激しいとか、コンマ何秒の世界で目について止まってくれないといけないんですけど。
屋根とか外壁塗装でそこに留められるかというと結構難しいと思うんですよね。映えさせるのが難しいんです。

ただ、広告としてはすごく効果的ですね。イベントの広告をインスタや Facebookに出してますが、今回のイベントも2,3人くらいはそこから来てくれてるので、広告としてみるといい媒体だと思います。

-インスタや Facebook はターゲティングの精度高いですよね。広告としてみると優秀ですよね。YouTubeはどういう位置づけですか?

山本:YouTube は会社のファン作りですよね。
すごく上手に YouTube 使ってらっしゃる屋根屋さんがいらっしゃいますけど、その会社だったり社長やスタッフのファンになってもらって、「ここに頼みたい」というのをうまく作ってるなと思います。

-ホームページも結構力を入れられてますよね。

山本:そうですね。スタッフがSNS以外にもウェブサイトに毎日施工事例を更新したり、ブログを投稿したりしてます。そういうのを毎日やってると SEOの効果でページが上の方に上がってくるので、そのおかげで今は5,000セッションくらいはある状態になってます。
あとは Google の口コミも大事ですね。

-私もGoogleの口コミはよく見ます。

山本:やっぱり一般ユーザーさんが工事を頼む時には安心感が大事だと思うので、施工事例や口コミはすごく重要です。
これは積み重ねなので、できたばっかりの会社には絶対できないし、後発を抑える意味でも早くに施工事例や口コミを貯めておくことはすごく大事だと思ってます。

-なるほど、面白いですね。ホームページやSNS で情報発信をされ始めたのは、BtoCをやるためにはやはり必要だよねというお考えだったんですか?

山本:そうですね。こういうのはネット上のショールームだと思ってます。実際のショールームもあるけど、多くの人はここまで来ないですし、ネット上にもショールームを出しておくことは大事だと思ってます。

屋根業界に来た新しいもの、「ドローン」

-ドローンはいつ頃から導入されているんですか。

山本:多分2018年だと思います。ハウスケープの代表の明正(メイショウ)くんが前のドローンの会社の時に来てくれて、それで契約したんです。

マンションの屋上の調査の仕事があって、マンションの屋上の屋根なんて梯子で登れないじゃないですか。一応最上階にオーナーの家があって、そこから梯子で登ろうと思えば登れるんだけど、怖いし危ないんですよ。
それでドローンを使おうということになって、結果マンションの屋上のリフォーム500万円くらいの大きな案件が決まりました。

-それは確かにドローンがあって良かったですね。

山本:そうですね。実際に明正君に会って、そこでドローンを見せてもらって、めちゃめちゃ欲しくなっちゃったんです。
僕はそういうおもちゃとか大好きだから、夢があったし、屋根業界にすごく新しいものが来たなと思いました。
使ってみたら自分がヘリコプターの操縦士になってるような気持ちがしてすごく気持ち良くて、数十万しましたけど、安いなと思っちゃいました(笑)

新しい挑戦を続けるために

迷ったらやってみる。ダメならやめたらいい。

-すごくいろんなことを試されてますよね。

山本:新しいものが好きなんですよ。結果すごく無駄遣いしてて、たぶん家一軒ぐらい変えるくらいにはなってると思います(笑)

-挑戦してやめられたこととかもあるんですか?

山本:やめたことはいっぱいありすぎて思い出せないです。いろんなことに挑戦して、結構やめてます(笑)

もちろん残ってるものもあるけど、例えばこの外部の支援会社さんがよかったよとか、Web周りはこの会社さんがいいよとか、勧められて全部一旦試してみるけど、まあまあやめてきました(笑)

迷ったらまずやってみて。やってみてだめだったらやめればいいってのが僕の考えなので、先見の明とかではなくて、とにかく新しいものは自分がいいなと思ったらやってみて、後でダメだったらやめればいいと思ってるんです。

でも最近は、流石にちょっとずつ変えてきましたけどね(笑)
妻に「明日の朝起きてもう1回考えてみたら、欲しくなくなってるかもよ」と言われて、起きたら本当に欲しくなくなってることがあるので、欲しいものがあっても即決せずに一晩寝てから決めるようにしてます(笑)

-わかります(笑)一回寝るのは大事ですよね(笑)今何か挑戦されようと思われていることはあるんですか?

山本:せっかくなら建設業と関係ないこととかやりたいなと思ってるんですけど、思い浮かばないんですよね(笑)
建設業は職人さんがどんどん減っているので、職人さんを使わなくてもいい何かができたらなと思ってます。

カフェとかもあるけど、母がここ喫茶店をやってたので、喫茶店って儲からなくて大変で、儲かるためというよりはコミュニティとしてやるというのはあるかもしれないですけど。

飲食店とか以外で色々考えてるんですけど、何かいい出会いがあるといいですが(笑)

「経験と勘」の多くは、「思い込みと勘違い」

-少し話が変わりますが、山本さんはかなりデータをしっかり見られますよね。これまでお話をお伺いした中でも、過去の業績の数字だったりがパッと出てくるのがすごいことだと思います。
数字を細かく見られる重要性など、感じられていることがあったら教えていただけますか?

山本:数字には文句が言えませんからね
ハウスメーカーの時も大手の会社だったんで、営業成績から自分の車の走行距離まで全部数字で管理されて、文句は言えませんでした。

今も細かく管理してるのは、特に中小企業だと経営者って経験と勘でやってる人って結構多いじゃないですか。それも大事だと思うんですけど、自分もそうだけど、「経験と勘」って「思い込みと勘違い」がほとんど。それがたまたま当たったりするとこともあるけど、正確じゃないし、判断を誤ることもあります。なので、嘘をつかない数字を元に判断した方がいいと思ってます。

-事実に基づいて、最後の判断の部分を経営者がするということですね。

山本:そうですね。僕は朝起きると歯を磨きながら「いえサプリ」のダッシュボードを見るんです。
昨日イベントがあったから集客も増えて、契約も増えて数字が変わったな、とか、去年の同じ月が40件だったから、今月は今半分ぐらいまで来てるなとか、そういうのを瞬時に判断できるのがすごく楽しいです。

-ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。

山本:なので、まず大事なのはデータ入力の正確性で、私は営業には問い合わせがあったら30分以内に登録してもらってます。きちんとデータを入れておけば、いえサプリのダッシュボードで勝手に可視化されてたり、木村君が分析してくれたりするので、データ入力の作業はきちんとやらないといけないなと思ってます。

-数値管理やデータ分析ができていたからこそ、判断を誤らずに済んだこととかはありましたか?

山本:やっぱり自分でも勘違いと思い込みはあって、うちは OB 客からの問合せ比率が少ないと思ってたけど、分析してみたらOBと紹介だけで半数近くになってることに気づきました。
あとは担当者別で問い合わせ元や契約数を分析してますが、担当者ごとの特性がよく分かりますよね。この子はどういうお客さんの契約が取れてるとか、どういうエリアが得意とか。そうすると案件が来た時にただそれを割り振るんじゃなくて、うまく差配することができるようになりますよね。
担当者の得意なところを伸ばすためにデータを活用することができるようになってます。

-ありがとうございます。いえサプリでも、入力を楽にすることであったり、他の分析方法であったり、色々とアップデートを考えておりますので、是非期待していただけたら嬉しいです!

客観的にみることで「やめる」から、新しいことができる

-屋根屋さんの中には山本さんのように新しいことに挑戦したくても、手が回らなかったりやらずに終わっちゃう方もいると思うんです。山本さんは何でちゃんとやってやり切れるのか、秘訣があればお伺いしたいです。

山本:何かあるとすれば、ちゃんとやめていることかもしれないですね。ちゃんとやめているから時間が作れてるんだと思います。

惰性で続けちゃってるから、結果が出てないのに忙しいってことあるじゃないですか。
僕はダメなことは改善してみるけど、改善できなかったから辞めちゃう派なんです。自分の能力とか特性からするともう伸びないところだったら、やめて新しいことやった方が効果的だと思うんです。

経営者に限らず、すごく忙しくしてる人っていると思うんですけど何が忙しいのか考えてみて、それを改善する方法を考えてみて、それでも改善できないのであればやめてしまうということもありだと僕は思うんです。

忙しさは美徳になりがちだけど、ちゃんと寝てパフォーマンス高く仕事した方がかっこいいんじゃないかなと思ってます。

-たしかに、自分のやってる仕事は過大評価しがちかもしれませんね。自分にしかできないとか、他の人には渡せないって思ってしまったり。
山本さんは、定期的に自分の仕事を棚卸ししたりされてるんですか?

山本:日々してます。自分のメモとかに今やってる仕事を書き出して客観的に優先順位をつけていくと、これもやらなくてもいいんじゃない?っていう仕事があったりするんで、やめます(笑)

そこで優先順位であったり、やるやらないを考えたりする時に、数字がわかっていないと合理的な判断ができないと思いますし、そこできちんと辞めるから新しいことができますよね。
判断材料は基本的に数字だと思うんです。自分がこれをやってる意味とか考えだすと続けたくなっちゃう。そういう偏見が入ると、判断を誤りますよね。

瓦の工事をすることは、日本の景色を守ること

-最後に、答えにくい質問かもしれませんが、屋根業界への思いなどもしあればお伺いしてもいいですか?

山本:今この部屋からも瓦屋根が見えてますが、瓦自体の独特の色も含めて、日本の風景にすごくマッチしてますよね。

商品としてはね、新築であまり瓦工事は増えないと思うので、そんなに将来性を感じていないんですが、一方で瓦を守っていくのは大事かなと思ってるんです。
瓦を直せる人がいないと、壊れた時に全部捨てて全部新しいものに変えていくしかなくなるんですよね。
そうすると日本から瓦がなくなっていく。それは寂しいので、少しでもこの文化を長く守っていける、そういう仕事ができる人を残していって、この先20年も30年も、ここから見える景色が変わらなかったらやって良かったかなと思います。

-ありがとうございました。お忙しい中、ご貴重なお話をお伺いさせていただき、本当にありがとうございました。


終わりに

色々なことに精力的に挑戦されている山本さんですが、それは「きちんとやめているから」と話されていたのが、非常に勉強になりました。

取り組みの取捨選択をされる際にも、データに基づいて合理的な判断をされているからこそ、誤った選択をせずに経営を続けられているように感じました。

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