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#幼稚園
<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<27>
綾と初めての友達-小さな勇気
「何やってるの?」
声をかけてきたのは、横田優吾だった。あの、入園式の時にトイレと叫んだ子だ。
綾は一瞬顔を上げて彼の顔を見たが、すぐに視線を落としてしまった。
その様子を見て、優吾がさらに声をかけてくる。
「遊ばないの?」
首を傾げながら下から綾の顔を覗いてきた。それに抗うように、綾は視線を逸らす。
「なんで何もしゃべらないの? 痛いの?」
なおも話しかけ
<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<26>
綾と初めての友達-近付けない綾 入園から二週間、綾は少しだけ疎外感を感じていた。
家では目を合わせれば父とも母とも会話が始められた。まだ言葉を話せない晴太でも、目で笑い合えばじゃれ合うきっかけになった。
でも、幼稚園では言葉をきっかけにしなければ遊びに誘うこともできなかったのだ。
今日も綾は一人、うつむいている。
「さあみんな、指遊びやるよー」
友美先生がみんなの注目を集める。ちょっとだけ