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千代ちゃんの満州

※写真は、中国東北部(旧満州)を旅した時のものです。

南信州で暮らすようになって、出逢った親友がいます。
千代ちゃんです。
今年、86歳になります。
1945年日本が戦争に負けたとき、千代ちゃんは満州にいました。

かつて中国東北地方に13年間だけ存在した幻の国『満州国』。
そこへ日本から開拓団として約27万人が渡っていきました。
当時、約8400人、私の住む地域は日本で最も多くの満蒙開拓団を送り出しています。

2013年4月 下伊那郡阿智村に『満蒙開拓平和記念館』が開館して、
その歴史を知るようになりました。

千代ちゃんの記憶はずっと語られてきませんでしたが、記念館が開館して話してくれるようになりました。

「父は満州で召集されるとき、”これで男になれる”と喜んでいた。私は悲しくてずっと泣きながら父について送っていきました。今でも父は満州のどこかで生きていると思っていて、中国に行くときには、父のことを尋ねるチラシを持っていくんです。」

開拓団になったら、召集されることはない。
そう聞いていたのに、戦争に負ける直前、18歳から45歳くらいまでの男性が ”根こそぎ召集” で兵隊になりました。
日本にいるころ、千代ちゃんのお父さんは目が悪くて、甲種合格できず、兵隊にはなれなかったから、ずっと後ろめたかったのかもしれません。

80歳を迎えるころ語り始めた千代ちゃん。
お話をする千代ちゃんは、お父さんが大好きだった、
小ちゃな ”千代ちゃん” に思えます。


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