スイーツクラブ24時
エクレアとシュークリームを交互に食べるというだけのクラブに参加していた時のこと、いきなり警察が乗り込んできた。
無愛想に部屋に入ってくるなり、「この部屋寒いねぇ」と言って肩を大袈裟に振って見せた。
スイーツは特性上、暑さに弱いものなので、私たちはより美味しくいただくためにこんな極寒の部屋で食事に勤しんでいるのだ。それをずけずけと入り込んできて、知ったような口を聞き上がって、私は目の前のエクレアに手をつけられずにいた。
「君たち、許可証申請してないでしょ、だめだよ、勝手にスイーツ食べたら。もう令和じゃなんだから。」
何やら難しいことがたくさん書かれた紙を私たちに見せながら警察は言った。
この時代になり、私たちはもう勝手にスイーツを食べることができなくなってしまった。でなければこんな狭い部屋で皆肩を寄せあいこそこそスイーツを食べるなんて真似しない。
私は急げと目の前にあったエクレアに手を伸ばし口に入れてしまおうとしたが、すぐに警察に止められた。「ダメだって言ってるでしょ、ほら、署まで来てもらうよ。」
私は奴を睨みつけたが随分余裕なようで、この怒りもスイーツの甘さに浸れば忘れられるだろうかと考えているうち、ああ、さっきのうちに食べておけばよかったと後悔した。
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